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《渡し舟》

© 2009 RMN / Jean-Gilles Berizzi

絵画
オランダ絵画

執筆:
Collange Adeline

1641年の攻囲の際に損害を受けたヘネップ城(リンブルク)の城塞の見晴らし。

静かな海景画

騎兵らを載せた渡し舟が影に染まる岸を離れ、渡し守の竿によって押し進められている。他の小舟が河の上を漂い、遠方では帆船が静かに水面を滑っている。後景には画趣あふれる廃虚が描かれている。1641年の包囲の際、損害を受けたヘネップ城(リンブルク)の城塞である。前哨の兵隊が一人、川に向けられた大砲の側で守りについている。サロモン・ファン・ロイスダールは、いつものように、穏やかな大空に向かって風景を広げることの出来る横長の画面を選んでいる。作品の静寂は、船の通行で水の乱されることのほとんどなさそうな、大きな銀色の鏡のような川の際立った水平性によって強調されている。一方で構図は、我々の視線を「詰まった」側(より暗めの色調で描かれた岸辺と建造物)から空と水の開口部へと導く、緩やかな対角線によって強調されている。

繊細な単色

この海辺の光景は、ピンクがかった黄土色によるきわめて繊細な単色画であり、青灰色の色調と調和した緑色によって、ところどころにアクセントが施されている。サロモン・ファン・ロイスダールは、描くためにごく限られたマチエールしか用いない。その非常に軽い筆致は、作品全体に一体感を与えている大気に透明感をもたらすことを可能にしている。単色に近い色調によるこの洗練された絵は、ヤン・ファン・ホイエンの繊細な作風を彷彿させる。もっとも、二人ともおそらくハールレムのエサイアス・ファン・デ・ヴェルデに師事したと見られ、そこで学んだ師の風景画法を深めていったものと思われる。

オランダ風景画の誕生

空に向かった広がりや単色による演出、そしてとりわけ、明らかな主題が存在しないことによる(これは聖書・歴史・神話の一場面ではない)構図の簡潔さが、象徴的なマニエリスム的風景とはかけ離れた、オランダ固有の風景画という新しいジャンルの誕生を示している。作品の真の主題は、サロモン・ファン・ロイスダールにおいても、ヤン・ファン・ホイエンにおいても、水と空とが優しく混じり合う明るい大気から発する詩情にある。この風景画の新しい観念は、画家の甥であるヤーコプ・ファン・ロイスダールの作品に深い影響を与えるが、ヤーコプはより「ロマン主義的」でより壮大な構成に力点を置くこととなる。

出典

- STECHOW W., Salomon Van Ruysdael : eine einführung in seine Kunst..., Zweite revidierte und vermehrte Auflage, Berlin : Gebr. Mann, 1975.

作品データ

  • サロモン・ファン・ロイスダール

    《渡し舟》

    1643年

  • カンヴァス、油彩

    H. : 40 cm. ; L. : 60 cm.

  • 1899年パリ、美術品売り立て(フランソワ・クランベルジェ)にて取得。

    R.F. 1162

  • 絵画

    リシュリュー翼
    3階
    オランダ 17世紀前半
    展示室30

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

制作年および署名:S.V. RUYSDAEL 1643