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作品 「ゲベル・エル・アラクの」短刀

古代エジプト美術部門 : 先王朝時代末期から中王国時代末期(前3800-前1710年頃)

「ゲベル・エル・アラクの」短刀

© Musée du Louvre/C. Décamps

古代エジプト美術
先王朝時代末期から中王国時代末期(前3800-前1710年頃)

執筆:
いくつかのモチーフは、同時代のメソポタミア文明のモチーフのバリエーションであり、このケースに当てはまるものは頻繁に見かけられる。ひげを蓄えた神官・王(AO5718、AO5719)、猛獣使い、あるいは「動物の支配者」などがその例である。二つの文明の間に、直接的もしくは間接的な交流が存在していたことは明白である。いくつかの段を重ねて図像を配置する方法や、人物を表現する際に用いられた約束事は、全ファラオ時代を通して踏襲された。この短刀は、先史時代末期からファラオ文明の誕生までの過度期を明らかにしてくれる作品であるといえる。

この短刀は、エジプト先史時代末期まで遡るきわめて貴重なものである。高度な技術を駆使して作られた黄色いフリント製の刃と 、浅浮彫で様々な場面が彫り上げられたカバの象牙質でできた柄で構成されている。最古の浅浮彫りの一つに数えられ、動物、狩猟、ライオンを取り押さえる人物、船、戦闘などナイル河畔やメソポタミアの伝統に由来するテーマが描かれている。

贅沢品

贅沢品であるこの武器には、高度な技術が用いられている。淡い黄土色をした極めて上質のフリントの刃には、完璧に究められた石の加工技術を見ることができる。片方の面には平行に入った剥離の跡が中央に規則的な線を描いており、もう一方の面は単に研磨がかけられている。刃は、ごく細かい加刻によって鋸歯状に仕立てられている。時間と精妙さを要するこの技術は、ある一定時期(紀元前3500-3200年)に限りエジプトの職人たちに用いられていた技術で、この短刀はフリント製の作品の中でも最も完璧な水準に達しているものといえる。一方、柄は分析を行った結果、カバの犬歯であることが判明した。この作品のように、象牙質の柄に浅浮彫りが施されたタイプの短刀は、ほんの一握りしか知られておらず、一部のエリートしか持つことができない特別な品であったといえる。

人と動物

短刀の刃が嵌めこまれているカバの犬歯の柄には、全体に装飾が施され、中央の突起部には紐を通すために穴が開けられている。片方の面には、ひげを蓄え、縁無し帽を被った人物が、二匹のライオンの間に立って取り押さえている様子が描かれている。その下には、飼い犬と野生動物が描かれている。狩人がレイヨウを捕獲している場面も見える。裏面は3段に分かれており、上段にはペニスケースのみを身につけたほぼ全裸の男たちが体当たりで戦闘している。下段では、2艘の異なったタイプの舟艇の間に、死体があちらこちらに浮かんでいるが、ここに描かれている船は、エジプトのナカダ時代のものと実証されている。

過度期の作品

動物の生態、狩猟、ナイル河の航行は昔ながらの主題で、ナカダ時代の陶磁器や絵画にすでに取り上げられていた。それ以前の伝統に従って描かれた陶器の人物像より動きがあって、同時期に現れたパレットのように、ダイナミックな場面を表現する浅浮彫りが出現した。また、戦闘の場面は同時代末期に姿を現している。学者達は、それを歴史的出来事の叙述として解釈しようと試みたが、今日では、むしろ参照として用いる図像の目録、すなわちエジプト国家が形成されつつあったこの時代の支配階級にとって重要であったテーマの目録であるとみなされている。
いくつかのモチーフは、同時代のメソポタミア文明のモチーフのバリエーションであり、このケースに当てはまるものは頻繁に見かけられる。ひげを蓄えた神官・王(AO5718、AO5719)、猛獣使い、あるいは「動物の支配者」などがその例である。二つの文明の間に、直接的もしくは間接的な交流が存在していたことは明白である。いくつかの段を重ねて図像を配置する方法や、人物を表現する際に用いられた約束事は、全ファラオ時代を通して踏襲された。この短刀は、先史時代末期からファラオ文明の誕生までの過度期を明らかにしてくれる作品であるといえる。

出典

- ZIEGLER C., BOVOT J.-L., Art et archéologie : L’Egypte ancienne,  Ecole du Louvre / Editions de la réunion des musées nationaux / Documentation française, Paris,  2001, p. 55, 88-89, fig. 18.

- ANDREU G., RUTSCHOWSCAYA M. H., ZIEGLER C., L’Egypte au Louvre, Hachette, Paris, 1997, p. 40-41, notice n° 5.

- Naissance de l’Ecriture, catalogue de l’exposition, Editions de la Réunion des musées nationaux, Paris, 1982,  p. 60-61, notice n° 14.

-  CENIVAL J.-L. (de), L’Egypte avant les Pyramides, Editions de la Réunion des musées nationaux, Paris, 1973, fig. 17.

作品データ

  • 「ゲベル・エル・アラクの」短刀

    ナカダ時代、紀元前3300-3200年頃

    エジプト、アビドス南部、おそらくゲベル・エル・アラクから出土

  • (刃)フリント、儀式用の武器(柄)カバの象牙質(浅浮彫)彫刻

    高さ25.50cm

  • 1914年に購入

    E 11517

  • 古代エジプト美術

    シュリー翼
    2階
    ナカーダ期 紀元前4000‐紀元前3100年頃 先王朝時代末期
    展示室20

来館情報

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