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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《読書》

素描・版画
18世紀

執筆:
Dupuy Marie-Anne

《読書》は、まどろんでいたり、読書やデッサンに没頭していたり、あるいはひそひそ話をしている1人か2人の人物を場面に登場させた淡彩のシリーズの中の一枚である。淡彩は、1770年代から1780年代にかけてフラゴナールが好んで用いた技法であった。ロッテルダム(ボイマンス=ファン・ボニンヘン美術館)に所蔵されている、会話を交わす二人の若い女性を描いた別の淡彩は、ルーヴル美術館所蔵の素描の対作品をなすと考えられる。

読書

フラゴナールは、しばしば読書の場面や、羊皮紙に似た画帖をめくる人物を登場させた場面(《ディドロの肖像》さらに《学習》)を好んで絵画や素描に描いた。ここでは、一人の女性が観者に背を向け、小さな本を朗読しており、肩越しに明るいページが見分けられる。その連れの女性の優美なポーズは、この女性が朗読されている物語に注意深く耳を傾けていることと同時に、この物語の世界に浸った女性の夢想や物思いを表している。フラゴナールは、2人の人物の対称的な姿を巧みに描き分け、異なった社会条件を細かく描写することなく暗示している。読書している女性は、小さな縁なし帽をかぶり、三角形のスカーフを首に巻き、田舎風の椅子の上にマントを掛けている。それに対し、第2の女性は、洗練された髪形で、飾り襟の付いたサテンのドレスをまとい、優雅な肘掛け椅子に腰かけている。

淡彩の達人

この素描に描かれているモデルは、それぞれフラゴナールの義妹と妻にあたる、マルグリット・ジェラール(1761-1837年)とマリー=アンヌ・フラゴナール(1745-1823年)であるとしばしば見なされてきた。より若い女性の方の年齢を考慮するならば、この素描は1778年頃に描かれたものと思われ、作風の観点からもその時期に一致する。その頃フラゴナールは、彼が並外れた技量の域に達していた淡彩によるいくつかの風俗画を制作していた。フラゴナールは、コントラストの効果を巧みに生かしつつ、きわめて暗い色から最も明るい色まであるインクで塗られた背景に人物が浮かび上がるよう前面に出している。2人の女性のグループは、繊細に照らし出され、左側の若い女性のドレスのサテンの襞やシニョンの丸みにその繊細な光が捉えられている。

詩人フラゴナール

この素描の主役の特定は、大して重要な問題ではない。この素描の主題は、ポーズを取るモデルを写生した習作でも、特定の瞬間を写し取ることでもないからである。逸話的な余計な細部を全て取り去ったことで、場面はほとんど時間を超越し、純粋に詩的な契機となったのである。

出典

- ANANOFF Alexandre, L'Oeuvre dessiné de Jean-Honoré Fragonard (1732-1806), F. de Nobele, I, 1961, n 61, II, fig. 27.

- CUZIN Jean-Pierre, Fragonard, Paris, musée du Louvre, Milan, 5 continents, coll. "Cabinet des dessins", 2003, n 25.

- ROSENBERG Pierre, Fragonard, cat. exp. Paris, Grand-Palais, New York, Metropolitan Museum, 1987-1988, Éditions de la réunion des musées nationaux, n 270.

作品データ

  • ジャン=オノレ・フラゴナール(グラッス、1732年-パリ、1806年)

    《読書》

    1778年頃

  • 黒チョークによる輪郭線に褐色の淡彩

    縦28.3 cm、横21 cm

  • サン=モリス・コレクション、1793年に亡命貴族の財産として接収の後、1796-1797年に中央美術館に収蔵

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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