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アルペ親方の聖体容器

© 2009 RMN / Jean-Gilles Berizzi

工芸品
中世

執筆:
Muriel Barbier

古くからの伝説によると、この聖体容器はアルル近郊のモンマジュールで見つかったという。しかし資料を欠くため、この出所の真偽はいまだ確かめることができない。本作品は、リモージュのエマイユ職人が制作した中でも、特に名高いものの1つである。というのもこの作品には、リモージュで制作されたことを証明し、作者の名を特定する銘文があるためで、それゆえリモージュにおけるエマイユ史のきわめて重要な資料となっている。また技法の完成度と様式からは、1200年頃の傑作と位置づけられる。

図像の豊かさ

聖体容器は、互いにぴったりはまった膨らみのある2つの杯からなり、これが円錐形の小さな脚に載っている。脚は、非常に繊細な作りの唐草模様と、その合間を駆ける人物や怪物の像で飾られている。上の杯の内側には祝福を与える神の手が彫られ、下の杯の内側には銘文に囲まれた天使の上半身が見える。外側には、複数の天使、十二使徒および4人の預言者の胸像が菱形の枠の中に刻まれ、エマイユ・シャンルヴェ〔生地彫り七宝〕で細工されている。そして上の杯の上部には、天使の胸像で構成される花球が載っている。ことに論争の的となった装飾要素は、下の杯の縁を取り巻く「クーフィー風」書体のフリーズである。この装飾はかなり前からリモージュで繰り返し用いられ、アキテーヌ地方に定着していた。

様式変化の兆し

杯を飾る像のかなり様式化された作風は、12世紀制作の数々の作品、例えば《アンバザックの聖遺物箱》など、とりわけリモージュの作品に見られる。しかしながら、本作品を飾る像の頭部は、輪郭の柔らかさと表情の豊かさという、脚部と花球の人物像に顕著な傾向によって、他の作品とは一線を画している。同様に胸像の衣襞も、まだロマネスク様式の直線的な傾向を示すものの、脚部の人物像は、ゴシック様式の到来を告げるある種の生き生きした動きを見せている。それゆえこの聖体容器は、まだなおロマネスク様式の痕跡を残すとはいえ、初期ゴシック美術への移行を示す作品といえる。

リモージュのエマイユ作品における珍しい署名例

下の杯内側の銘文は、G.アルペなる人物がリモージュでこの聖体容器を制作したこと、同人物が本作品の作者だと主張していることを示す。この人物は「親方」と記され、リモージュの古文書中に度々現れる。同人物についての情報はほとんど伝わっていないにせよ、この聖体容器は、アルペ親方がエマイユ・シャンルヴェ技法の達人だという証拠である。そのうえ彼は、金銀細工技法の幅広さを見せることも心得ており、その完璧な技法が本作品で駆使されている。

出典

- L'Oeuvre de Limoges. Émaux limousins du Moyen Age, Éditions de la Réunion des musées nationaux, Paris, Metropolitan Museum of Art, New York, 1995.

作品データ

  • G. アルペ親方

    アルペ親方の聖体容器

    1200年頃

    フランス、モンマジュール?

    フランス、リモージュ

  • 打出した銅に金鍍金、毛彫り、透かし彫り、エマイユ・シャンルヴェ(生地彫り七宝)、ガラスとエナメルの玉のカボション(半球形に研磨したもの)

    高さ30.1cm、直径16.8cm

  • 1828年収蔵、レヴォワル・コレクション旧在

    MRR 98

  • 工芸品

    リシュリュー翼
    2階
    シュジェール
    展示室2

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

杯の内部に "+ MAGI[s]TER : G : ALPAIS : ME FECIT : LEMOVICARUM" (G. アルペ親方、リモージュにて我を作れリ)