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作品 《遠方に山々を望み、牛の群れが水を飲む岸辺》

素描・版画部門 : 17世紀

Paysage : une rivière ; homme et vaches au bord de l'eau

素描・版画
17世紀

執筆:
Maget Antoinette

素朴な簡潔さと風変わりな感受性の間を揺れ動く作風を示す芸術家、ニコラース・ベルヘムによって描かれたこの素描には、河川に沿って水を飲む何頭かの牛が見える。「イタリア風の」作品を描くベルヘムに典型的なこの素描は、おそらく17世紀中頃に制作されたものと思われる。多作な画家ニコラース・ベルヘムは、この素描のようにたとえ牛が中心テーマでなくても、風景画の中にほぼ決まって牛を描き込んだ。

静かな水飲み場

この素描の前景に広がる静かな水場の向こうに、水平線が開け、丘陵が広がっており、その風景の前で、何頭かの牛が穏やかに水を飲んだり、草を食んだりしている。ベルヘムに典型的な、灰色の淡彩と黒チョークのタッチの間の繊細な色彩の戯れのおかげで、細部まで余すところなく風景が再現され、あらゆる詩情が感じられる。この作品は、「CP Berghem f./1654」という日付と署名入りの《遠方に山々を望む、川のある風景》(ニューヨーク、ピエールポント・モーガン図書館)と比較することによって、1650年から1660年頃の作と推定できる。さらに17世紀中頃は、ベルヘムが扱う主題が変化していた時期に相当する。初期のベルヘムが、歴史的場面を描いた素描や、人間や動物の習作を制作していたのに対し、この時期のベルヘムは、いくつかの廃墟や泉が見え、群れや羊飼いのいる、水平線が大きく開けた風景を描き始めたのである。

イタリアのオランダ人?

静物画家の息子だったニコラース・ベルヘムは、17世紀の偉大な風景画家の一人である。ベルヘムは、ハールレムに1642年から1677年まで住み、その作品に南方の雰囲気が漂っているにもかかわらず、ベルヘムがイタリアに滞在した証左を見つけることは不可能である。ヤン・アセレインやヤン・ボトといった芸術家の作品が、ベルヘムに影響を及ぼしたのは明白であり、ベルヘムは、同時代人の素描を研究することによって、自らの風景画にイタリア的な面と最も雄弁な地中海の光を与えることに成功した。1650年頃ベルヘムは、ヤコブ・ファン・ロイスダールとともに、ヴェストファーレンとニーダーザクセンを旅する。ベルヘムは、40年に渡る画業においてきわめて多作であり、ベルヘムの手になる850枚の絵画と500枚の素描が今日所蔵されている。

風景のヴァリエーション

ベルヘムは光の効果にきわめて敏感であり、それが、一方では時にほとんど写真と見まがうような自然を描き、他方では完璧に写実的な風景のただ中に「精神の目で見た光景」を描くことを可能にした。ベルヘムは、その卓越した簡潔な描法を明らかにし、そこで光は、明るい紙と黒チョークの暗めのアクセントのコントラストによって繊細に暗示されている。ベルヘムは、比類のない才能、見事な装飾と場面設定の感覚、繊細で魅惑的な光と顔料の用い方、そして生き生きした線描によって、風景画に精神的な意義を与え、このジャンルの変化を体現した達人の画家の一人である。ベルヘムの作品は、田園画やブーシェのような芸術家に多大な影響を及ぼすことになる。

出典

- SCHATBORN Peter, "Claesz Pietersz. Berchem", in Drawn to Warmth : 17th Century Dutch Artists in Italy, cat. exp. Amsterdam, Rijksmuseum, 2001, pp. 187-213.

- STARCKY Emmanuel, Inventaire général des dessins des Écoles du Nord, Ecoles allemande, des Anciens Pays-Bas, flamande, hollandaise et suisse XVe-XVIIIe siècles, Supplément aux inventaires publiés par Frist Lugt et Louis Demonts, Paris, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1988, n 200, p. 146.

作品データ

  • ニコラース・ピーテルスゾーン・ベルヘム(ハールレム、1620年-アムステルダム、1683年)

    《遠方に山々を望み、牛の群れが水を飲む岸辺》

    1650-1660年

    トロワード・コレクション、ウィリアム・エスデイレ・コレクション、1807年に購入、パリのウォルター・ゲイ・コレクション、1938年に寄贈

  • 黒チョーク、灰色淡彩、ペンで縁取り、下側に黒インク

    縦8.80 cm、横19.10 cm

  • Collection Troward ; collection William Esdaile, Londres, acquis en 1807 ; collection Walter Gay, Paris ; don en 1938

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

ペンと褐色の淡彩で裏面に書き込み:WE-1807-Trowards collection, P. 8, N 567/Berghem