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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《艀のあるセーヌ河岸、もやの効果》

Quai de la Seine avec chaland, effet de brume

素描・版画
19世紀

執筆:
Goarin Véronique

マリウス・グラネは、ロマン主義に魅了され、風俗画の分野で名を上げた。グラネは、イタリアに長く滞在した後、ルーヴル美術館とヴェルサイユ美術館の学芸員に任命される。グラネの晩年の作であるこの水彩画は、グラネがヴェルサイユ庭園やセーヌ河岸で、写生に基づいて風景画を制作するのを好み、形態を単純化し、光の変化のみを注視したこの時期の特徴をよく表わしている。

光の芸術家

エクス=アン=プロヴァンスに生れ、同地で歿したマリウス・グラネは、南フランス、パリ、ローマで活躍し、もっぱら光の効果を描き出すことに関心を抱いていた南仏の芸術家である。エクスではコンスタンタンの弟子であり、次いでパリではダヴィッドに学んだグラネは、風俗画に専念し、画趣に富んだ宗教的主題を得意とした。グラネは、ほどなくして友人のフォルバン伯爵と一緒にローマに発つ。グラネは、ローマに20年余滞在し、その間定期的にサロンに絵画を送った。こうした絵画においてグラネは、建築の枠組みや室内や野外に、聖職者や歴史上の人物を配置したが、そこでは常に光が影と戯れながら広がり、立体感が単純化されている。こうしてグラネは、自らの作品に統一感を与える独特な雰囲気をつくり出したのである。

水彩の使用

パリに戻ったグラネは、フォルバン伯爵から、ルーヴル王立美術館の学芸員、次いでヴェルサイユ歴史美術館の学芸員に任命された。ヴェルサイユ歴史美術館のために、ルイ=フィリップは、グラネに大きな歴史画を注文している。グラネは、こうした公の職業と平行して、風景画の制作に時間をかけた。1804年以降、グラネは、18世紀末のイギリス人の例に倣い、水彩画にそれ自体の価値を与えることによって、フランスで水彩を革新した。この技法によって、グラネは素早く制作し、自然な仕上がりを得ることが可能となり、写し取った色合いを調和させることができるようになったのである。グラネの澄み切った光り輝く風景画では、野外の雰囲気をよりよく表わすために、水を含ませた筆による独特な色合いが見られる。

先駆的な芸術家

グラネは、登場人物が瞑想したり内面化したりした結果生れる感情をその作品に描き出す点において、間違いなくロマン主義の先駆者の一人である。グラネは、自然を直接描写するやり方、適切なものの見方、光を扱う術においても革新的であった。また、グラネは、ローマの景観図と風景画においてコローに先立っている。ピトレスクな面を放棄したグラネの晩年の水彩は、次第に詩的な「印象」を再現するようになる。《艀のあるセーヌ河岸》は、ヴェルサイユ宮殿の「スイスの人工池」のように、グラネが絶えず、あらゆる天候のもとで、あらゆる時間帯を描き出し、空間を震わせ、細部を無視して形態を単純化したモティーフの一例である。ここでは、もやが光を和らげ、カルーゼル橋のイメージはかすんでいる。見物人と艀は、当時の都市生活と河川交通の重要さを思い起こさせるが、ここには逸話的な性格は何一つ見られない。今日巨匠とは見なされていないグラネではあるが、こうして近代的なゆえにその時代からは孤立した芸術家として見えるのである。グラネは、200枚の素描をルーヴル美術館に遺贈し、残りの作品に関しては今日グラネの名前を冠しているエクスの美術館に遺贈した。エクスのグラネ美術館は、この素描に大変近い2枚の水彩画を所蔵している。

出典

- COUTAGNE Denis, Granet. Paysages de l'Ile-de-France : aquarelles et dessins, collections du musée Granet, Aix-en-Provence, 1984.

- MICHEL Régis et SERULLAZ Arlette (sous la dir. de), L'Aquarelle en France au XIXe siècle, dessins du Musée du Louvre : LXXIXe exposition du Cabinet des dessins, cat. exp. Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1983, n 73.

- SERULLAZ Arlette, FRANK Louis, PROPECK Lina, Granet, Paris, musée du Louvre, Milan, 5 Continents Editions, 2006, n 27.

- THUILLIER Jacques, "Marius Granet, précurseur du Romantisme", préface de Granet, peintre de Rome, par Isabelle Néto-Daguerre et Denis Coutagne, Aix-en-Provence, 1992.

作品データ

  • フランソワ=マリウス・グラネ(エクス=アン=プロヴァンス、1775-1849年)

    《艀のあるセーヌ河岸、もやの効果》

    1843年

  • 黒のクレヨンの描線に水彩

    縦18.10 cm、横29.30 cm

  • 1849年にグラネの遺贈

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

右下に、ペンと褐色インクで書き込み:Paris ce 18 jan/1843(パリ、この1月18日/1843年)