Go to content Go to navigation Go to search Change language

ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《請願書》

《請願書》

© Musée du Louvre / Martine Beck-Coppola

工芸品
17世紀

執筆:
Ribou Marie-Hélène de

このタピスリーは、取り上げた題材の数の点でも、織られたタピスリーの数の点でも、17世紀のとくに重要な壁掛け連作に数えられる。出典は、国王アンリ2世の寡婦でフランスの摂政でもあったカトリーヌ・ド・メディシスの栄光を讃え、ニコラ・ウエルが作った詩である。ここでは「強い女性」王妃アルテミシア の物語が描かれる。アルテミシアはアケメネス朝ペルシアの大守マウソロスの寡婦で、 模範的な摂政政治と息子の教育を行ったという。

壁掛けの主題

アルテミシアの物語は、小アジアにあったカリアの2人の王妃の生涯に着想を得ている。ひとり目のアルテミシアは前5世紀の王妃で、その行いと息子のリュグダミスの教育で知られる。もうひとりのアルテミシアは前4世紀の大守マウソロスの寡婦であり、夫への貞節の証として、ハリカルナッソスのマウソロス霊廟という類を見ない陸墓を建設させた。これは古代世界の七不思議に数えられる。
壁掛けは44の題目で構成され、 大守マウソロスの盛大な葬儀と、摂政アルテミシアの見事な統治と息子の教育を表している。
新たに織られる一連のタピスリーはそれぞれ、大抵注文主の関心に応じて選ばれたいくつかの主題で構成されたため、葬列が優先されたり、摂政政治が優先されたりした。このタピスリーは第2のまとまりに属し、王妃が柱廊の前で、自分が指差す息子と共に使節を迎えている。

壁掛けの誕生

パリの碩学ニコラ・ウエルは、1562年、国王アンリ2世の寡婦でフランスの摂政だったカトリーヌ・ド・メディシスの栄光を讃え、長編詩を献じた。その中でウエルは、同じく模範的なやり方で摂政を務め、息子を教育した太守マウソロスの寡婦アルテミシアに、王妃を例えている。
この詩には、「美しく、贅沢なタピスリー絵画」の図案となる素描が挿絵として施されている。国王付きの画家アントワーヌ・カロンが大半の素描を制作した。
しかし、国王付きの室内装飾家アンリ・ルランベールが、この素描をもとにタピスリーのカルトン(下絵)を制作するように要請を受けたのは、17世紀初頭になってからである。ルランベールの死後は、彼の職務を受け継いだひとりであるロラン・ギオが作業を代わって行った。これらのカルトンはルーヴル宮内の工房用に制作され、そこで第一作目の壁掛けが織られた。タピスリーの歴史の中ではよくあることだが、これらのカルトンはフォブール・サン=マルセルの工房に渡り、何組かの壁掛けが織られた。このタピスリーにも同工房の印が入っている。

革新的な壁掛け

16世紀の宗教戦争により、フランスではタピスリー芸術が衰退した。アルテミシアの物語はアンリ4世が創設した工房で制作された初期の作品であり、この技法の復興を示している。
主題と作品の図案は半世紀前のすでに古びたものだとしても、「古代の強い女性」を讃える題目の方は、時代に合っていた。カトリーヌ・ド・メディシスの姪にあたる王妃マリー・ド・メディシスが幼い息子ルイ13世の摂政に指名されると、なおさら時流に沿うように思われた。
またふんだんに装飾を施した幅広の縁取りが認められるが、これは17世紀全体を通してパリの芸術の傾向に沿って発展する。このタピスリーは 切り込みを入れた革のモチーフなどにフォンテーヌブロー派の影響が顕著だが、17世紀前半の大半のタピスリーの縁取りにみられる単色のカルトゥシュ(飾枠)がすでに認められる。

出典

Un temps d'exubérance. Les arts décoratifs sous Louis XIII et Anne d'Autriche, Paris, Editions de la Réunion des musées nationaux, 2002.

作品データ

  • 素描:アントワーヌ・カロン(1521–1599年)カルトン(下絵):アンリ・ルランベール(1545年頃–1608年)とロラン・ギオ(1575年頃–1644年以降)フォブール・サン=マルセルの工房

    《請願書》

    1601‐1627年の間

    パリ、フォブール・サン=マルセルの工房

  • タピスリー、1cmあたり経糸7本、羊毛と絹

    縦4.05m、横3.60m

  • 1890年、国有調度品保管所より分与

    壁掛け連作《アルテミシアの物語》より《請願書》

    OA 6068

  • 工芸品

    リシュリュー翼
    2階
    アンリ3世
    展示室27

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

チケットを購入する

作品の補足情報

右下の縁布に印:フランソワ・ド・ラ・プランシュ(または:ヴァン・デル・プランケン)を表すFVR1744年、パンティエーヴル公コレクション