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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《木立》

素描・版画
17世紀

執筆:
Chabod Christine

この主題は、簡潔だが堂々とした筆遣いで描かれている。光を受けてきらきら輝く葉の茂みの描きぶりから、ロランが実際に風景を写生したことがうかがわれる。ザンドラールトによれば、ロランは、「一日の始まり、日の出と日の入り、そしてたそがれ時を自然に描けるようになるため、田舎で夜明けから夜更けまで[スケッチした…]ロランは、この厳しくつらい修行を何年もの間続け、毎朝田舎まで出かけ、毎晩長い道のりを歩いて戻った。」

感性の巨匠

ロランの豊かな感受性は、この素描にはじけるように現われている。ロランは、斜面の頂に生えた木立から伸び上がるこの木の枝や葉や幹の絡み合いを、下方から見上げるように写生した。上の方しか見えない木には、光や空気や風が入り込み、枝はあらゆる方向にねじ曲がっている。力強いペンと筆のタッチは、眩暈を覚えさせるほどに生きた樹木のエネルギーを暗示する。こうして、この素描は、クロード・ロランの芸術に対するいくつかの批判、その中でもとりわけロジャー・フライが1924年に『ヴィジョンとデザイン』の中で展開した批判に対する反駁となっている。フライは、その著書の中で次のように述べていた。「クロードほど深く木々を愛した人はいないと断言できる。しかし、クロードが各々の木の特徴を念入りに記録したと自負していたことが知られているにもかかわらず、クロードは木の枝を全くぞんざいにいい加減に描いている。クロードの数え切れない素描の中で、レオナルド・ダ・ヴィンチのちょっとした素描のように、樹木の生命自体、空気と光に向けて伸びる様、重力と風に逆らって立つ姿を現したものは唯の一枚もない。」さらにフライはこう書いている。「クロードの木を描いた素描は、『木』という言葉からすぐに想像される意味だけを目に伝えようとしている。まず「木」という言葉から思い浮かぶのは、光り輝く空に浮かび上がる、鬱蒼たるざわざわした茂みである。ところでクロードは、細部を念入りに描写しているにもかかわらず、偶然にせよ意図的にせよ、ほとんどこうした木のステレオタイプを表現するにとどまっている。」

粗描の芸術

野外で写生され、側面から光が当たり、常ならぬ遠近法で描かれたこの素描を、技法的にも様式的にも新しい方向性の端緒を示した、いわゆる「過渡的」な時代の作品の特徴を示した例とする美術史家もいる。この「過渡的」な時代とは、大体1655年から1660年にかけての時期を指す。この時代の素描は、主として写生に基づくみずみずしい粗描であり、ロランはもはや紙に濃褐色の淡彩をほどこしたり、力強い筆遣いで描いたりしなくなっていた。ロランは、「実際に見た事物」の無意識の魅力を保ちつつも、線描とマッス(塊)の間や、光と影の間にいかに調和を生み出すかという問題を解決することに次第に心を砕くようになったのである。このロランの進化は、洗練されたペンの線描に看取される。これとは逆に、それぞれハールレムのテイラース美術館とウィーンのアルベルティーナ美術館に所蔵される素描と、ヴィルデンシュタイン画帖の中に含まれる素描との比較から、ルーヴル美術館所蔵の風景素描の制作年代を遡って考察する美術史家もいる。1630年代の作とされるこれらの3枚の素描とルーヴル美術館の素描は、きわめて似通った描法で描かれているが、ルーヴル美術館の素描に見られる成熟した作風を鑑みるに、この素描はおおよそ1640年頃の作と推定される。

出典

- BACOU Roseline et BEAN Jacob (sous la dir. de), Le dessin à Rome au XVIIe siècle : XCIe exposition du Cabinet des dessins, cat. exp. Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1988, notice 71.

- DEMONTS Louis, Catalogue des dessins de Claude Gellée dit Le Lorrain, cat. exp. Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux,1923, notice 24.

- FRY Roger, Vision and design, New York, 1924.

- MEJANES Jean-François, Dessins français du XVIIe siècle : LXXXIIIe exposition du Cabinet des dessins, Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1984-1985, notice 79.

- ROETHLISBERGER Marcel, Claude Lorrain : The drawings, Berkeley et Los Angeles, University of California Press, 1968, notice 273.

- RUSSELL Helen Diane, Claude Gellée dit Le Lorrain 1600-1682, exp. Washington, National Gallery of Art, Paris, Galeries nationales du Grand Palais, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1983, notice 14.

- SERULLAZ Maurice, Première exposition des plus beaux dessins du Louvre et de quelques pièces célèbres des collections de Paris, cat. exp. Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1962, notice 85.

- Le dessin à Rome au XVIIe siècle : XCIe exposition du Cabinet des dessins, cat. exp. Paris, musée du Louvre, 1988, notice 71.

作品データ

  • クロード・ジュレ、通称ル・ロラン(シャマーニュ、1600年-ローマ、1682年)

    《木立》

    1640年頃または1655-1660年

  • ベージュ色の紙にペンと褐色インク、褐色の淡彩

    縦27.5 cm、横20.8 cm

  • 1803年4月14日にパリでペルタンの競売、1815年以前にルーヴル美術館が取得

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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