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《聾唖者を治すイエス》

© 2003 RMN / Thierry Le Mage

絵画
オランダ絵画

執筆:
Colange Adeline

聾唖者(しばしば言われるように盲人ではなく)の治癒の場面は、マルコによる福音書に基づくものであるが、ここではより幅広い状況の中に設定されており、背景には当時の芸術愛好者たちのためには当然描かれていてしかるべき、古代ローマの廃墟が見てとれる。

奇跡による治癒

超自然的な光景に引き寄せられて、群衆が古代廃墟の前に群がっている。場面は、キリストによって成し遂げられた奇跡的な治癒の一つ、おそらくは聾唖者の治癒を描いたものである。バルトロメウス・ブレーンベルフ(1599‐1657年)は、聖マルコによる福音書が伝えているように、奇跡の起った瞬間を表現している。「人々は耳が聞こえず舌の回らない人を連れて来て、その上に手を置いてくださるようにと願った。そこで、イエスはこの人だけを群衆の中から連れ出し、指をその両耳に差し入れ、それから唾をつけてその舌に触れられた。そして、天を仰いで深く息をつき、その人に向かって、「エッファタ」と言われた。これは、「開け」という意味である。すると、たちまち耳が開き、舌のもつれが解け、はっきり話すことができるようになった。」(マルコによる福音書、7章32-35節)

イタリア芸術風の廃墟

当時の多くの画家と同様、ブレーンベルフはイタリア、中でも優れて古代的な都市であるローマに赴いている。ブレーンベルフはこの滞在中に描いた数々のデッサンを持ち帰るが、まさにそれらは画家のほとんどの作品に見られる装飾モチーフの目録と言ってよい。後景に見られる植物がはびこる廃墟群には、これらのイタリアでの習作に基づいたさまざまなモチーフが混ざり合っている。建物全体は1627年に画家がデッサンをしたティボリにあるヴィラ・メセナの廃墟に軽く手直しを加えたものである。一方で、主要なアーチの下に認められる格間ヴォールトの細部は、フォルム・ロマヌムの中でも最も重要な大建造物、コンスタンティヌス帝のバシリカからインスピレーションを得たと思われる。このようにして、ブレーンベルフは古代キリスト教の場面を、当時のイタリア芸術の嗜好に適った画趣あふれる装飾の中に据えているのだ。

物語に対する嗜好の回復

前景に描かれた家族と乞食の光景に比べて、主要な場面が小さく描かれていたとしても、ブレーンベルフは観客の視線を光の演出によって導いている。交互に描かれた明るい部分と暗い部分が空間を彫りだし、「スポットライト」によって聾唖の治癒の光景を浮かび上がらせている。雷雨になりそうな空にできた明るい雲の切れ目が、これらの異なる照明の原因を説明しており、大気の感覚を見事にもたらしている。ブレーンベルフのこれに先立つ作品の中では、人物描写よりもパウル・ブリル(1554‐1626年)に近い前古典主義精神の風景に重きが置かれていた。しかしここでは異国情緒(犬を散歩させている羽飾りを付けた小姓)や表情豊かな人物(松葉杖をついた乞食の、非常にマニエリスム的な身の捩り方)を混ぜ合わせながら、人物像が再びその大きさを取り戻している。再び見出されたこれら精彩に富んだ物語に対する嗜好は、ピーター・ラストマン(1583‐1633年)やレンブラント(1606‐1669年)の作品に認められる、歴史画へと移り変わるオランダ絵画全体の発展の一環を成している。

出典

- Le Siècle de Rembrandt : tableaux hollandais des collections publiques françaises, catalogue d'exposition, Musée du Petit-Palais, Édition de la Réunion des musées nationaux, Paris, 1970, p. 29.

作品データ

  • バルトロメウス・ブレーンベルフ (デーフェンター、1599年−アムステルダム、1657年)

    《聾唖者を治すイエス》

    1635年

  • 木、油彩

    縦0.90m、横1.23m

  • 1936年、アドルフ・ソンボルンによる遺贈。

    R.F. 1937-4

  • 絵画

    リシュリュー翼
    3階
    オランダ 17世紀前半
    展示室30

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

制作年および署名::"B. Breenberg A 163"(部分的に消えている最後の数字は、"5"と思われる)。