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《砂漠の聖ヒエロニムス》

© 2007 Musée du Louvre / Angèle Dequier

絵画
オランダ絵画

執筆:
Kazerouni Guillaume

宇宙的規模の広大な風景画の例である。象徴的な細部(霊的な岩と、生きた水源としてのキリスト、羊飼いとしてのキリストなど)と物語的な細部(聖人により癒されたライオン)が描かれている。ユイスマンスは自身が所有していたこの作品を称賛している(『彼方』、1891年)。

パティニールと風景画

絵画の領域で15世紀末におけるもっとも注目すべき出来事のひとつは、後に目覚ましい発展を遂げることとなる新しいジャンル、すなわち風景画がネーデルラントにおいて徐々に登場してきたことである。アントウェルペンの画家パティニールは、我々が「風景画家」と呼ぶことのできる最初の画家であり、デューラーその人も彼に対してこの表現を使っている。ルーヴルの作品にはパティニールの風景画の特徴が全て備わっている。平原、岩、川などによってリズム感が与えられた広大な眺め、そしてこれら全てが青緑の繊細な色階によって統一されている。奥行きは、奥に行くに従って次第に明るくなる色彩により際立たせられている景の重なりによって示唆されている(空気遠近法)。この手法はパウル・ブリルやヨース・ド・モンペールといった画家によって16世紀全体に渡って繰り返し用いられ、当時のイタリアにも伝えられることになる。もっとも頻繁に用いられる構図は、薄暗い前景および、緑色の色調の後景、そして青い背景から成っている。

聖ヒエロニムス

ヒエロニムスは大グレゴリウス、アウグスティヌス、アンブロジウスと共にラテン四大教父の一人に数え挙げられる。340年頃にダルマティア地方もしくはヴェネト地方で生まれ、ローマの有名な文法学者ドナトゥスのもとで学び、洗礼を受けた後、聖地に向けて巡礼を試みる。その後、改悛し隠遁生活を送るため、シリアの砂漠にこもった。382年に再びローマに戻り、そこで教皇ダマスス1世から、ヘブライ語の原典とギリシア語版を基に聖書のラテン語版翻訳(ウルガータ聖書)の校訂を委ねられる。聖人は教皇の死後ローマを後にしたが、聖書の翻訳はパレスチナで完成し、その地で420年に亡くなっている。彼は神学者と学識者の守護聖人である。

宗教画と逸話の中間

砂漠で隠遁生活をおくっていた際の、仮住まいの掘立て小屋に身を置く聖ヒエロニムスを描いている。聖人は謙遜の色である灰色のチュニックを纏い、罪によって干上がった魂を象徴する枯木の側にいる。木の根元には枢機卿の衣服が置かれている。人物像、空飛ぶ鳥を目で追っている左側に見える犬といった逸話的な細部、その他さまざまな動物、右側の小さな町などが作品に活気をもたらしている。その単なる審美的意義ばかりが強調されるきらいのあるこの風景は、実は、それが神の創造のもっとも明白な表れを成しているという点において、この作品の宗教的意義を伝えるための積極的な役割を果たしているのである。

作品データ

  • ヨアヒム・パティニールあるいはパテニール(ブーヴィーニュ(ディナン近郊)1474年頃−アントウェルペン、1524年)

    《砂漠の聖ヒエロニムス》

    1515年頃

  • 油彩 板

    縦0.78m、横1.37m

  • 1923年ロンドン、絵画商ジョセフ・デュヴィーン卿による寄贈

    R.F. 2429

  • 絵画

    リシュリュー翼
    3階
    ネーデルラント 16世紀前半 クエンティン・マセイス、ヨース・ファン・クレーフェ
    展示室9

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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