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作品 《聖母の頭部》

素描・版画部門 : 14-15世紀

Tête de la Vierge

Musée du Louvre, dist. RMN-Grand Palais - Photo M. Beck-Coppola

素描・版画
14-15世紀

執筆:
Grollemund Hélène

初期フランドル派の作品と認めうる素描画は、現在の時点ではきわめて少ない。それゆえに、この《聖母の頭部》は、それがロヒール・ファン・デル・ウェイデンの数少ない習作の一つであるだけでなく、なおかつ、それが真作と認められるだけに、いっそう貴重なものである。というのも、その極度の簡素さと、作者がその感性のすべてを注ぎ込んだ迫真の表現は、この素描が作者のオリジナルであることを物語っているからだ。

調和を得るための簡素な構成

聖処女マリアはやや右に向き、首を前に傾けている。幾本かの線が、頭と、露わになった肩口にかかるヴェールの存在を示している。ヴェールからは波打つ髪がこぼれ出、そこから一本の線で描き出されただけの右耳が覗いている。やや丸みを帯びた広い額は、聖母にきわめて若い印象を与えるのに一役買っている。薄い瞼の下で、下を向いている大きな眼 ―― その表情は、荘厳で夢見ているようだ。鼻はまっすぐで鼻筋が通っており、口は小さく、その輪郭はくっきりとしている。短く交差した線条(ハッチング)によって表現された陰の部分は、この作品に非常に柔らかな立体感を与えており、それは特に、顔の右側部分、下唇の下、あご、そして髪の部分に見ることができる。優美なモデリングを施すため、作者はいくつかの明るい面だけを残して、尖筆を顔全体に軽く走らせている。これらの最小限の手段によって、これほど迫真の表現がなされたことは、かつてほとんどなかったのである。

理想への到達

繊細で洗練された技法による理想の作品である《聖母の頭部》は、絵画作品、とりわけ、かつてドナウエシンゲンのフュルステンベルク公のコレクション(個人蔵)に所蔵されていた《聖母子》に結び付けて考えることができる。また同様に、この素描は、《聖母の肖像を描く聖ルカ》(ボストン美術館)の中で聖ルカが描いている聖母にも似ている。このタイプの聖母像はファン・デル・ウェイデンが生み出したものであって、それが次第に洗練され、若返っていくのをたどることができる。技法的な観点から見ると、この素描は、大英博物館(ロンドン)にある《女の肖像》と多くの共通点を示している。たとえば、両者ともにおいて、確かであるがそれでいて微細な描線による粗描、明暗のはっきりした緻密な表現、交差し溶け合う線影(ハッチング)、そして、一貫して最小限度にとどめられた手法と、それが、この素描から表われ出る非常に素朴な印象をもたらしている点である。しかしながら、《聖母の頭部》における、より柔らかな立体感と若々しい印象から、美術史家は、さらに後の制作年代を推定しようとするであろう。この素描は、ドナウエシンゲンの《聖母子像》と同時代の1460年頃のものと考えてよいかもしれない。

下絵、手本、あるいは模写?

素描がオリジナルであるかどうかについては、二つの説が対立している。どちらの説も、この素描がこれまでロヒールのどの絵画作品とも結び付けられ得なかったことから、その聖母のタイプと、比類のない質の高さを論拠としている。ある論者らは、これが絵の一部分の模写ではないかとし、その絵が、ファン・デル・ウェイデンが生み出した聖母のタイプを定着させたのだろうとする。しかし一方で、この頭部がこれほどの純粋さ、これほどの深み、これほどの表現の優美さを示している以上、模写画家がこのレベルに到達し、ロヒールの理想の女性像をこれほどはっきりと表現し得たとすれば、驚くべきことである。したがってこの作は、画家が自分の制作のため、およびそのアトリエで用いるために描いた手本と見るべきであり、制作が入念であり、作品の完成度が高いのはそのためである、というのである。

出典

- COMBLEN-SONKES Micheline, Les Primitifs flamands. Dessins du XVe siècle : groupe Van der Weyden. Essai de catalogue des originaux du maître, des copies et des dessins anonymes inspirés par son style, Bruxelles, Centre national de recherches "Primitifs flamands", 1969, n A5.

- COMBLEN-SONKES Micheline, "Les Dessins de Roger Van der Weyden et de son école", in Rogier Van der Weyden, Rogier de Le Pasture : peintre officiel de la Ville de Bruxelles, portraitiste de la Cour de Bourgogne, cat. exp. Bruxelles, Musée Communal, 1979, pp. 68-84.

- VOS Dirk (De), Rogier Van der Weyden : l'oeuvre complète, Paris, Hazan,1999, p. 387.

作品データ

  • ロヒール・ファン・デル・ウェイデン(トゥルネー、1398/1400年-ブリュッセル、 1464年)

    《聖母の頭部》

    1460年頃

  • 地塗りした紙に金属尖筆(銀?)

    縦12.9 cm、横11 cm

  • サン=モリス・コレクション、1793年に亡命貴族の財産として接収の後、1796-1797年に中央美術館に収蔵

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

右下にペンによる書き込み:albert durer