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作品 《死んだ牝鹿の四肢を伸ばしたところ、および牝鹿の頭》

素描・版画部門 : 16世紀

Une biche morte, les quatre membres étendus et une tête de biche

素描・版画
16世紀

執筆:
Boyer Sarah

おそらくは直接の観察により描かれた、この緻密な習作は、死んだ牝鹿の四肢を伸ばし、両耳を立て、頭部を横にしたところを表わしたものである。その触感あふれる筋肉、肉感、綿毛、そして、内角の窪みまでもが丹念に描かれている目許(めもと)などの描写の見事さゆえに、この素描は元デューラーの作とされていた。というのも、その細心の現実観察、および、めったに用いられない技法を使用している点で、クラーナハはこの作品においてドイツ・ルネッサンスの巨匠によく似ているからである。

宮廷画家

クラーナハの生涯の初期については、ほとんど知られていない。その活動が史料によってわかるようになるのは1504年以後のことである。というのも、この年クラーナハは、ザクセン選帝候、賢王フリードリヒ2世(1463-1525年)、ならびにその弟、ヨーハン不変王(1468-1532年)の宮廷に参じるため、ウィーンを発ってヴィッテンべルクへ向かうからである。1505年以降、クラーナハはイタリアの画家ヤーコポ・デ・バラバーリの跡を継いで、最初フリードリヒ王、次いでヨーハン公、最後にヨーハン=フリードリヒ寛大王(1503-1554年)のための宮廷画家となった。こうして、ヨーハン=フリードリヒが1547年、カール5世に敗れて捕虜とされるまで、狩りの光景や寓意画が、「宮廷風の」絵画表現形式となっていたのである。

狩りの最中にも

1509年にクラーナハに献じた手紙の中で、ユマニストのクリストフ・ショイル(1481-1542年)はクラーナハのたゆまぬ画家活動を称賛している。「王侯たちが貴公を狩りに連れ出すときは必ず、貴公はどこにでも画板を携行され、狩りの真っ最中にそれを描かれるでしょう、例えば、フリードリヒ王がいかにして牡鹿を仕留めるか、ヨーハン公がいかにして猪を追うかを描くでしょう。」クラーナハは、その《死んだ牝鹿》では、グワッシュおよび水彩という、彼が動物の習作ではめったに用いたことのない技法を使っている。一方、その裏面には、クラーナハの作風の特徴をもっとよく示した習作を見ることができる。すなわち、ペンと褐色インクとを用いて、牡鹿と牝鹿の簡略な習作がいくつも描かれているのである。何頭かは喧嘩をしており、何頭かは向き合い、あとの何頭かは交尾をしている。

そして他の場所でも

これらのタイプの動物の習作および実物の観察は、クラーナハの多くの作品の中で役立っている。例えば、1515年に皇帝マクシミリアン(1459-1519年)の時禱書の欄外の挿絵を手がけた際などである。この時には、クラーナハはデューラー、バルドゥング・グリーン、ブルクマイア、ブロイ、アルトドルファーらと張り合うことになった。クラーナハは、風景の中の城や宗教的モチーフの他に、動物をテーマとして選び、主に牝鹿、またヘラジカ、狐、猿、コウノトリなどを描いた。そして、1529年に制作した絵の中では、クラーナハは1519年に死去したマクシミリアン帝、1525年に死去したザクセン選帝候、そしてその後継者、ヨーハン不変王らが狩りをする様を描いている。この作品はその時、記念のために制作されたものであるが、それ以上に、当時贈物としてよく用いられた、狩りの風景を表わした多くの絵の中の一枚として数えるべきであろう。

出典

- KOEPPLIN Dieter, Dürer, Holbein, Grünewald : Meisterzeichnungen der deutschen Renaissance aus Berlin und Basel, cat. exp. Bâle, Kunstmuseum ; Berlin, Staatlichen Museen, 1997-1998, pp. 246-261, notice 17.1.1-17.5.

- KOEPPLIN Dieter, From Schongauer to Holbein. Master Drawings from Basel and Berlin, cat. exp. Washington, National Gallery of Art, 1999-2000, pp. 197-211, notices 86-91.

- POULSEN Hanne Kolind, Cranach, cat. exp. Copenhague, Statens Museum for Kunst, 2002.

- STARCKY Emmanuel, Dessins de Dürer et de la Renaissance germanique, cat. exp. Paris, musée du Louvre, 1991-1992, p. 121, notice 113.

- TACKE Andreas, Cranach Meisterwerke auf Vorrat : die Erlanger Handzeichnungen der Universitätsbibliothek, cat. exp. Erlangen-Nuremberg, Universitätsbibliothek ; Halle, Staatliche Galerie Moritzburg ; Augsbourg, Universitätsbibliothek, 1994-1995.

作品データ

  • ルーカス・クラーナハ(父)(クローナハ、1472 年-ヴァイマール、1553年)

    《死んだ牝鹿の四肢を伸ばしたところ、および牝鹿の頭》

    1520-1530年頃

  • ペン、褐色インク、水彩による淡彩、白のハイライト

    縦0.200 m、横0.284 m

  • 1909年?にロンドンのクリスティーズで競売、ニーマン・コレクション、1909年1月18日にニーマンより購入

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

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水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

右下にペンと褐色インクによるデューラーの真偽不詳のモノグラム。裏面に、ペンおよび褐色インクで書き込み:Arbrecht Dürer