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作品 《縁なし帽をかぶり、正面を向いた老人の頭部》

素描・版画部門 : 14-15世紀

Tête d'homme âgé, de face, coiffée d'une toque

Musée du Louvre, dist. RMN-Grand Palais - Photo S. Nagy

素描・版画
14-15世紀

執筆:
Boyer Sarah

目鼻立ちのはっきりとした男を描いた珍しい絵であるが、このロレンツォ・ディ・クレーディによる肖像画は、個別化された表現に求められる、あらゆる写実的な特徴を備えている。その観察眼の鋭さにより、ロレンツォが、フィレンツェにおいて生前から揺るぎない威光を誇っていた、ハンス・メムリンクのフランドル派自然主義を知っていたことがうかがえる。また、ミーノ・ダ・フィエーゾレ、アントニオ・ロッセッリーノ、ベネデット・ダ・マイアーノら、フィレンツェの彫刻家たちの活動が示すような、同種の写実主義の進展についても、ロレンツォはよく知っていた。

類まれな肖像画家

ピエール=ジャン・マリエットは、ロレンツォ・ディ・クレーディの数多くの素描画を所有していたが、この習作もその一つである。下塗りの上に金属尖筆で描くというのは、この素描家の技法の本質的特徴であるが、この技法で描かれた7つの頭部、《受胎告知》のための黒チョークによる習作、そしてサンギーヌで描かれた《聖母の頭部》が、ルーヴルの所蔵作品である。モデルをもとに描かれたこの老人は、彫りの深い眼、重い瞼に、唇を固く結んでおり、それなりの社会的地位を誇示している。その証左は服装と帽子である。この平たい帽子はイタリア北部でのみ見られた流行に則ったものであり、おそらくその師ヴェロッキオの没した1488年に、クレーディがその地方への旅に赴いたとするヴァザーリの主張を裏付けている。

典型的なフィレンツェ風画法

薄い色に染めた紙に金属の尖筆で描き白のハイライトを施す素描は、1460以前から1510年以降まで、モデルの顔立ちを研究して描くためにフィレンツェの画家に最も好まれた技法の一つである。染められた紙の上に、尖筆が控え目に、しかし消し去ることのできない跡を残すこの繊細な技法を、ロレンツォ・ディ・クレーディはとりわけ好んだ。ロレンツォは、宗教画や肖像画のための習作として、モデルに基づく頭部のデッサンを、片っ端からこの技法を用いて描いたからである。その洗練された技巧と描法の質の高さが現われているのは、筆で施された白のハイライトが極度に抑制されている点、また、画材のあらゆる可能性を――最も薄い部分から最も濃い部分まで――引き出している点、そして、眼の表現、すなわち、右の瞼の厚さがはっきりと示され、薄いグワッシュのハイライトが尖筆の筆致とうまく釣り合っている点である。

目的のない習作?

この習作に対応する絵画作品はまったく存在しない。これが、ピストイアの祭壇画《洗礼者聖ヨハネと聖ドナトゥスの間に鎮座する聖母》の中の司教像、すなわちアレッツォの司教の肖像の習作であるとは考えがたい。この祭壇画は、司教ドナート・デ・メディチ(1474年没)がヴェロッキオに対し制作を依頼し、ロレンツォ・ディ・クレーディにより完成されたもののようである。ルーヴル美術館所蔵の独立した習作は、確かな技巧と、作者の円熟期に近い作風を示しており、聖人の顔のステレオタイプ化した描き方とは対照的である。さらに、これら2人の人物像を結び付けることは、すでに司教が亡くなっていたとは言え、聖人の顔立ちに同名の庇護者の顔立ちを反映させるという伝統に逆行するものであろう。今日クレーディの作とされている肖像画はすべて、いくつかのバリエーションを含め、ハンス・メムリンクから受け継がれ、レオナルド・ダ・ヴィンチの《ジネーヴラ・ベンチの肖像》(ワシントン、ナショナル・ギャラリー)に接して修正された作法を発展させたものである。そこでは、モデルは斜め向きの胸像あるいは半身像として描かれ、手は前景に置かれ、顔が草木の緑あるいは建築物を背景として浮かび上がり、脇の空間に風景が開けている。これはラファエッロが16世紀初頭に用いる作法である。

出典

- AMES-LEWIS Francis, WRIGHT J., Drawing in The Italian Renaissance Workshop, cat. exp. Nottingham, Londres, Victoria and Albert Museum, 1983, p. 200-201, 292-293, n 40, 65, pl. 14.

- ANGELUCCI Laura, SERRA Roberta, Verrocchio, Lorenzo di Credi, Francesco di Simone Ferrucci, Paris, musée du Louvre ; Milan, 5 Continents éditions, 2003, p. 83, n 35.

- CORDELLIER Dominique, Visages du Louvre : chefs-d'oeuvre du portrait dans les collections du Louvre, cat. exp. Tokyo, musée national d'Art occidental, 1991, p. 116-117, n 52.

- DALLI REGOLI Gigetta, Lorenzo di Credi, Milan, Edizioni di Comunita, 1966.

作品データ

  • ロレンツォ・シアルペッローニ、通称ロレンツォ・ディ・クレーディ(フィレンツェ、1458年頃 – フィレンツェ、1537年)

    《縁なし帽をかぶり、正面を向いた老人の頭部》

    1490-1500年頃

  • ピンクがかった灰色に地塗りした簀の目線入り紙に金属尖筆、白のハイライト

    縦29.50 cm、横21 cm

  • ピエール=ジャン・マリエット・コレクション、1775年パリで競売(381番の一部)、国王美術品蒐集室のために購入

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

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水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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