Go to content Go to navigation Go to search Change language

ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>アケトヘテプのマスタバの礼拝堂

作品 アケトヘテプのマスタバの礼拝堂

古代エジプト美術部門 : 先王朝時代末期から中王国時代末期(前3800-前1710年頃)

アケトヘテプのマスタバの礼拝堂

© Musée du Louvre/C. Larrieu

古代エジプト美術
先王朝時代末期から中王国時代末期(前3800-前1710年頃)

執筆:
Catherine BRIDONNEAU & Lili AÏT-KACI

サッカラから出土したアケトヘテプのマスタバの礼拝堂が、1903年にルーヴル美術館で組み立てられた。死者が安置された地下玄室の上に建てられた重量感のある建造物をマスタバ(アラビア語で「ベンチ」という意味)と呼ぶ。このタイプの墓所は、古王国時代から登場し、王の側近など名士を埋葬する墓として建てられた。マスタバの内部にある礼拝堂は、遺族や神官を迎えるために建てられ、死者が冥界で永遠に快適な生活を過ごせるように、飲食物を供え、定型祈祷文を唱える場であった。

マスタバの礼拝堂

古王国時代の偉大なる人物であったアケトヘテプの葬祭礼拝堂の装飾部分は、1903年に、ルーヴル美術館古代エジプト美術部門の学芸員であったジョルジュ・ベネディットが、サッカラで選定し、エジプトで購入した後、当美術館にもたらしたものである。以後、このマスタバは砂、時間、砂漠の風にさらされた結果跡形も無く消失してしまった。
浅浮彫りが施された石灰岩のブロックが、同年、当美術館で、石造りの支持体に取り付けられた。マスタバの外面はわずかに傾斜しており、本来の一般的なマスタバの形状がどのようなものか理解できるように作られている。
どっしりした窓が無い台形をしたマスタバには葬祭礼拝堂、セルタブ(墓主の彫像が納められた部屋)が設置され、竪坑が砂漠の岩盤に掘られた玄室へ続いていた。そこには、死者を安置した石棺が納められ、棺の周囲には、様々な供物、装身具、家庭用品、葬祭用の家具などが置かれていた。しばしば装飾が施されている礼拝堂は公共の場であり、死者の遺族が集まったり、葬祭の儀式を司る神官が、西側の壁に彫られた偽扉の前にある供物卓に死者への供物を捧げたりする場所でもあった。
装飾において、図像と銘文は密接に関連し合っている。図像は、銘文や特に死者の希望が要約されている供物の呪文に迫力を与えている。礼拝堂の壁画には、立派な墓を持ち、死後の永遠なる生を保証する葬祭の食事が約束され、偉大なる神から加護を受ける者が入れるところにどこでも行ける許可を得たいという死者の希望が描かれている。また、礼拝堂の入口のリンテル(まぐさ)や通路の上部にある石製円筒には、このマスタバが誰のために建てられたかを示す、墓主の名と称号が刻まれている。

場面の配置

滑らかな良質の石灰岩でできた周壁は、石膏の薄い層に覆われ、その上に壁画の場面と銘文が極めて浅く浮彫りにされている。その多彩色は部分的に良く保存されている。
-入口にある通路の壁に、大きく描かれたアケトヘテプが、永遠の住まいとなる自分の墓に調度品などが運びこまれるところに立ち会っている。左の壁には、葬祭の儀式に必要な布がパピルスに記録されている。右には、アケトヘテプの息子がアケトヘテプの彫像に香を焚いている様子が表され、墓への埋葬儀式に関連がある舞や屠殺の場面が描かれている。
-入口正面の西の壁には、死者の世界と生者の世界を繋ぐ通路であると信じられていた二重の「偽扉」が彫られている。その前方には、かつて花崗岩でできた供物卓が置かれていた。
-北側の壁には、墓の重要な場面である葬祭の食事が描かれている。食べ物の供物の前に座っているアケトヘテプに、冥界の領地でとれる産物を担いだ女性たちが列をなして、ひっきりなしに供物を補給している。楽士、歌い手、踊り子が宴会を盛り上げている。
-その向側、南側の壁の場面はこの宴会の光景を補足するもので、家畜が群れをなして進んでいる様子や大きな箱や理想的なメニューが描かれている。
-戸の両側、東側の壁には、アケトヘテプが永遠に食事をできるように、産物を供給する様々な野良仕事や沼地での活動が描かれている。河を南に遡る帆掛船や北に下る艪櫂船を描いた図像は、冥界で墓主が自分の領地を訪問している様子や、偉大なる神の住む地である「供物の野」に向かう旅を暗示している。

ルーヴルのサッカラ発掘

アケトヘテプのマスタバは、ルーヴルによって行われた発掘の最中に発見された。サッカラの大きなネクロポリス内にあるジェセル王(第3王朝)とウナス王(第5王朝)の葬祭複合体の間から出土したものである。1991年に着手されたこの発掘で、南北32m、東西16m、高さ約6mに及ぶ、表面が良質の石灰岩に覆われた、窓が無いどっしりとした大型の建物が露呈した。この建物は、アケトヘテプと同名で、おそらく同じ家系と思われる人物の小さなマスタバ、礼拝堂、中庭を含む葬祭複合体の中央に位置していた。ルーヴルにあるマスタバの礼拝堂は、この大きな建物の南部のほんの一部を占めていたにすぎない。この礼拝堂と建物の東側に彫られた大きな偽扉が、唯一装飾が施されていた部分であった。岩盤に掘られた玄室へ続く竪坑の深さは20mにも及び、古代から荒らされていた玄室には、石棺が一体と副葬品の家具がいくつかまだ残存している。石灰岩に彩色を施したアケトヘテプの彫像が3体発見され(立位、座位、「書記座像」の姿勢)、そのうち2体にはアケトヘテプの名前が刻まれているが、残念なことに3体とも顔が欠落している。

出典

- CENIVAL J.-L. de , Feuillet 2-11, Louvre.

- ZIEGLER C. , Le Mastaba d'Akhethétep. Une chapelle funéraire de l'Ancien Empire, éd. RMN, 1993.

- PIERRAT-BONNEFOIS G. , Les Travaux des champs, le mastaba, Fiche Visite-Louvre, Département des Antiquités Egyptiennes, Salle 4.

- ZIEGLER C. et al., "À la recherche du mastaba d'Akhethétep – rapport préliminaire de la mission archéologique du musée du Louvre à Saqqara", Revue du Louvre n°2, avril, pp 13-24

- ZIEGLER C.,  BOVOTJ .-L., Art et Archéologie : l’Égypte ancienne, École du Louvre/RMN /Documentation française, Paris, 2001.

- ADAM J.-P. , ZIEGLER C. , "La Mission archéologique du musée du Louvre à Saqqara " dans Dossiers d’archéologie n° 265, juillet/août 2001.

- ANDREU G. , RUTSCHOWSCAYA M.-H. , ZIEGLER C. , L’Égypte ancienne au Louvre, Hachette, Paris, 1997.

- COLINART S. , ZIEGLER C. , « Des minéraux jaunes peu connus. Le Mastaba d’Akhethétep », revue Techné n° 31.

作品データ

  • アケトヘテプのマスタバの礼拝堂

    古王国時代、第5王朝(前2400年頃)

    サッカラ出土

  • 近年の石工事に浅浮彫りを取り付けたもの彩色、石灰岩

  • 1903年、購入

    E 10958 (A)

  • 古代エジプト美術

    シュリー翼
    1階
    畑仕事 マスタバ
    展示室4

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

チケットを購入する