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《浴女》

© 2010 Musée du Louvre / Angèle Dequier

絵画
フランス絵画

執筆:
De Vergnette François

この浴女には、19世紀にこの作品を所有していた一人の名前が付けられている。この絵は、フランス・アカデミーの奨学生であったアングルが、1808年に「ローマから送った作品」のうちの一点である。ここで若き画家は、調和の取れた線描と繊細な光が印象的な傑作を生み出している。この見事な背中を見せる裸婦は、生涯に渡ってアングルの頭から離れず、とりわけ《トルコ風呂》といった複数の作品の中に再び登場している。

提出作品への反応

この《座った女》(当初の題)は、アカデミーの規則に従って若き日のアングルが送った3点の作品(《半身像の浴女》、1807年、バイヨンヌ、ボナ美術館と、《スフィンクスの謎を解くオイディプス》、1808年、ルーヴル美術館)の一つで、奨学生がめったに取り上げなかった主題を描いている。とりわけ「虚弱な皇帝」(「虚弱な(マラングル)」と「マル=アングル(下手なアングル)」をかけた語呂合わせ)や「野蛮」と言われた《ナポレオン1世の肖像》(パリ、軍事博物館)と、リヴィエール一家を描いた肖像画(ルーヴル美術館)によってスキャンダルを引き起こした1806年のサロンとは対照的に、この作品の評価はまちまち、というか評価の対象にすらならなかった。この作品が賛辞を得るようになるのは、1855年の万国博覧会まで待たなければならない。その際ゴンクール兄弟は、「レンブラント自身も、このほのかな色合いの上半身の琥珀色をうらやむに違いない」と称賛したのである。

際立った簡素さ

「皆さん、私は騙されていたのです。もう一度勉強し直さなければなりません。」これが、後にフランスとイタリア半島(アングルは1835年から1841年にかけて、ヴィッラ・メディシス(フランス・アカデミー)の館長であった)を行き来することになるアングルが、イタリアを旅して受けた衝撃である。《ヴァルパンソンの浴女》は、アングルのイタリア滞在の成果の一つと言えよう。後ろ向きの裸婦の足元には紐の解けた赤いサンダルが転がっている。ここには神話上の口実は一切なく、この裸婦が絵の唯一の主題を表わしている。裸婦のうねるような体の線を強調するために、この浴女は壁布に囲まれている。「奥深い逸楽」(ボードレール)であり清らかでもある逸楽が存在し、動きや時間は一切排除され、全てが穏やかで簡素な様相を呈している。しかしながら、アングルが参考にした作品は実に多彩で、まず初めにトスカーナのマニエリスト(ブロンジーノなど)、ヤコプ・ファン・ローに基づく版画作品(《イタリア風の就寝》)、そして特にアングルが生涯に渡って称賛を惜しまなかった「神なるラファエロ」が、ファルネーゼ宮殿のプシュケのロッジアに描いた三美神の一人が挙げられる。

理想美に対する長年の探求

「私は、同じ主題をしばしば繰り返し描いた、偉大なプッサンを手本にした。」というのも、アングルは生涯に渡って理想を追い求め、完全を期すために、《トルコ風呂》(1848-1864年、ルーヴル美術館)や《黄金時代》(1862年、ダンピエール城)に至るまで、同じモティーフを何度も描いたからである。こうして《トルコ風呂》の中央に描かれた人物には、アングルが若き日に描いた浴女が全く同じ姿で再び用いられている。この理想美は、奥行きのほとんどない空間、四方に広がった光、角張った骨格の拒否といったものを表わしている。ここにオリエント風の演出を控えめに付け加えるだけで、1819年のサロンに展示された《グランド・オダリスク》(1814年、ルーヴル美術館)になる。この点において、アングルの最初の裸体画の大作《ヴァルパンソンの浴女》は、豪奢な布地(ターバン)、曲がりくねった線描の調和と身体の清澄な調和、清らかな官能性、絶対の探求といった、アングル特有の様式を当初からすでに示しているように思われる。

出典

- LACLOTTE Michel (dir.), Ingres, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1967, n. 34, p. 58.

- ROSENBLUM Robert, Ingres, Cercle d'art, 1968, p. 78.

- CUZIN Jean-Pierre, Raphaël et l'art français, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1983.

- BAJOU Valéry, Monsieur Ingres, Adam Biro, 1999.

作品データ

  • ジャン=オーギュスト=ドミニック・アングル(1780-1867年)

    《浴女》

    1808年

  • 油彩、カンヴァス

    縦1.46 m、横0.97 m

  • 1879年取得

    通称《ヴァルパンソンの浴女》

    R.F. 259

  • 絵画

    シュリー翼
    3階
    アングル
    展示室60

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

左下に署名および年記:Ingres, Rome 1808