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作品 《金貸しとその妻》

絵画部門 : フランドル絵画

《金貸しとその妻》

© 2007 Musée du Louvre / Angèle Dequier

絵画
フランドル絵画

執筆:
Kazerouni Guillaume

記録的で描写的(当時における職人の写実的描写、もしくは時間性への信心)と言うよりは、寓意と教訓(虚栄心の象徴、審判の天秤といったキリスト教的シンボル、吝嗇に対する告発、誠実への称賛)を籠めた作品と思われ、奇妙な古典的衣装が古い時代を喚起している。細部が見事な鏡は、ファン・エイクの技法を彷彿とさせる。

ヨーロッパ経済の中心地、アントウェルペンのマサイス

クエンティン・マサイスは1466年にルーヴェンで生まれた。後に画家はその地を離れ、アントウェルペンに落ち着き、1491年から大作家として有名になり、1530年に息を引き取っている。当時アントウェルペンは重要な商業活動の街で、たちまち北と南の間に位置する交流の主要点となり、そこはポルトガルやスペイン商人やイタリアの銀行家が出会う土地であった。熱狂的な商業活動は、アントウェルペンをヨーロッパにおいて最も重要な経済の中心地にした。方々の貨幣を用いる国際的な人種の存在は、ブリュージュやとりわけアントウェルペンといった外国人が頻繁に出入りする土地において、金貸しや質屋といった商店の発達をもたらした。これらの土地のひとつに、かつてはルーベンスのものであったマサイスの有名な作品の場面が据えられている。

金貸しとその妻

人物に大きな存在感をもたらしている狭まった枠組みの中で、半身像で描かれた二人の人物がテーブルの後ろに座っている。二人の配置は完璧な対称を成している。散らばった真珠や宝石、金貨を目の前に、男はこれらの財産を測っているところで、その様子は、聖母子の挿絵でそれとわかる聖書を読んでいた彼の妻の気をそらしている。前景に描かれた鏡はフランドル絵画の中では流行の、作品の外側の世界との結合を生み出す手法であり、鏡の中には窓の前に描かれた一人の人物の姿が映っている。右側の細く開けられた扉からは、一人の青年と老人が語り合っている姿が見える。色彩(緑と赤の対比)とボリュームと同時に、オブジェの描写に認められる綿密さによってもたらされた懐古主義から、この絵が実はファン・エイクの紛失した作品を模倣したものではないかと言う説がかつて生まれたことがある。

道徳的絵画

15世紀後半は、北方ヨーロッパにおける風景・日常生活の場面や肖像画といった風俗画の普及によって特徴づけられている。日常生活の道徳的な描写によって、画家は人間の不徳や生命の儚さなどを告発した。このジャンルにおける先駆者と見なされているマサイスの作品の中では、明らかにこれらの要素に重点が置かれている。ここでは夫の前に散らばる金、真珠(色欲の象徴)や宝石の誘惑が、彼の妻を聖書の読解という精神的活動からそらせている。背景に配されたオブジェは、入念に選び抜かれ、作品の持つ道徳的な要素を強調している。火の消された蝋燭と棚の上の果実は、本質的な罪の暗示で、腐敗を予告し死を喚起している。水差しとぶら下がったロザリオは、聖母の純潔を象徴している。さらに小さな木箱は、女神が隠れた宝石箱を表現している。この場面は、特にマリウス・ファン・レイメルスワールといった画家やその他の数々の作品の中でも登場している。

作品データ

  • クエンティン・マサイス(ルーヴェン、1465‐1466年‐アントウェルペン、1530年)

    《金貸しとその妻》

    1514年

  • 油彩 板

    縦71cm、横68cm

  • 1806年収蔵

    INV. 1444

  • 絵画

    リシュリュー翼
    3階
    ネーデルラント 16世紀前半 クエンティン・マセイス、ヨース・ファン・クレーフェ
    展示室9

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

制作年および署名:棚に置かれた羊皮紙の巻物の上にQuinten Matsys / Schilder 1514