Go to content Go to navigation Go to search Change language

ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《若い婦人に贈り物を捧げるヴィーナスと三美神》

《若い婦人に贈り物を捧げるヴィーナスと三美神》

© 2007 Musée du Louvre / Angèle Dequier

絵画
イタリア絵画

執筆:
Speranza Bastien, Thiébaut Dominique

このフレスコ画は、メディチ家の縁戚に当たるトルナブオーニ家のものであったフィレンツェ近郊の大邸宅ヴィッラ・レンミに元あったものである。同様に、このフィレンツェの有力な名家の一員が結婚した際にボッティチェッリはこの装飾画の注文を受けたと考えられており、若い婦人はナンナ・ディ・ニッコロ・トルナブオーニであると思われる。三美神に付き添われたヴィーナスは、若い花嫁が差し出す布の中に贈り物を置こうとしている。

新プラトン主義の図像表現

非常に簡素な背景の中で、右側にいる緋色のドレスを着た一人の若い婦人が、厳粛な物腰でヴィーナスの手から花束を受け取っている。側面から描かれた女神に付き従っているのは、透明で渦を巻くような衣服を身に纏い、波打つような華奢(きゃしゃ)な輪郭をもった三人の若い女たち、すなわち、三美神である。右端下部では、一人のアモルが作品の境界を画している一方で、左側には謎めいた噴水があり、それ一つで場面を想像上の庭園へと変えるのに役立っている。
ボッティチェッリは、メディチ家宮廷においてマルシリオ・フィチーノの周辺で人々を賑わしていた新プラトン主義の諸理論に影響を受けている。愛の女神ヴィーナスは、同時に人間が魂の不死を得ることを可能とする愛智の女神でもある。セネカによると三美神は、寛大さを示す「与える」、「受け取る」、「返す」という三つの異なる行為を具現するものである。

「理想美」とイデアの世界

ヴィーナスの仲介によって、右側の女性は「理想美」とイデアの世界にたどり着く。彼女は単に死すべき人間を象徴しているのみである。彼女の高い背丈はほとんど重苦しいと言ってもよく、三美神から漂う軽やかな印象と対照的である。真っ直ぐとして考えが読み取れない彼女の視線は、女神たちを実際に見ることなくその上を通り過ぎているようである。彼女は贈り物を受け取っているが、それがどんな物であるかは重要ではない。画家は贈り物という行為を強調しているのである。
このフレスコ画は、新プラトン主義の思想に傾倒した注文主らの集まりに接したボッティチェッリが展開した哲学的思考の到達した成果を反映したものである。過度の装飾をすべて排除することで、作品は描線と色彩のみが絶対的な美を作り上げるイデアの世界を描き出している。

ヴィッラ・レンミのフレスコ画

この絵画は、1873年にヴィッラ・レッミのロッジア(吹き放しの廊下)の漆喰の下から発見された三点のフレスコ画連作の一つである。三点のうちルーヴルは二点を取得した。損傷していた三つ目の作品はその場に残されている。この作品の対画は、芸術の神たちの集いの前にいる一人の青年を描き出していることから、この二つの作品と、1486年のロレンツォ・トルナブオーニとジョヴァンナ・デリ・アルビッツィの「婚姻」との関連が考えられた。しかしながら、このフレスコ画連作の制作年(1483年頃)が結婚の年よりも前であることや、ヴィッラの所有者が明らかでないことから、連作に描かれている二人の若者が本当に二人の婚約者であると断定することはできない。 

作品データ

  • アレッサンドロ・フィリぺーピ、通称ボッティチェッリ(フィレンツェ、1445年頃-1510年)

    《若い婦人に贈り物を捧げるヴィーナスと三美神》

    1483-1485年頃

    Villa Lemmi, aux alentours de Florence

  • フレスコ

    縦2.11m、横 2.83m

  • 1882年取得

    R.F. 321

  • 絵画

    ドゥノン翼
    2階
    ペルシエとフォンテーヌ ボッティチェッリによるヴィッラ・レンミのためのフレスコ画 15世紀
    展示室1

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

チケットを購入する