Go to content Go to navigation Go to search Change language

ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《聖母子と幼き洗礼者聖ヨハネ》

作品 《聖母子と幼き洗礼者聖ヨハネ》

絵画部門 : イタリア絵画

《聖母子と幼き洗礼者聖ヨハネ》

© 2011 Musée du Louvre / Martine Beck-Coppola

絵画
イタリア絵画

執筆:
Cécile Scailliérez

注文主が誰であるかだけでなく、王立コレクションに《美しき女庭師》が収蔵された経緯についても不明のままである。1505-1506年の《ベルヴェデーレの聖母》(ウィーン)と《鶸(ひわ)の聖母》(フィレンツェ)の後、ラファエッロのフィレンツェ滞在の終わりに当たる1507-1508年に制作された《美しき女庭師》は、風景の前景でピラミッド型の動的な構図の中に描かれた、聖ヨハネと聖母子というモチーフに関する画家の研究を締めくくるものである。

《聖母》から《美しき女庭師》へ

聖母と幼子イエスが幼い洗礼者聖ヨハネに伴われてゆったりした風景の中に描かれており、前景は聖母の人間性の象徴であるスミレやキリストの受難の象徴であるオダマキの花を含む克明に描写された花々が散りばめられている。当初は《農民の聖母》として王室コレクションの記録に記されていたこの絵画は、1720年頃に、芸術愛好家のピエール・ジャン・マリエットの『手引書』の中で《女庭師》という名が付けられ、その直後に複数の版画作品の銘の中で《美しき女庭師》と書かれるようになった。
《美しき女庭師》は、ルイ14世以来フランス王室コレクションに収蔵されていることがわかっているが、コレクションに加わった際、それが具体的に誰のために描かれたのかは不明である。1640-1650年頃にジル・ルスレによってフランスで制作された、この作品の複製版画に関して伝えられるところによると、作品はフランソワ1世に遡るとされているが、他の証拠は一切存在していない。

牧歌的印象

作品における牧歌的な印象は、ほぼ同時代、すなわちラファエッロのフィレンツェ滞在の終わり頃に制作された他の二点の聖母像の中にも見受けられる。二点の作品とは1506年に描かれ、ウィーンの美術史美術館に所蔵されている《牧場の聖母》と、1507年ごろに完成され、現在フィレンツェのウフィツィ美術館に保存されている《鶸の聖母》である。二点とも、風景の前景に描かれて二人の子供に取り囲まれた聖母像を中心にまとまっており、子供たちの姿勢やしぐさは聖母のそれと調和し合い、流れるような、それでいて一貫性のある人物のまとまりを作り出している。更にこれら三点の作品の全ては、背後にイエスの受難の予兆を含んでいる。《牧場の聖母》においては聖ヨハネがイエスに差し出す葦の十字架によって、また、《鶸の聖母》ではキリストの茨の冠から棘(とげ)を取り除いて以来その羽に赤い斑点の付いたと言われる鳥によって、それが明らかに示されている。《美しき女庭師》においては、自らの責苦を予告している聖書を母の膝の上から取ろうとしているイエスと、彼に従うような動きを示している聖ヨハネの間に交わされる視線によって、その予兆が示されている。

フィレンツェ時代

風景の前にしっかりと据えられたピラミッド型の構図は、きわめて彫塑的な襞をもつ衣服に包まれた、瞑想するかのような人物像を頂点としている。その構図の中の人物同士の動的で表現力溢れる複雑な関係を、透明感と簡明さとを同時に表すことに心を砕きつつ描き出そうとする意欲は、16世紀の最初の十年間にフィレンツェ絵画において進められていた研究に特徴的なものである。ミケランジェロは1504-1507年に彼の《トンド・ドーニ(聖家族)》の中で、レオナルド・ダ・ヴィンチは1500-1501年以来《聖アンナと聖母》の中で、同じ造形上の問題に没頭している。作品における明るい色階、理想的で一様な光、かなり高い位置に配された地平線へと背景が静かに後退してゆく風景の透明感、完全に垂直な幹を持つ木々の軽やかさ、これらはラファエッロがその下で学んだペルジーノの影響を明確に伝えている。同時に、右側で小さな都市の風景を形作っている北方絵画風の建造物は、15世紀末にイタリアに持ち込まれたフランドル絵画、とりわけメムリンクに対して若きラファエッロが抱いた関心を示している。

作品データ

  • ラファエッロ・サンツィオ、通称ラファエッロ(ウルビーノ、1483年-ローマ、1520年)

    《聖母子と幼き洗礼者聖ヨハネ》

    1507-1508年

  • 木板に油彩

    縦1.22m、横0.80m

  • フランソワ1世コレクション?

    《美しき女庭師》

    INV. 602

  • 絵画

    ドゥノン翼
    2階
    グランド・ギャラリー トスカーナと北イタリアの絵画 15‐16世紀
    展示室5

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

チケットを購入する

作品の補足情報

聖母のマント下部に署名および制作年: Raphaello Urb. MDVII [MDVIII ?]