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作品 《諷刺的寓意画 ― 追放されるメルクリウス》

素描・版画部門 : 16世紀

Allégorie satyrique : Mercure purgé

Musée du Louvre, dist. RMN-Grand Palais - Photo S. Nagy

素描・版画
16世紀

執筆:
Bartolucci Sara

著名な美術愛好家らの所有していたペルッツィのこの見事な作品は、楽しげかつ幻想的であり、ルーヴルのイタリア素描画の中でも最も美しく、最も神秘的なものの一つである。そこでは、演劇の影響が顕著である。 この作品は同時に、古典古代世界の精神を我が物とするとともに、それを近代的形式で表現しようと試みたルネサンス人の思想を理解させてくれる、類い稀な例でもある。

滑稽な場面

「イタリアの町の広場に張り出された諷刺画」――この風変わりな作品が大美術品蒐集家マリエットによって競売に付された際、添付の注記にはこう記されていた。この素描はそれ以前クロザ・コレクションに属しており、ヴァザーリの著名な『素描の書』にも含まれていた。ヴァザーリはその『芸術家列伝』(1568年)において、この作品の解説を行っている。幾多の建物に囲まれた広場の中央で、メルクリウスの追放が行われている。メルクリウス神は、仮面を着けていたり、戯画化されていたり、あるいは裸であったりする群衆に囲まれている。左には、少し離れたところに少数の人々が集っている。その傍らでは、少年がふいごを持ち、小犬と戯れている。右には、遠ざかりつつある女が横向きに描かれ、場面の空隙を埋めている。広場を隙間なく取り囲んでいる建築物のうちいくつかは見分けることができる。たとえば、左から右に、コンスタンティヌス帝凱旋門、コロッセウム、海神ネプトゥヌス像(ネロ帝政期作の巨像)、風神の塔、トラヤヌス帝記念円柱、ニ柱のオベリスク、劇場、ブラマンテによる「小神殿」、火の女神ヴェスタに捧げられた神殿である。

空想的都市

多才かつ知的好奇心旺盛であったペルッツィは、その長い活動期間を通じて、画家であり、素描家であると同時に、舞台設計家でもあり、また建築家でもあった。この作品は、シエーナの劇場のためにペルッツィが制作した舞台構成のための準備素描と非常に似通っており、作者のこうした幅広い興味関心が見て取れる。この素描においては建築物が中心的役割を果たしているが、それは、作者がここで、現存していたローマの記念建築物を描いたり、消失した建物を幻想的に再構成して見せたりしているからである。こうした要素の組合せが、空想的かつ抽象的な都市を創り出している。ペルッツィの生きた時代であるルネサンス期は、人々が古代の文献や考古学的遺跡を再発見し、古典古代への関心がきわめて高かった時代である。

錬金術師や芸術家への諷刺?

主題についてはさまざまな解釈がなされたが、この場面が正確に意味するところは謎に包まれている。ヴァザーリはすでに、そこに錬金術師への諷刺を見て取っていた。より最近では、ペルッツィは友人ヴァンヌッチオ・ビリングッチの著作『ピロテクニア』にヒントを得たのではないかということが明らかになっている。ペルッツィがメルクリウスを選んだのは、この術策と裏切りの神が、錬金術師が金を作り出すのに用いる金属である水銀と同じ名を持つからであろう。また、メルクリウスが諸芸術の守護神でもあるということを念頭においた場合、作者の用いた象徴を、まったく別な風に解釈することもできる。例えば、左には正統派の芸術家、すなわちラファエッロ、ミケランジェロ、セバスティアーノ・デル・ピオンボ、ジョヴァンニ・ダ・ウーディネらがおり、右には逆に貪欲な芸術家連中、すなわちブラマンテ、ジュリアーノ・ダ・サンガッロらがいる、という具合である。この解釈に従えば、この素描は、その芸術を高めるかわりに富を求める、商人芸術家らに対する批判となっていると言えるであろう。いずれの説に従うにせよ、この素描においては、ルネサンスの自由な精神を有する建築家、舞台設計家、素描家、そして碩学が、それぞれにふさわしい表現を獲得しているということは確かなのである。

出典

- BACOU Roseline, Autour de Raphaël, cat. exp. Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des Musées nationaux, 1983, notice 20.

- FROMMEL Christoph Luitpold, Baldassarre Peruzzi als Maler und Zeichner, A. Schroll cop., Wien-München, 1967-1968, pp. 155-158, notice 125.

- PREPVYER P., Représentation de l'architecture sacrée. Le temple, Nice, Musée national Message Biblique Marc Chagall, 1982, p. 89, notice 68.

- RAGGHIANTI COLLOBI Licia, Il libro de' disegni del Vasari, Firenze, 1974.

- REIFENSCHEID B., Zeichnungen aus der Toskana, das Zeitalter Michelangelos, München-New York, édition Prestel, 1997, p. 200, notice 65.

- VASARI Giorgio, Les Vies des meilleures peintres, sculpteurs et architectes, 12, in Vasari illustré : du texte à l'image, édition commentée par André Chastel, Christiane Lorgues-Lapouge et Catherine Monbeig-Goguel, Paris, édition Berger-Levrault, 1969, p. 228, notice 120.

Italian Renaissance drawings from the Musée du Louvre, New-York, Metropolitan Museum of Art, 1974-1975, notice 52.
 

作品データ

  • バルダッサーレ・トマッソ・ペルッツィ(シエーナ、1481年-ローマ、1536年)

    《サテュロス的(=諷刺的)寓意画――追放されるメルクリウス》

    1530-1532年

  • ペン、褐色インク、褐色の淡彩

    縦33.2 cm、横51.5 cm

  • ジョルジョ・ヴァザーリ、ピエール・クロザ・コレクション、ピエール=ジャン・マリエット・コレクション、1775年にパリでその競売(584番)、国王美術品蒐集室により購入

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

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開館時間
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水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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