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《自画像、もしくはあざみを持った自画像》

© Musée du Louvre/A. Dequier - M. Bard

絵画
ドイツ絵画

執筆:
Collange Adeline

この自画像は、ドイツにおける従弟修行の旅の晩年に当たる当時22歳のデューラーによって制作された。作品は西洋絵画における独立した自画像のごく最初の作品群のひとつに当たる。画家が手にしたあざみは、自らの婚約者アグネス・フライへの夫婦の忠誠の証拠、もしくはキリストの受難(特に荊冠のとげ)の暗示と考えられている。

最初の独立自画像

故郷のニュルンベルグで修行した後、若きデューラーはドイツ南部を渡る従弟修行の旅に出る。この肖像画は1493年に制作されている。当時画家は22歳で、おそらくストラスブルグに滞在していたものと思われる。デューラーは自らの姿を唯一の主題として取り上げている。すなわちこの作品は、西洋絵画における独立した自画像のごく最初の例と言える。中世末以降、画家たちは自らの姿を作品の中に描く習慣があり、作品の中から観衆を直接眺めている姿からも、彼らの自画像は簡単に認めやすかった。一方でこれらの自画像は、主に宗教的な主題を取り上げる大きな作品の中における副次的な存在でしかなかったのである。

写実的で洗練された肖像画

暗い背景の上に四分の三面観で捉えられた上半身の肖像画は、当時の絵画様式の伝統に完璧に合致している。専ら鏡を見ていたためか、ポーズは少々ぎこちない。画家は玉房のついた赤い小帽子、刺繍が施された大きな切り込みが入ったブラウスの白い色と対比された青みがかった灰色の優雅な上着といった洗練された衣装を身に付けている。顔つきは《自画像のデッサン》(1484年、ウィーン、アルベルティーナ版画美術館)の様な初期作品の初歩的な様相が未だ残っているものの、男性的な首、しっかりとした鼻、長く神経質な手つきは、既に成人としての個性を持ち合わせている。優れた版画家でもあったデューラーは、作品を非常に図式的な様式で解釈していた。あざみの棘といったほぼ金属的な細部の描写は、彼の金工細工師としての修行を連想させている。

婚約の贈り物、もしくはキリストの暗示?

ゲーテに遡る図像学は、この肖像画がニュルンベルグに戻った1494年にデューラーが結婚したアグネス・フライとの婚約の贈り物であったと解釈している。実際に、画家が手にしたあざみは、ドイツ語で「mannstreu」とも呼ばれており、これは「夫の忠誠」を意味する。同様に画家の優美な衣装もこの愛の証を説明している。この仮定に対する主な欠点は、デューラーが自らの父によってとりまとめられたこの結婚についてまだ知らされていなかったかも知れないという点である。同じくあざみはキリストの受難の暗示とも考えられ、「自分の身に起こることは、天の思し召し」という画面の制作年の横の記載とも関連付けられる。こうしてこの作品は、自らを神の栄光の光輪を携えたキリストという救世主の姿で描いた《1500年の自画像》(ミュンヘン、アルテ・ピナコテーク所蔵)を予兆しているとも言える。いずれにせよ、画家の誇りと人間性の謙遜が混じり合ったこの自画像は、その他の画家たちが後に影響を受けることになる新しい社会地位を露にしている。デューラーはこうして中世の伝統から新しい芸術への道のりを画しており、その結果彼はドイツルネッサンスの最初の画家となったのである。

出典

- EICHLER Anja-Franziska, Dürer Albrecht 1471-1528, Maîtres de l'art allemand, Könemann, 2000, pp. 18-19.

- STUMPEL Jeroen, VAN KREGTEN Jolein, "In the Name of the thistle : Albrecht Dürer's self-portrait of 1493", in The Burlington magazine, 2002, 144, 1186, pp. 14-18.

作品データ

  • アルブレヒト・デューラー(ニュルンベルグ、1471-1528年)

    《自画像、もしくはあざみを持った自画像》

    1493年

  • 油彩 カンヴァスに貼り付けた羊皮紙

    縦56.5cm、横44.5cm

  • 1922年取得

    R.F. 2382

  • 絵画

    リシュリュー翼
    3階
    ゲルマン語圏諸国 16世紀 展示室I
    展示室8

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

中央上部の記載:1493 (D.H.) ; MIN SACH DIE, GAT ALS ES OBEN SCHTAT