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アル=ムギラの銘のある小箱

© 2005 Musée du Louvre / Raphaël Chipault

イスラム美術
正統カリフ時代

執筆:
Makariou Sophie

この種の工芸品の用途は、はっきり分かっていない。宝石箱、装身具、白粉入れ、香水入れ等が考えられる。蓋の下部、帯状に記載されている銘文によって、この箱は、カリフ、アブド・アル=ラーマン3世の子息、アル=ムギラ皇子のために制作されたことがわかる。装飾は、制作面での妙技をはるかに越えて、政治的な真の宣言書を構成している。

贅沢品

亡きカリフ、アブド・アル=ラーマン3世の息子で、当時のカリフ、アル=ハカムの腹違いの弟であった、アル=ムギラ皇子のために、968年に制作されたこの小箱は、936年、コルドバ近郊、マディーナト・アル=ザーラに住居と政府を置いたカリフの宮廷人のために制作された象牙の贅沢品のもっとも美しい作品例である。四つのメダイヨンに分かれて、緻密な模様が入っており、それらは規則的に穴の開いた葉文様の帯で相互に繋がっている。蓋にも同じ構成で同じタイプの模様が表わされている。それは、孔雀と鷹と騎士と獅子で、それぞれメダイヨンの中に入っている。この小箱の胴部には、四つの場面が表わされている。ひとつは、中央にリュート奏者、その両脇にふたりの人が脚を組んで坐っていて、険悪な表情で互いに睨み合っている。一方は儀礼用団扇を、もう一方は小瓶を持っている。小瓶は、しばしば使われる、君主を想起させる紋章である。そしてウマイア朝時代より現れる編んだ植物の王杖を持っている。このメダイヨンは例外で、その他のメダイヨンには必ず同じ模様が二重に表わされている。たとえば、獅子に攻撃される牡牛の図柄がそうである。それから、奇妙なスペインの幕間狂言が入っている。それは、ふたりの人物像が背と背を合わせて、犬に足首を咬まれていながら、鷹の巣から卵を集めている場面である。最後のメダイヨンでは、騎兵がナツメヤシの房を狩っている。

象徴をふんだんに含む図像

歴史の知識無しでは、これらの図像は理解しがたい。ウマイア朝時代からの古い象徴に触れる東洋の棕櫚は王朝の流謫(るたく)を意味する。アッバス朝によって追放され、このスペインの奥地に亡命しているこの当時の王朝を象徴する。コルドバの首長国の創設者が残した有名な詩が物語るものが、まさにそれである。卵を盗まれた鷹は、ウマイア朝を象徴する。この作品の中では、ウマイア朝は脅かされているように象徴されている。ナツメヤシを摘み取る人々の後ろで、鷹は噛み付かれ、卵を集めている人もまた、噛み付かれている。アル=ムギラは、18歳の若き皇子であった。この皇子は、この小箱をおそらく成人した折に受け取った。玉座への正当な候補者であった若き皇子は、カリフ、アル=ハカムが他界した翌日、彼よりも扱いやすい子供の皇子に玉座を与えるために、27歳で死刑に処された。この驚くべき象牙の小箱の上では、当然彼に与えられた筈の権力の果実を、彼は摘むことができなかったのである。

細密画のような手練の彫刻

そのゆるぎない歴史的価値に加えて、この小箱は、カリフ統治時代の象牙細工の傑作である。作家はこの材質の持つ可能性を見事に自分のものとしている。蝶番(後の時代に加えた)が短すぎて、おそらく蓋が落ちて、つまみが割れているのを除いて、この作品は完璧な保存状態を保っている。しかもレリーフは、1.8cmの厚みの地に1.5cmの深さに及ぶ高彫りで、ところによっては、完全に丸彫りになっている部分もあり、頭は正面からみえる部分だけではなく、みえない筈の側面まで彫刻が行き渡っている。穿孔錐という規則的な穴を開けるための道具の使用によって、植物の帯状装飾や柔軟な膨らみと彫りの入った場面など、すべての装飾に生き生きとした活気が与えられている。そして彩色によるコントラストによって、非常に込み入った装飾にもかかわらず、それぞれの場面がきちんと判読できる。

出典

- MAKARIOU Sophie, L'Andalousie arabe, Hazan - Les Ateliers du monde, 2000, p.46-48.

- Les Andalousies. De Damas à Cordoue, Paris, Institut du monde arabe, 2000-2001, p. 72-79. [ MARTINEZ-GROS Gabriel, MAKARIOU Sophie, Art et politique en al-Andalus, Xe-XIe siècles, p.72-79 et objet n°103 p.120.]

Pur comme l’ivoire : l’ivoirerie, un art de cour à la cour de Cordoue

Le premier ivoire conservé est fait pour une fille du calife Abd al-Rahman III ; il s’agit d’un long étui creusé de cupules et probablement destiné à un jeu de pion, réalisé entre 929 et le décès d’Abd al-Rahman en 961 ; deux petits coffrets d’ivoire également destinés à une fille du calife ont été réalisés après 961 ; ils sont ornés d’un délicat décor végétal. Ces ivoires réalisés pour l’une ou les trois filles d’Abd al-Rahman font usage d’un décor exclusivement végétal dans lequel on a voulu voir un thème purement féminin. Cependant trop peu d’objets sont conservés pour que l’on en déduise des règles aussi strictes, et de plus le décor végétal de coffrets est celui même qui constitue l’essentiel du cadre de vie et de gouvernement du calife et de son entourage. On retrouve sur les murs de Madinat, dans les zones les plus officielles, les mêmes tiges refendues et tressées, portant d’identiques feuilles aux profondes nervures. C’est sous le règne d’al-Hakam II (961-976) que l’ivoirerie atteint en Espagne des sommets. Pour Subh, la favorite, est réalisée une pyxide d’ivoire au décor végétal couvrant mêlé d’animaux. Sur deux autres boîtes destinées à Subh, deux ans après, apparaît une fois la signature du maître Khalaf et la mention de la fabrication à Madinat- al-Zahra. Une pyxide signée par le même artiste, Khalaf, est ornée d’une inscription qui le compare au sein ferme d’une jeune fille, et indique qu’il est un réceptacle pour le musc, le camphre et l’ambre gris. La forme de l’objet appelle bien sûr cette comparaison teintée d’érotisme, le décor végétal gorgé de sève est enrichi par cet entrelacement poétique. Les objets, dépourvus de leur couvercle, donc de leur inscription, interdisent de se prononcer sur le propriétaire. C’est le cas de la seconde petite pyxide (OA 2774) conservée au Louvre, d’une facture beaucoup moins sophistiquée que sa célèbre voisine.

作品データ

  • マディナ・アル=ザーラの宮廷の工房

    アル=ムギラの銘のある小箱

    968年

    マディーナト・アル=ザーラ、スペイン

  • 象牙、彫刻装飾、黒色(ゼットか?)の象嵌

  • 旧リアノ・コレクション、1898年、取得

    OA 4068

  • イスラム美術

    リシュリュー翼
    地上階
    ファティマ朝 909‐1171年、西方イスラム世界 10‐15世紀
    展示室3

来館情報

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開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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