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《葡萄狩りの杯》

© 2011 Musée du Louvre / Martine Beck-Coppola

工芸品
19世紀

執筆:
Barbier Muriel

《葡萄狩りの杯》という名称は、葡萄と酩酊を想起させる金具の主題に由来する。16世紀ドイツの金銀細工作品に着想を得たフランソワ=デジレ・フロマン=ムリス(1802‐1855年)の作品は、七月王政を特徴づけるルネッサンス芸術への憧れを反映している。フロマン=ムリスはこれに似た杯を1844年のフランス産業博覧会に出品し、多大な成功をおさめた。

葡萄酒に結びついた図像

黄瑪瑙の楕円形の杯を支える金めっきした銀の台座は、葡萄の株を象ってあり、不透明なエマイユ・シャンルヴェ(生地彫り七宝)で装飾した三葉形の台座から生えているように見える。台座には、それぞれ異なる形の酩酊を想起させる人物が座る。ギリシアの詩人アナクレオンは詩的な酩酊を、旧約聖書のロトとその娘のひとりは性愛に結びつく乱酔を象徴し、一方ノアはバッカスの泥酔を体現している。これら人物像の間から、若枝や葉、真珠でできた葡萄の房が巻きついた葡萄の株が伸びている。この葡萄の木の先は取っ手を形作っているが、そこを5人のアモルがよじ登り、酔って物憂げに横たわる理性の擬人像を囲んでいる。取っ手の下部には、4羽の雛鳥のいる巣がトカゲの攻撃を受けるという、劇的な場面が展開される。これはロマン主義の時代に流行した主題である。

様々な技法の復活

この杯の構図を決めるにあたり、フランソワ=デジレ・フロマン=ムリスは協力者である彫刻家のひとりアドルフ=ヴィクトール・ジョフロワ=ドゥショームの力を借りる。ジョフロワ=ドゥショームは16世紀ドイツの金銀細工から着想を得た。ルネサンスの影響は、杯の形と、堅石の容器を飾るために金銀細工の金具を用いるという選択に留まらず、使用された技法にも認められる。金めっきした銀の上彫は、彫金師アントワーヌ・ヴェシュトとルイ=オーギュスタン・ミュルレに委ねられ、巧緻かつ正確に仕上げられた。葡萄の葉には半透明のエマイユ、脚にはエマイユ・シャンルヴェと不透明のエマイユが施されていることも16世紀の美術を想起させ、18世紀に放棄された色鮮やかな金銀細工への回帰を示している。堅石に金具を取り付けた工芸品は、17世紀末以来ほとんど制作されていなかったが、この《葡萄狩りの杯》はこうした作品への関心が蘇ったことを明らかにする。

金具を取り付けた堅石作品の成功

金銀細工の金具を取り付けた堅石の杯は、確かな成功を収めた。フロマン=ムリスは、この《葡萄狩りの杯》の図案や別の素描に基づいた杯数点を制作した。またジャン=ヴァランタン・モレル(1794‐1860年)など他の金銀細工師も、やはりこうした作品を発表している。ルーヴル美術館の杯は、フロマン=ムリスが1844年に産業博覧会に出品したものではおそらくない。現在、他に2点の杯が知られている。ひとつは1855年にウェストファリア王ジェロームから娘の王女マティルドに贈られ、コンピエーニュ城に保存されるもの、もうひとつは個人蔵である。共にルーヴル美術館の作品にきわめて近く、細部がわずかに異なるのみである。これら3作品すべて、ジュール・ヴィーズ(1818‐1868年)の刻印があるが、この人物はフロマン=ムリスのもとで金銀細工師として働いた後、独立して引き続きかつての親方のために働いた。

出典

- Trésors d'argent. Les Froment-Meurice, orfèvres romantiques parisiens, Editions "Paris-Musées", Paris, 2003.

- Un Age d'or des arts décoratifs, Editions de la Réunion des musées nationaux, Paris, 1991, pp. 452 - 454.

作品データ

  • フランソワ=デジレ・フロマン=ムリス

    《葡萄狩りの杯》

    1844年頃

    フランス、パリ

  • 瑪瑙、一部金めっきとエマイユ(七宝)を施した銀、真

    高さ35cm、幅27cm、奥行き15cm

  • 1984年取得

    OA 11011

  • 工芸品

    リシュリュー翼
    2階
    シュナヴァール
    展示室80

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

基部に署名:FROMENT-MEURICE (フロマン=ムリス)