Go to content Go to navigation Go to search Change language

ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>『死者の書』パピルスの断片 冥界の野で働くジェドホル

作品 『死者の書』パピルスの断片 冥界の野で働くジェドホル

古代エジプト美術部門 : 宗教と葬祭信仰

『死者の書』パピルスの断片 冥界の野で働くジェドホル

© Musée du Louvre/C. Décamps

古代エジプト美術
宗教と葬祭信仰

執筆:
Cenival Jean-Louis de, Pierrat-Bonnefois Geneviève

エジプト人は、死後「供物の野」と呼ばれる天国のようなところに辿りつくことを望んでいた。その豊穣の地では、高さ5キュービット(2.5m)もある大麦や、7キュービット(3.5m)もある麦が豊富に収穫できるといわれていた。パピルスに記された『死者の書』の第110章には、この理想の野の地図が挿絵として描かれている。その地では、飢餓もなく豊かな暮らしが約束されていた。

『死者の書』のイラストの一部

古代においては、パピルスの書は巻物の形をなし、片方を広げながらもう一方を巻き込んで読んだ。しかし、美術館ではこの作品のように、昔に切り離された断片を展示している。『死者の書』は、故人の遺体を守るために墓に納められた呪文集で、多かれ少なかれ型にはまった素描や彩色された挿絵が描かれている。ほとんどが小さな挿絵で、ページの上や文章の中に挿入されているが、なかには第110章の「葦の野(あるいは供物の野)での労働」のように、ページ一面に描かれているものもある。

あらゆる手段を使い食糧を確保する

この書は、エジプト語で『日中に姿を現すための呪文』と呼ばれ、呪文を唱えると死者は墓から出ることができ、遺族によって墓に供えられた食物、あるいは神の加護を受け、招かれた者として神殿の祭壇に供えられた食物を受け取ることができるとされていた。そして、ようやく供物の野にたどり着くと、死者は自分の領地を与えられ、現物支給を受けとることになっていた。第110章は次のように始まっている。「供物の野の呪文ここに始まる。これらの呪文は、日の下に出現し、冥界を出入りし、葦の野を辿り、風がよく吹く豊かな地である供物の野に着くこと、そしてそこで力と至福を享受し、農地を耕し、収穫を行い、食べて、飲んで、男女の契りを交わし、現世と全く同じ行いを可能にする呪文である。」この野は天国のような楽園で、日の下に出現した後、何事もなかったかのようにまた生き続けることが出来ると信じられていた。

天国のようなエジプトの風景

呪文にはこれらの野の地図がついており、主要な名所や活動などが、現代の観光地図で目にするような平面図で描かれている。後代になると、3段に区切られたものが現れる。上段では、玉座に腰かけるこの地の主たる神々に死者が敬意を表している。中段には野が描かれ、下段では、これらの野を灌漑する曲がりくねった運河が、行き来する小船や運河によって潤される都市と共に描かれている。
生前は共同農作業を嫌い、代わりに働いてくれる者たちを雇っていた死者も(第6章、埋葬召使い)、ここでは綺麗な衣装を身にまとい、与えられた農地を耕して穀物の種を蒔き、収穫を楽しんでいるように見える(ホルスの召使いたちが代わりに労働してくれることを保証している記述があるにもかかわらず)。その地では大麦は5キュービット(2.5m)、すなわち穂が2キュービットで茎は3キュービットもあり、麦は7キュービット(穂は3、茎は4キュービット)もあったと言われているので、非常に効率の良い仕事であったと思われる。農業国であったエジプトでは、貨幣は存在せず、商業もあまり発達しなかったため、土地を所有することこそがこの上ない富を意味し、同時に飢えないための最大の保障であると考えられていた。

出典

- CENIVAL Jean-Louis (de), Le Livre pour Sortir le Jour, Éditions de la Réunion des Musées Nationaux, Paris, 1992, pp. 74-77.

作品データ

  • 『死者の書』パピルスの断片 冥界の野で働くジェドホル

    末期王朝時代、前664-前332年

  • パピルスに素描

    高さ46cm

  • 1852年、本美術館の蔵書点検の際に目録に記載

    N 3079 (feuille 13)

  • 古代エジプト美術

    シュリー翼
    1階
    畑仕事 マスタバ
    展示室4

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

チケットを購入する