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作品 《聖母の神殿奉献》

素描・版画部門 : 14-15世紀

Présentation de la Vierge au Temple

RMN-Grand Palais - Photo S. Maréchalle

素描・版画
14-15世紀

執筆:
Boyer Sarah

14世紀のフレスコ画のための習作としては非常にまれな作品であり、明らかにその作者を特定することのできるこの《聖母の神殿奉献》は、ジォットの弟子の一人であったタッデオ・ガッディの唯一の素描として知られる。この素描は、ガッディが1332年から1338年の間にフィレンツェのサンタ・クローチェ教会バロンチェッリ礼拝堂内で描いた、聖母マリアの生涯を示す連作の一場面に対応するものである。

建築空間の創出

金属尖筆と定規を用いて輪郭が描かれた後、白のハイライトが、細い線条(ハッチング)として施されたり、または面全体を覆っているこの建築物は、細い小円柱からなる小聖堂を形成しており、そこには大司祭と、二人の人物が描かれている。右手の柱廊には処女らが集まっている。左手には、おそらく当初は金色で描かれていたと思われる光輪を頭部に戴いた聖アンナと聖ヨアキムがおり、娘のマリアが両親を振り返りながら、神殿との間にある15段の階段を一段一段登っていこうとするのを見守っている。建物の左奥では、隣人の女が興味深そうに窓から乗り出してこの光景を見つめており、階段の両側では群集が事の次第をうかがっている。

人物の配置

タッデオ・ガッディは、《聖母の婚礼》におけるのと同様、《聖母の神殿奉献》においてもきわめて高度な達成を成し遂げている。というのも、この作品が礼拝堂の最も複雑な構造を再現するものであるだけでなく、作者の語り手としての才をよく表わしているからである。遠近法に従った建築物の配置、皆が見守る中での聖処女マリアの落ち着きと威厳、さまざまな登場人物の表情の豊かさといった特徴が、より親しみやすい様式においてジォットの作品を受け継ぐものとなっている。薄く緑に着色した骨粉で地塗りされた紙と、金属尖筆とを組み合わせる技法は、初期イタリア・ルネサンスに特徴的なものであり、後世に大流行するようになる。しかし、後世の素描家らとは逆に、ガッディがその画材の可能性をすべて引き出しているとは言えない。ガッディはまだ、キアロスクーロ(明暗法)のように、白のハイライトと暗い描線とを荒っぽく対比させているからだ。

素描とフレスコ画の比較

フレスコ画にまつわる異作が数多く存在することから、この素描の占める地位についての問題が生じる。これは果たして原作なのか、それとも模写なのか。主な相違点は、最終的なフレスコ画がどちらかと言えば正方形であるのに対し、この素描は縦長であるという点だ。もっとも、画面の両端に位置する人物が不完全であることから見て、ルーヴル美術館の素描は左右が切り取られていると見てよいだろう。ラディスによれば、背景と、建物のさまざまな部分は黒色で塗り込められる一方、多くの人物像には、神殿から浮き上がって見える幼い聖処女マリアと同様、時にはぞんざいに、青色が加えられている。二種類の白、すなわちハイライトに用いられ、服の襞をなぞっているクリーム色と、平塗りに用いられている、より石灰風の白色は、それぞれが別な機会に加えられたものだということを示していると見てよい。加えて、いくつかの人物像を描き出している線は、とりわけ下の方では執拗に強調されているのに対し、上の方では消えてゆきそうである。そして最後に、背景の黒色は無造作に塗り付けられており、覗き見している隣人の女はそのため部分的に覆われてしまっている一方、神殿の窓の一つは何も描かれないままになっている。

出典

- BEAN Jacob, BOUCHOT-SAUPIQUE Jacqueline, Dessins de la collection de Filippo Baldinucci (1625-1696), cat. exp. Paris, musée du Louvre, Éditions des musées nationaux, Paris, 1958, p. 15, n 1.

- DEGENHART Bernhard, SCHMITT Annegrit, Corpus der italienischen Zeichnungen, 1300-1450, Berlin, 1968, vol. I, pp. 60-65, n 22, pl. 27.

- GOLDNER George R., Master Drawings From the Woodner Collection, cat. exp.  Malibu, The J. Paul Getty Museum, Fort-Worth, Kimbell Art Museum, Washington, National Gallery of Art, 1983-1984, pp. 13-20, n 1.

- LADIS Andrew, Taddeo Gaddi, critical reappraisal and catalogue raisonné, Columbia et Londres, University of Missouri Press, 1982, p. 246, fig. 60.

- PROPECK Lina, Dominique Vivant Denon : l'oeil de Napoléon, cat. exp. Paris, musée du Louvre, 1999- 2000, pp. 216-217, n 215.

作品データ

  • タッデオ・ガッディ(フィレンツェ、1300年頃-フィレンツェ、1366年)

    《聖母の神殿奉献》

    1332-1338年頃

  • 緑色に地塗りした紙に筆、緑・青のデトランプ、白のハイライト、尖筆でなぞった輪郭線、黒インク、光輪部分には金を用いた描線

    縦36.6 cm、横28.5 cm

  • フィリッポ・バルディヌッチ・コレクション(第1巻、12葉)、フランチェスコ・サヴェリオ・バルディヌッチ(フィリッポの子息)・コレクション、パンドルフォ・パンドルフィーニ・コレクション、カミッロ・パンドルフィーニ・コレクション、ロベルト・パンドルフィーニ・コレクション、アンジォーロ・パンドルフィーニ・コレクション、アンナ・エレオノーラ・パンドルフィーニ(フィリッポ・ストロッツィの妻)・コレクション、エレオノーラ・テレーザ・パンドルフィーニ・コレクション、1806年に画家フランソワ=グザヴィエ・ファーブルの調査報告に基づき、フィリッポ・ストロッツィの仲介により購入

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

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