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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《腰掛けた人物像の衣襞》

Draperie pour une figure assise

素描・版画
14-15世紀

執筆:
Forcione Varena, Grollemund Hélène

レオナルド・ダ・ヴィンチによるこの衣襞は、テーラ・ディ・リーノ(亜麻布)に描かれた素描のうち最も有名なものである。この種の素描は、全部で16枚存在する。この素描はしばしば、ウフィツィ美術館(フィレンツェ)の《受胎告知》の中の聖母像に関して描かれたものと考えられた。また同様に、ドメニコ・ギルランダイオの《サン・ジュスト祭壇画》(フィレンツェ、ウフィツィ美術館)に結び付けられたこともある。中には、この素描はギルランダイオのものであって、レオナルドによるものではないとすら考える論者もある。

精確なかたちの追究

この衣襞の素描は当初、デューラーの作品として中央美術館に収蔵された。この作品はウフィツィ美術館の《受胎告知》の中の聖母像制作に関して描かれたものとされていたのである。同様の推測が、元ガネー・コレクションに含まれていた素描(ルーヴル美術館, RF41904)、およびウフィツィ美術館(フィレンツェ)所蔵の座った人物像の習作についてもなされた。他の二つの衣襞の素描と異なり、ルーヴルの素描の人物像はコントラポスト・ポーズを取っていることを示しており、言わばこれから体の向きを変えようとしているところである。この動きは両脚の描き方から分かるし、単にざっと描かれているだけの上体の向きによっても強調されている。このモティーフは丸みや曲線の表現となって現われ、レオナルドの表現したい形はそれによって決まってくる。レオナルドは服のひだの「垂れ方」とも呼べるものを研究した。つまり、あたかも動きの衝動が、その源から遠ざかっても変らぬままでいるかのように、重い布地が、周囲で次々に折り目を広げながら、その重みに耐えかねて落ちたり、逆に持ちこたえたりしている様のことである。レオナルドは衣襞をもはや書画や装飾のように描くのではなく、現実の布地、本物の衣服のように描くのである。そして、客観的な、かたちの精確さを追究するのだ。

一つの類推

逆説的なことに、ルーヴルの衣襞は、その高い完成度のゆえ、その作者が最も確実に推定できる作品であると同時に、他の画家の絵画作品に結び付けて考えられた唯一の作品である。この衣襞と、「サン・ジュスト祭壇画」と呼ばれているドメニコ・ギルランダイオの《聖母子と聖人たち》(ウフィツィ美術館所蔵)の中の聖母の衣襞との間には、密接な類似が認められるとされた。しかし、ルーヴルの習作における陰と光の描き分けの緻密さ、その複雑さからして、それをギルランダイオの作品の幾何学的な明確さと結び付けることは不可能である。この衣襞は、絵画作品や彫刻作品に結び付けて考えるよりも、亜麻布のような柔らかい基底材や流動的な素材を用いた研究、そしてとりわけ光に関する考察として考えるべきものなのである。

リタッチの問題

衣襞をめぐるあらゆる問題は、少なくともルーヴルのものに関しては、今日、その制作技法を観察し直すことによって、再検討されなければならないと思われる。この衣襞には、後世の別人の手になる加筆が見られるが、その年代は不明である。この習作は最も加筆が明らかなものであり、そのことが実際、さまざまに異なる作者の推定を招いた理由の一つである。見て明らかにそれと分かるリタッチは、素描の下端の衣襞より下の部分である。他にも、素描の右側、衣襞の輪郭と背景に加筆が施されたであろうと推察される。それに加え、人物像自体のひだにも厚いハイライトが施され、彫刻のように見せる効果を強調しているが、その完璧さゆえに、それは時間を超越したものへと変わっている。素描の上の部分、腰の高さあたりの、ひだが斜めに裏返った部分にのみ、布地の縁に沿って、手の加えられていない軽い「輝き」が残っており、おそらくこの作品の元の姿はこうであったろう、と思わせるのである。

出典

- ARASSE Daniel, Léonard de Vinci. Le rythme du monde, Hazan, Paris, 1997, pp. 48-53, fig. 20.

- BERENSON Bernard, The Drawings of the Florentine Painters Classified, Criticised and Studied as Documents in the History and Appreciation of the Tuscan Art, with a Copious Catalogue Reasoned, Londres, 1903, I, p. 158, pl. CXII, II, n 1061.

- CADOGAN J. K., "Reconsidering some Aspects of Ghirlandaio's Drawings", in The Art Bulletin, LXV, n 2, 1983, p. 283, fig. 17.

- CHRISTIANSEN Keith, "Leonardo's drapery studies", in The Burlington Magazine, CXXXII, n 1049, 1990, pp. 572-573.

- DEMONTS Louis, Les Dessins de Léonard de Vinci au musée du Louvre, Paris, 1921, n 1.

- MARANI Pietro C., Léonard de Vinci. Une carrière de peintre, Milan, Motta et Arles, Actes Sud, 1999, p. 17 et pp. 60-61, fig. p. 16.

- PEDRETTI Carlo et DALLI REGOLI Gigetta, I dise gni di Leonardo da Vinci e della sua cerchia nel Gabinetto Disegni e Stampe della Galleria degli Uffizi a Firenze, Florence, 1985, p. 68, n 17.

- Reale Commissione Vinciana, I manoscritti e i disegni di Leonardo da Vinci pubblicati dalla Reale Commissione Vinciana sotto gli auspici del Ministero dell'Educazione Nazionale. Disegni, a cura di Adolfo Venturi, Fascicolo I, I disegni di Leonardo da Vinci dal 1470 al 1478, Rome, 1928, n 15.

- VIATTE Françoise, Léonard de Vinci. Les études de draperie, cat. exp. Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, Paris, 1989-1990, notice 16.

- VIATTE Françoise, Léonard de Vinci, dessins et manuscrits, cat. exp. Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, Paris, 2003, notice 11.

作品データ

  • レオナルド・ダ・ヴィンチ(ヴィンチ、1452年-クルー城、アンボワーズ近郊、1519年)

    《腰掛けた人物像の衣襞》

    1470年

  • 灰色に地塗りした亜麻布に、筆および灰色のテンペラ、白のハイライト

    縦26.6 cm、横23.3 cm

  • エヴァーハルト・ヤーバッハ・コレクション、1695-1696年に没後の所蔵品目録、バインダーEに「アルブレヒト・デューラーによる14の衣襞の習作、紙に貼った布にデトランプによる白のハイライト」、1741年にパリでピエール・クロザの競売、5番(レオナルド・ダ・ヴィンチ作)、1785年にパリでヌーリの競売、736番(デューラー作)、シャルル=ポール・ジャン=バティスト・ド・ブルジュヴァン・ヴィアラール・ド・サン=モリス所蔵、1793年に亡命貴族の財産として接収の後、1796-1797年に中央美術館に収蔵

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

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