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《聖母子像》

© 2006 Musée du Louvre / Pierre Philibert

彫刻
北ヨーロッパ

執筆:
Guillot de Suduiraut Sophie

イッセンハイムの聖母子像は最も美しいドイツのゴシック末期の聖母像の一つに数えられる。ドレープの広がり、その複合性が強い印象を与える。体の前方で人工的に割れたり膨らんだり混乱したプリーツが創られている。聖母の足下の三日月は「無原罪のお宿り」信仰を喚起する。母親のふくよかな美しさとその息子の裸の姿は中世末期のマリア像とキリスト像の人間化に一致するものである。

マリアの人間化

マリアとその息子の人間化は中世末期の宗教感覚の推移を反映するものである。聖母は豊満なフォルムで個性化した女性のタイプを示し、優しく思索に耽る表情を見せる。息子の方は笑い顔でふっくらとして動き回り、神を体現する者の人間性を強調するため全裸で示される。手の中の鳥とザクロが「聖体」と「受難」を示す。聖母の足下の三日月はマリアの地上での優位性と原罪への勝利を表す。この「無原罪のお宿り」を象徴する図像は中世末期に広範囲に広まる。これは聖ヨハネが「黙示録」で述べている、太陽を着て星の冠をかぶって足の下には月を踏む「女」(12章、1)と聖母を同一視するものである。月は不安定と堕落の象徴である。

ドイツ末期ゴシックの傑作

この記念碑的な像は、力強い形式面での初の創造と言える、ドレープの広がりとその複合性で強く印象づける。両手で押さえたマントの布は聖母の体の前面で膨れあがり、崇拝の為に置かれる幼子イエスの座になるように放射線を作り下に落ちる。人工的に折り曲げられたマントの縁につくられた二つの深い溝は空間に浮いているようである。布襞が装飾的且つ表現的な役割を演ずるこの造形構想は、ゴシック末期ドイツ彫刻の特徴である。ここでは、特に神聖ドイツ帝国の南半分の地域で使われた柔らかい菩提樹の木により、刻みの妙技が得られている。力強さが、肉付けの繊細さや細部の正確な仕上げ、また明確に彫られた容貌の溌剌とした感覚に調和良くマッチしている。

ホフマン作と推定

聖母の女性の型、活発でぽっちゃりした幼子、混乱したドレープの図式は、1510—1520年頃バーゼルで彫られた複数の聖母像で採用さられている。様式的に、これらの作品は彫刻家マルティン・ホフマンのサークルの中に位置づけられる。ストラスブルグの彫刻やファイト・シュトスのフランコニア美術の後継者である、テューリンゲン出身のホフマンは、表現的で活発な新様式をバーゼルに持ち込む。この様式は1521年に報酬が支払われた、市役所の2体の預言者像に見られる。古い書類が無いため、この聖母子像彫刻の作家がマルティン・ホフマンとする説は仮説のままに留まっている。

出典

- GUILLOT DE SUDUIROT S., Sculptures allemandes de la fin du Moyen Age, dans les collections publiques françaises 1400-1530, catalogue d'exposition, Louvre, Paris, 1991, cat.26, pp.119-123.

- GUILLOT DE SUDUIROT S.,  La Vierge à l'Enfant d'Issenheim. Un chef-d'oeuvre bâlois de la fin du Moyen Age, Dossiers du musée du Louvre, Paris, 1998.

作品データ

  • マルティン・ホフマン(推定)

    《聖母子像》

    1510年頃

    イッセンハイム(オー=ラン県)の聖アントニウス騎士修道館由来

  • 菩提樹

    高さ1.72m、幅0.69m、奥行き0.49m

  • イッセンハイム、旧ジョルジュ・シュペッツ(1844—1914年)蒐集品、1924年蒐集品売却で、歴史記念物に指定されルーヴルが取得。

    R.F. 1833

  • 彫刻

    ドゥノン翼
    地上階
    後期ゴシック様式
    展示室C

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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