Go to content Go to navigation Go to search Change language

ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《風景の見える石のアーチの中に置かれた花束》

作品 《風景の見える石のアーチの中に置かれた花束》

絵画部門 : フランドル絵画

《風景の見える石のアーチの中に置かれた花束》

© 2005 Musée du Louvre / Erich

絵画
フランドル絵画

執筆:
Perny Michèle

おそらくアンブロジウス・ボスハールト自ら手書きの署名が裏面に認められる、作家の署名が入った唯一の作品で、風景の上の花束を描いた作家による5点の絵画のひとつである。この《花束》は、17世紀における花の静物画家による、巧妙であると同時に象徴的な傑作で、存在の儚さと脆さを繊細に想起している。

「戸外の花束」

狭い石の出っ張りに置かれた花束が、丸みを帯びたニッチの縁から浮かび上がっており、豪華な花々が湧き出るガラスの花瓶の両側には、水平線に向けて広がった河口と思われる青みがかった遠景を垣間見ることが出来る。この花の静物画は、作品を構成する光り輝く花々に施された写実性と、繊細なぼかしで描かれた遠景との間に存在する対比を、観ている者の視線に直ちに与えてくれる。印象的な綿密な描写のおかげで、晴れ晴れとした二輪の薔薇の間にある一輪の黄色いクロッカス、青いヒヤシンス、赤と黄色のカーネーション、暗い色のオダマキ、ピンク色の斑紋の入ったチューリップが容易に見て取れる。あちらこちらに昆虫も描かれている。右側のエンタラプチュアの上に載ったアナバチは実は画家の頭文字をもじっているように見え、墓掘り虫とトンボが花弁の上に載っている。虫に齧られた跡のある一枚の葉、花瓶の側に落ちた二つの滴が、写実表現と豊潤な自然の克明な描写に加わっているが、ここに描かれた自然はどうやら自然の法則に従っていないようだ。故にここでは開花時期の異なる花々が混じり合っている・・・

長い間忘れ去られていた画家

ヤン・ブリューゲル(父)、通称ビロードのブリューゲルと数年の差で同時代であり、ABという落款のせいで長い間アンブロシウス・ブリューゲルと混同されていたアンブロジウス・ボスハールトは、オランダから移住してきたプロテスタントのフラマン人で、長い間忘れ去られていたが19世紀終りに再び見出された画家で、今日では17世紀における花の静物画家を代表する作家のひとりとなった。画家の活動期後半にあたる1620‐1621年に制作されたと考えられるこの作品は、風景を後ろに描いた作家の作品には珍しい花束の絵で、画家に備わった類いまれな技巧と同時に、当時における北方絵画の完成度の高さを証明している。

「虚栄心」

この作品の最大の魅力は、人類の存在に対する冥想を兼ね備えた自然へのアプローチにある。それは遠くに広がる自然の風景と、石や花々、昆虫の描写に施された究極の精密性の間の対比や、とりわけ動きが止まって整然としている一方で非常に儚い外観に見られる理想化された自然の光景によって引き立てられている。重さで傾いた薔薇、虫食った葉、水滴・・・これらはまさに生命の象徴なのだ。こうして正確な自然の姿には、聖職者の「虚栄心のむなしさ」と人類の唯一の救いである神を喚起する豊潤な花や熟れた果実、さらには頭蓋骨や蝋燭の形で表された寓意が描かれた、17世紀に人気を博した絵画である「虚栄心」の道徳に対する教訓が加わっているのだ。作品の中ではキリストの復活を象徴するカーネーションが、もろく腐りやすいはかない人間の条件の本質を前にした希望を控えめに喚起している。

出典

- FOUCART Jacques, Catalogue des peintures flamandes et hollandaises du musée du Louvre, Paris, Gallimard/Musée du Louvre éditions, 2009, p. 98

- FOUCART Jacques (dir.),  Musée du Louvre : Nouvelles acquisitions du Département des peintures, 1983-1986, catalogue, introduction de Michel LACLOTTE, notice pp. 70-71. Annexe, pp. 229-236 : « Entrées supplémentaires. II. Oeuvres sorties du Louvre », par Élisabeth FOUCART-WALTER, PARIS : Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1987.

- Anciens et nouveaux. Choix d’œuvres acquises par l’Etat ou avec sa participation de 1981 à 1985, Paris, Grand Palais, (5 novembre 1985-3 février 1986), notice de Jacques FOUCART sur le Bouquet d’Ambrosius Bosschaert, p. 117.

- FOUCART Jacques, « Manières du Nord », in Connaissance des Arts, avril 1985, p. 68.

-  HAIRS Marie-Louise, Les peintres flamands de fleurs au XVIIe siècle,  Editions Meddens, Bruxelles, 1965.

作品データ

  • アンブロジウス・ボスハールト(父)(アントウェルペン、1573年‐ハーグ、1621年)

    《風景の見える石のアーチの中に置かれた花束》

    1620年頃

  • 油彩 銅版

    縦23.50cm、横17.50cm

  • 1984年10月ロンドン、ギャラリー・スピールマンよりルーヴル友の会の協力のもと取得。

    R.F. 1984-150

  • 絵画

    リシュリュー翼
    3階
    オランダ 17世紀前半 展示室I:プーレンブルク
    展示室27

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

チケットを購入する

作品の補足情報

右下の署名:ABという落款。裏面に画家自らのものと思われる当時の記載:Ambrosius Bosschaert