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作品 《襞のある布を持ち上げる、ひざまずいた裸体の男》

素描・版画部門 : 18世紀

Homme nu, agenouillé, soulevant une draperie

素描・版画
18世紀

執筆:
Boyer Sarah

この素描は、《ニンフとサテュロス》、別名《ユピテルとアンティオペ》(M.I. 1129)の中のサテュロスの人物像の準備習作であり、ヴァトーの作風を象徴している。クロザ邸館の「四季」連作の中の《秋》に様式的に近いこの素描は、三色のチョークを巧みに組み合わせ、ヴァトーの作品がそれまでに到達した充実した感覚をつくり出している。1715年末から1716年初頭にかけて描かれたと推定されるこの作品は、素描においても絵画においてもヴァトーが到達した完全な技量を示している。

描けよ、骨折りを惜しむな

ヴァトーは、このサテュロスを、モデルを写生した第2の習作(パリ、クストーディア財団)でも描いた。第2の習作は、描き方がより簡略化された点や、モデルが地面のきわめて近くでポーズを取り、左側により体を伸ばして、自然な身振りを誇張している点において著しく異なる。ヴァトーは、1715年作の絵画では、第2の習作のより劇的な動きと、ルーヴル美術館所蔵の素描に見られる表現と筋肉の細部を組み合わせた。モデルのポーズは、ヴァン・デイクの《ユピテルとアンティオペ》(ヘント美術館)に想を得ている。ルーヴル美術館の素描のサテュロスは、バロック風のアラベスク線描ともり上がった筋肉にもかかわらず、比較的ヴァン・デイクのユピテルに近い。第2の素描では、ヴァトーは、ヴァン・デイクのモデルから解放され、サテュロスの顔を腕からさらに遠ざけている。互いに逆方向へ引っ張る荒々しい動きは、しばしば晩年のヴァトーにおける人物のポーズの特徴であるが、ここより動きは優雅で抑制されている。

ヴェネチア派からヴァン・デイクへ

ヴァトーは、クロザ邸館の装飾事業において、風景の雰囲気、テーマ、暖色系の色調や豊満な裸体表現の点で、ヴェネチア派の影響を受けた。さらにこの素描は、《十字架を担うキリスト》(アントウェルペン、サント=パウルス教会)に登場するキリストを嘲弄する男のためにヴァン・デイクがモデルを写生した別の準備習作(ロンドン、コートールド研究所)を思い起こさせる。その男は、綱を引き、左腕を腿に押し付け、右腕を伸ばしている。ヴァン・デイクの作品に関心を抱いていたヴァトーは、おそらくこのヴァン・デイクの素描を自分の習作の準備に用いたのである。蒐集家マリエットは、自らのコレクションのアルファベット順の所蔵品目録の中で、ヴァトーの人物像の新しさ、独創性、写実性、近代性や自律性を褒めたたえている。「この優れた人物の手から描き出される各々の人物は、かくも真実味がありかくも自然なので、それだけで十分に注意を引き、より大きな主題の構図によって支えられる必要がない。」

三色のチョーク

この素描の新しさは、白のハイライトがヴァトーの手になるものであるかどうかしばしば問題視されているとはいえ、三色のチョークを用いる彩色技法にある。とりわけルーベンスとラ・フォッスに負うこの技法をヴァトーが創始したわけではないが、それでもヴァトーは三色のチョークの表現体系や線描の規範を作り上げた。そこでは、サンギーヌの太く濃く柔らかい描線が、黒チョークのバロック風の威風とペンの厳格な古典主義とは断絶している。肌の色を描写する媒体であるサンギーヌは、赤みを帯びた肉体の輝きと密度の高い形態の中に、身体を再現するのである。覗き見ることの快楽と逃避しなければならない状況の間で、ヴァトーのサテュロスは、瞬時の描写と曲線の美学というバロックの2つの特徴に従い、欲望の寓意として際立っている。ここで人物は、覆いを剥ぎ取る瞬間という行為に還元されているのである。

出典

- GRASSELLI Margaret Morgan, Watteau 1684-1721, cat. exp. Washington, National Gallery of Art, Paris, Galeries nationales du Grand Palais, Berlin, Charlottenburg, 1984-1985, pp. 130-131, n 60.

- MOUREAU François, GRASSELLI Margaret Morgan, Antoine Watteau (1684-1721) : le peintre, son temps et sa légende, colloque international, Paris, Grand Palais, 1984, Genève Paris, Éditions Clairefontaine, 1987.

- PLAX Julie Ann, Watteau and the cultural politics of eighteenth-century France, Cambridge ; New York ; Melbourne [etc.], Cambridge University Press, 2000.

- ROSENBERG Pierre, PRAT Louis-Antoine, Antoine Watteau 1684-1721 : catalogue raisonné des dessins, Milan, Leonardo arte, 1996, pp. 608-609, n 375.

En savoir plus :

- BAILEY Colin B., CONISBEE Philip, GAEHTGENS Thomas W., Au temps de Watteau, Chardin et Fragonard, cat. exp. Ottawa, musée des Beaux-Arts du Canada, Washington, National Gallery of Art, Berlin, Staaliche Museen zu Berlin, 2003-2004.

- ROSENBERG Pierre, Des Dessins de Watteau, Tokyo, Chuo-koron Bijutsu shuppan, 1995.

- ROSENBERG Pierre, Watteau et son cercle dans les collections de l'Institut de France, cat. exp. Chantilly, musée Condé, 1996-1997.

- TEMPERINI Renaud, Watteau, Paris, Éditions Gallimard, 2002.

- VIDAL Mary, Watteau's painted conversations : art, literature, and talk in seventeenth-and eighteenth-centuries France, Londres, New Haven, Yale university press, 1992.

- WINTERMUTE Alan, BAILEY Colin B., ROSENBERG Pierre, Watteau and his world : French drawing from 1700 to 1750, cat. exp. New York, Frick collection, Ottawa, National Gallery of Canada, 2000.

作品データ

  • アントワーヌ・ヴァトー(ヴァランシエンヌ、1684年-ノジャン=シュル=マルヌ、1721年)

    《襞のある布を持ち上げる、ひざまずいた裸体の男》

    1715-1716年頃

    ガブリエル・ユキエ・コレクション、サン=モリス・コレクション、1793年に亡命貴族の財産として接収1796-1787年に中央美術館に収蔵

  • ベージュ色の紙に黒チョーク、サンギーヌ、白のハイライト

    縦24.50 cm、横 29.80 cm

  • Collection Gabriel Huquier ; collection Saint-Morys ; saisie des biens des Émigrés, 1793, remise au Museum en 1796-1797

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
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開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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