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《手袋の男》

© 2009 RMN / Stéphane Maréchalle

絵画
イタリア絵画

執筆:
François Aline

ティツィアーノは、表情に込められた集中力の中に、心理的な力を読み取ることができるような肖像画のタイプを最初に生み出した画家である。背景および薄暗い色の衣服と、白いブラウスによって際立てられた明るい肌色との間の対比によって、画家はモデルの個性を表現しているもの、すなわち、控えめな気品が漂うこの青年の、力強いと同時に憂鬱げな、複雑な感覚を連想させる容貌と両手へと、関心を集中させることができるのである。

自然体

手袋を持った男の姿が影の中に浮かび上がっている。大理石の塊に寄りかかった男は、黒い胴衣と白い襞付きシャツを身に付け、皺のよった襟は紐で括られている。少し開いた上着からはサファイアと真珠で飾られたメダイヨンの付いた金色の鎖が垣間見える。手袋をはめた左手でもう片方の手袋を持ち、突き出されたむき出しの手の人差し指には紋章の入った指輪がはっきりと認められる。モデルは、無頓着と言ってよいほど自然な姿勢でポーズを取っている。絵の枠組みの狭さにも関わらず、身体は空間の中にゆったりと映し出され、正面から、頭と視線を僅かに右側に向けて描かれている。この青年が誰であるのか未だ判明していないが、衣服の持つ気品、とりわけ洗練された皮手袋、もしくは手入れの行き届いた頭髪などから、彼が当時のヴェネツィアの流行の服装に気を使う18-20歳くらいの貴族であると考えてよいであろう。

心理的肖像画

故意に抑えられた対照的な色彩の選択(背景と黒い衣服に対比された明るい肌色)によって、ティツィアーノは人物の個性を引き立てている。個人に与えられたこの新たな重要性が、当時画家の周囲を取り巻いていた人文主義的趣味を反映している。というのも、画家は入念な心理的観察を経て、持ち物や細部の装飾を増やすことによってではなく容貌と両手の描写に集中することによってモデルの個性を再現しているからである。唯一彼の鋭い視線だけが、その感受性や、憂鬱げな気品、さらには単純に青年の存在感を表現している。イタリアルネサンスにおけるもっとも偉大な肖像画家の一人と見なされているティツィアーノは、モデルの表情の強弱の中にその心理的な力を読み取ることのできるような肖像画のタイプを創り上げた。おそらく1520年頃に描かれたと思われるこの若年期の肖像画は、このヴェネツィアの巨匠に「王侯の画家」の異名を取らせるに足るような、君主や貴族を描いた数多くの肖像の誕生を告げている。

作品データ

  • ティツィアーノ・ヴェチェッリオ、通称ティツィアーノ(ピエーヴェ・ディ・カドーレ、1488-1489年-ヴェネツィア、1576年)

    《手袋の男》

    1520年直前

  • 画布に油彩

    縦1m、横0.89m

  • ルイ14世コレクション

    INV. 757

  • 絵画

    ドゥノン翼
    2階
    国家の間
    展示室6

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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