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作品 《阿呆船》

絵画部門 : オランダ絵画

《阿呆船》

© 2011 Musée du Louvre / Martine Beck-Coppola

絵画
オランダ絵画

執筆:
Kazerouni Guillaume

中央部が紛失した三連祭壇画の左翼の断片である。右翼(《守銭奴の死》)はワシントンに、単色画で描かれた外側画面(《放浪者》)はロッテルダムに存在する。下部が切り取られたルーヴルのこの作品は、イェールに保存されているもう一つの断片(《大食いの寓意画》)にぴったりと合う。神から遠ざかる罪深い狂気の二つの面である吝嗇と不節制とが、こうして対応し合っており、不節制の方は、常軌を逸した者のように自らの破滅へと漕ぎ進む大食いと大酒飲みの集団によって体現されている。

謎に満ちた画家

セルトーヘンボスで活動していた画家一族の出身であるヒエロニムス・ボスは、父のアトリエで学んだと思われる。この画家に関する史料は非常に数少なく、作風の変遷は、その絵画作品の研究に基づく一連の仮説によって再構成された。ボスは、北方の諺(ことわざ)がしみ込んだ、魔物や奇妙な人物像で満ちた幻想的かつ風刺的絵画のジャンルを創始し、それらは後にブリューゲル(父)のような画家らによって継承されることになる。ルーヴルの作品は、画家による自筆の署名が入ったフランスにおける唯一の作品であり、このジャンルを代表する見事な例である。

奇異な散歩

10名の人物から成る集団が小舟の上に集っている。主要なグループは、向かい合って座った一人のフランシスコ会の修道士とリュートを奏でる修道女で構成されている。彼らは歌っているかのように大口を開けているが、その仲間達と同様、小舟の中央にぶら下がったクレープに噛みつこうとしているようでもある。これは手を使わずにぶら下がったガレットを食べるという風習を暗示している。彼らの背後には二人の船頭が座っている。その内の一人は櫂の代わりに巨大なお玉を手にしている。もう一人は頭の上に平衡を保ちながらグラスを持ち、櫂の先で壊れた水差しを振りかざしている。船の一方の端では、水につかった水筒を掴んでいる青年を、女が水差しで殴ろうとしている。反対側の端にある間に合わせの舵の上では、道化の衣装を着た小男がグラスから酒を飲み、その側で別の男が身を乗り出して吐こうとしている。集まった人々の上には花束が先に付いた船の帆がそびえ立ち、花束の中央にはフクロウ、あるいは死人の頭が描かれている。その上にイスラム教の三日月が描かれた幟(のぼり)がたなびき、ガチョウのローストが帆にぶら下げられている。陽気な仲間達はどうやら漂流しているようで、背景には広大な風景が無限に広がっている。

魂の漂流

この奇妙な場面は、人文主義者セバスチアン・ブラントの著作『阿呆船』を描いたものであるとの説が唱えられた。この書物は1494年にバーゼルで発表され、阿呆たちを乗せて「ナラゴニア」と呼ばれる狂人たちの楽園に向かって漂流する小舟を描いた版画が挿絵として用いられている。その続編であるジョス・ド・バードによる『阿呆女たちの船』も、この絵画の着想の源であると考えられている。しかしながらこれらの著作の版画には、はっきりそれと分かる衣装やロバの耳が付いた縁無し帽をつけた複数の阿呆たちが描かれているのに対し、ここでは、そのような阿呆は一人しかおらず、それも作品の意味を明確にするためだけに描かれているように思われる。おそらくは、酒飲みで図々しく飲み食いに執着した人物らを描き出しているこの作品は、前景に描かれた聖職者によって表現されている修道士らに対する風刺、および、彼らに感覚と精神を失わせるその飲酒癖に対する皮肉を込めた批判であると考えるのが妥当である。酒癖の結果生じる怒りは、水差しで青年を叩こうとしている女性のしぐさを説明しているであろう。こうして、放埒な聖職者は教会という船を漂流するがままにし、魂の救済をなおざりにしている。宗教改革によって表明された批判を典型的に示しているこの視点は、誰にも気にされることなく船にしがみついている男の姿に見出すことができよう。

作品データ

  • ヒエロニムス・ボス・ファン・アーケン、通称ヒエロニムス・ボス (セルトーヘンボス、1450年頃‐1516年)

    《阿呆船》

    1510‐1515年頃

  • 油彩 木

    縦58cm、横33cm

  • 1918年、カミーユ・ブノワにより寄贈

    R.F. 2218

  • 絵画

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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