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《青年奴隷》

© R.M.N./H. Lewandowski

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術
ローマ美術

執筆:
Marie-Bénédicte Astier

トルコのアフロディシアスの共同浴場で発見されたこの黒大理石の装飾用彫刻は、ローマ帝国で、ヘレニズム時代よりとても根強かった異国趣味を物語る、独創的な作品である。この作品は左手に香油用の壺を持っている黒人奴隷を表わしている。この召使の青年は紀元2世紀末から3世紀初頭にかけての共同浴場で使われていた、エチオピア人奴隷たちへの関心度を表わしている。

黒人青年奴隷

20世紀初頭、トルコ共和国カリアのアフロディシアスの遺跡で発見された、この黒大理石でできた小立像は、この遺跡を発見したポール・ゴーダン氏の家族により1995年ルーヴル美術館に寄贈された。この作品は、エクソミスと呼ばれる、肩の部分でつなぎ合わせ腰の部分を紐で結ぶ、丈の短いチュニカを着て立つ若い奴隷を表現している。彼は左手に香油を入れる壺、バルサマリウムを持っている。青年の容貌やきつくかかったカールの髪形は、エチオピア人かヌビア人の黒人召使であることを示している。白大理石と黒大理石を混合した二色大理石彫刻のため、アフロディシアスの人々がよく使用したこの黒大理石は、その暗色からこの青年の民族性をより特徴付けるのに役立っている。筋肉の彫琢された加工と非理想主義的な構想は、アフロディシアスの彫刻工房の特徴である。

アフロディシアスの共同浴場の展示物

この青年奴隷はアフロディシアスの共同浴場で発見された。作品は、正面の外観に重点が置かれていることから、おそらく壁がんの中に設置されていたのであろう。。実際彫刻家は、顔の光沢と衣服のひだ目の表現に特に注意を払った。この彫刻の正面の加工は、裏面の粗い仕上げと対比している。共同浴場の施設内にこの種の題材が存在する事は不思議ではないだろう。『ヘレ二ウスのための修辞学』第4巻50章、63章のなかで、キケロは古代共同浴場で使われていたエチオピア人奴隷が、ローマで大変人気があったことを説明している。古代共同浴場を飾った石敷のモザイクの中には、ポンペイのメナンドロスの家や、ティムガードのように、浴場で働くこれら奴隷の風刺画が多数含まれている。2世紀末から3世紀初頭にかけて制作された、アフロディシアスの召使の像は、小アジア南西部の街での日常生活の現実を描いている。

黒人像

この小立像は、ナウクラティスやアレクサンドリアなどナイルの三角州のギリシア都市で芽生えたとみられる、異国趣味を物語る独創的な作品である。ヘレニズム時代の彫刻家は、奴隷、老人、乞食、背中の曲がった人物などの風変わりな題材や風俗画などを特に好んだ。ルーヴル美術館に保管されている、ヘレニズム時代のエジプトのブロンズ像、《鎖に繋がれた青年奴隷》(作品データ内ベースリンク参照)の例に見られるように、日常を描いた、様々な姿勢の黒人少年の姿を模ったブロンズ又はテラコッタ像は多く存在する。このアフロディシアスの大理石像は装飾彫刻のこの伝統に則っている。この作品は、ローマ帝政時代に、この種の像に対する嗜好が普遍的だったことを物語っている。その時期アフロディシアスは、主に地元産の大理石より作られる、多数のギリシア作品の複製品や建築装飾品などの生産を発展させた、彫刻家工房により飛躍を成し遂げた。異国風な奴隷像もさることながら、ヘレニズムのレパートリーはアフロディシアスの芸術家たちに装飾効果も担った最適な習作の題材を与えていた。

出典

Fr. Baratte, "Exotisme et décor à Aphrodisias : la statue de jeune noir de l'ancienne collection Gaudin", Mémoires et Monuments. Fondation Piot, 80, 2001, pp. 57-80

K. T. Erimp, "De Aphrodisiade", American Journal of Archaeology, 71, 1967, p. 238-239, pl. 70, fig. 19-20

作品データ

  • 《青年奴隷》

    2世紀末から3世紀初頭

    20世紀初頭トルコのアフロディシアス遺跡の共同浴場にて発見

    アフロディシアス(トルコ)

  • 黒大理石、丸彫、目にはめ込み

    高さ(最大)58cm

  • 1995年マリーズとアルベール・ゴーダン夫妻寄贈

    Ma 4926

  • 古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術

    ドゥノン翼
    1階
    モザイクのギャラリー
    展示室30

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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