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《捨てられたプシュケ》

© 2011 Musée du Louvre / Thierry Ollivier

彫刻
17-18世紀のフランス

執筆:
Montalbetti Valérie

パジューが1785年のサロンにこの彫刻の石膏原型を出展した際、成熟した姿の女性の過度に写実的な表現がスキャンダルとなった。不埒だとして作品は取り除かれた。美しく不幸なプシュケは、観る者に哀憐を求めながら、朗唱調にその苦しみを生きる。

主題、注文、一般評価

プシュケは独りで絶望し、思わぬ自分の過失でアモル(愛の神、クピド)が去ってしまい泣いている。神の禁止にも関わらず、夜の恋人が誰かを探ろうと、眠っている神にランプを近づけた。その美しさにハッとした彼女はランプの油を一滴落としてしまった。アモルは目を醒し、逃げてしまった。彼女の側で、蝶が魂(ギリシア語でプシュケ)を象徴している。ランプと(万が一の怪獣除けに所持していた)刀が地に横たわる。
この彫刻は、王室建築総監のアンジヴィレール伯爵により、1783年に、ブーシャルドン作《ヘラクレスの棍棒で弓をつくるクピド》(ルーヴル)の対になる作品として注文された。パジューはこのプシュケのテーマを、ラテン語作家アプレイウス(125−170年頃)の物語と17世紀のフランス人寓話作家ラ・フォンテーヌの詩から選んだ。この作品で、彫刻家は有名な先輩と同等の名声にあやかり、また、ブロンズ像《狩人のディアナ》(ハンティングトン・アート・ギャラリー、サン・マリノ、カリフォルニア)を1782年に鋳造したばかりだった同世代のウードンにも挑む機会を得た。
石膏像は、1785年のサロンに出展され、スキャンダルで有名になった。サン・ジェルマン・ロクセロワ教会の司祭は、全裸の姿にショックを受け、作品をサロンから外させた。ルーヴル宮殿すぐ近くのアーティストのアトリエで見ることができたこの作品は、議論の的だったものの、ますます有名になる一方だった。評論家は、自然主義的過ぎる仕上げ、凝った態度や大袈裟な顔の表情を非難した。

理想と自然の間のスタイル

ブーシャルドン同様、パジューは古代期とルネッサンス期の理想と自然なモデルへの忠実さとを両立させようとする。この大きさの全裸大理石像はギリシア・ローマ美術の例に匹敵する。ポーズは、王室蒐集品で、16世紀のイタリアの古代風小像《ポルチア》(ヴェルサイユ)、またルネッサンス期以来賞賛されてきた、ヴァティカン所蔵の、ペルガモン派の彫刻作品《クレオパトラ》の模刻から想を得ている。フランスには、後者の作品の16世紀のブロンズ製複製がフォンテーヌブローにあった。だが、プロポーションは全く古代のカノンに従っていない。クリストフ゠ガブリエル・アルグランが1767年作の《ヴィーナス》(ルーヴル)像で見せたように、彫刻家は女性の身体の官能的な美を表現している。評論家によると、この成熟した姿はこの女主人公の若さとは不釣り合いだった。
それに、プシュケには古代の気品が含まれていない。ポーズは朗詠調で、体は強いコントラポストを見せ、頭は空を見上げ、右腕は真心を露吐するように胸の上に載せられている。重い髪が巻き毛となり額やこめかみ、肩に垂れ下がり、悲痛の極限にある顔の表情を強調する。鑑賞者の前で、舞台の主人公のように、プシュケはその苦しみを生き、同情を乞う。パジューは、近距離感を強める正面視点を採った。実際には、プシュケのスタイルはブーシャルドンの《クピド》の対作品とはならない。
パジューは長い間、アンジヴィレール伯爵の辛抱強さを利用して、純粋な大理石の一塊を探した。彫刻は1790年に完成し、1791年のサロンに提出されたが、以前ほどの熱っぽい論争はなかった。批判はあったものの、その制作の巧妙さや細部の仕上げ、特に肉体の震える感じが賞賛された。

出典

- STEIN Henri, Augustin Pajou, Paris, 1912, p. 250-258.

- BRESC-BAUTIER Geneviève, Sculpture française XVIIIe siècle (École du Louvre, Notices d'histoire de l'art, n 3), Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1980, n 47.

-  MICHEL Régis, "L'art des Salons", in Aux armes et aux arts ! Les Arts de la révolution, Adam Biro, Paris, 1988, pp. 37-39.

- Skulptur aus dem Louvre. 89 werke des franzosischen klassizismus 1770-1830, Duisburg, Wilhelm Lehmbruck Museum, 1989, p. 293-294.

- KRAUSE Katharina, "Ein ungleiches Paar. Amor von Edme Bouchardon und Psyché von Augustin Pajou", in Städel Jahrbuch (Annuaire Städel), Neue Folge (nouvelle série), n 14, Munich, 1993, p. 289-302.

- DRAPER James D. et Scherf Guilhem, Pajou, sculpteur du roi, 1730-1809, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1997, p. 333-346.

作品データ

  • オーギュスタン・パジュー(1730-1809年)

    《捨てられたプシュケ》

    1790年

  • 大理石

    高さ1.77m、幅0.86m、奥行き0.86m

  • 1829年ルーヴル収蔵

    M.R. SUP.62

  • 彫刻

    リシュリュー翼
    1階
    パジュ
    展示室27

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

台、前方: PSYCHE PERDIT L'AMOUR/EN VOULANT LE CONNOITRE左: PAJOU SCULP. (DU ROY -鎚打ち) /ET CITOYEN DE PARIS/1790