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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《聖母の御眠りと被昇天》

Dormition et Assomption de la Vierge

素描・版画
16世紀

執筆:
Grollemund Hélène

およそ1515年頃から1520年まで、ペドロ・マチュカは、イタリアのローマ、そしておそらくはフィレンツェでも制作を行った。元々16世紀の不詳のイタリア画家によるものとされていたこの素描は、イタリアの諸芸術家がマチュカに与えた影響、ならびにこの作者がイタリアに残した足跡、とりわけ、ナポリの画家マルコ・カルディスコに及ぼした影響を物語っている。

厳密な構図

素描は上下二段にはっきりと分かたれている。下の部分には聖母の御眠りが描かれており、屍衣にくるまれた聖母が寝床の上に横たわっている。聖母は使徒らに囲まれ、使徒らのさまざまな姿勢と表情は、この悲哀に満ちた場面にある種の活力を与えている。上の部分では、二人の天使がキリストの母を支えて天へ運んでいる。聖母は手を合わせて、マンドルラを成す光の輪の中に浮かび上がり、天使らに囲まれている。父なる神は天で聖母を迎えている。入念な技法をもって描かれているこの素描には、針による目打ちがあり、それが直接下絵として用いられたことを示している。

習作か、実物大の下絵か?

この素描は、マチュカの作とされる同じ主題の祭壇画(ナポリ、カーポディモンテ美術館)に結び付けて考えられ、その実物大の下絵ではないかとされている。しかし、その絵との間に見られる重大な相違点、および聖母御眠りのフリーズ部分を多少の異同を含めて模した木製パネル画の存在から、この仮説は留保なしに受容れるわけにはいかない。くだんのパネル画はマルコ・カルディスコ(1517-1520年から1541年の間に、ナポリに記録が残る)の作とされており、マチュカが1517年頃からローマに滞在して以来、南イタリア文化に及ぼした強い影響、次いでスペインへ戻ってから、サルデーニャおよびイタリア南部に及ぼした影響を、カルディスコも受けていたものと思われる。マルコ・カルディスコはおそらく1532年頃、ナポリではなくローマで、マチュカの祭壇画を模写したのであろう。同様に、ルーヴルの素描はマチュカの周囲で出回っていた最初の原型であり、それを基に、すでに独自の解釈を含む彩色模写が描かれるきっかけとなったと考えることができるが、素描も模作もともに、マチュカの祭壇画とはかなりかけ離れている。素描の全体的構図は保っているこの祭壇画は、スペイン時代初期、すなわち、グラナダの王室礼拝堂のパネル画(1521年)、プエルト・リコの《聖霊降臨節》のパネル画、《エヴァの創造》のグリザイユによるパネル画(トロワ、聖レミギウス教会)の制作時期のものとされ、これらの作品はいずれも1535年頃か、それ以前のものとされている。

マチュカとイタリア

マチュカはイタリア南部の美術上の発展、それもとりわけ宗教絵画において重要な役割を果たしたと見える。 この素描と《十字架降下》および《キリストの埋葬》との間に見られる技法上および造形上の類似点から、マチュカの及ぼした影響の範囲と、その素描の性質を図り知ることが可能になる。例えばそこには、灰色および褐色インクを混ぜ合わせて、色により立体感を表現する独特の方法が見られるが、これは当時一般的ではなかった(プピーニあるいはポリドーロにより用いられていた)ものの、ルーヴル所蔵のマチュカの素描すべてに見られる技法である。同時に、白のハイライトと淡彩との極めて絶妙な融合も見て取ることができ、これは人物像の陰の部分や輪郭線をくっきりと際立たせ、絵の全体に柔らかみを与えている。そして、人物像の大きさの比率や、いくつかの親しみやすい顔立ちのタイプ、例えば、髯を生やした男らやプットたち(プッティ)のそれ、そして頭部を身体から際立たせ、四肢を自由自在に曲げて表現するロッソに近い作風が、《キリストの埋葬》に反映されているのを見ることができるのである。

出典

- BOUBLI Lizzie, Inventaire général des dessins : Ecole espagnole XVIe-XVIIIe siècle, Paris, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 2002, n 14.

作品データ

  • ペドロ・マチュカ(トレド、1490年頃-グラナダ、1550年)

    《聖母の御眠りと被昇天》

    1530-1535年以前?

  • ベージュ色の紙にペンおよび褐色・灰色インク、褐色・灰色インクによる淡彩、白のハイライト(グワッシュ)、ペンおよび褐色インクによる縁取り、聖母像の輪郭は目打ち

    縦37.8 cm、横25.3 cm

  • サン=モリス・コレクション、1793年に亡命貴族の財産として接収の後、1796-1797年に中央美術館に収蔵

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
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開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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