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作品 ウル・ナンシェ王の貫通孔のある浮彫

古代オリエント美術部門 : メソポタミア

ウル・ナンシェ王の貫通孔のある浮彫

© 1990 RMN / Philipp Bernard

古代オリエント美術
メソポタミア

執筆:
Pouysségur Patrick

シュメールの初期王朝時代の特徴として、この傑出した貫通孔のある額は、上下二段に分かれた浮彫装飾で飾られていることである。これは最初のラガシュ王朝の創始者ウル・ナンシェ王の宗教的活動を記念している。

貫通孔のある額

シュメール初期王朝美術の特徴的な作品に、中央に貫通孔が開けられ浮彫彫刻が施された額がある。一般に石灰岩のような軟質の石材を削って作られたこれらの額は、物語風のモチーフが彫刻され重なった帯状区分に従って編成されている。中央の貫通孔は、おそらく神殿内の奉納所に鉤を用いて額を固定することを目的とされていた。120枚余りのこのタイプの額の中で、ほとんどがシュメール文化圏の大都市から出土して発見されたが、これは作品の大きさと質からしてまた同様に図像の豊かさからしても、最も注目すべき額のひとつである。

ウル・ナンシェと最初のラガシュ王朝

額の背景に刻まれた楔形碑文は、そこに表わされている主要人物がシュメール国ラガシュの君主ウル・ナンシェであることを明かしている。ラガシュは3千年紀に南メソポタミアの大沖積平野を分割していた都市国家のひとつであった。その繁栄はとりわけ豊かなスーサ平野とそこからイラン高原につながる交易路の出口にあたるラガシュの位置に起因していた。
ウル・ナンシェは紀元前2500年頃に成立したラガシュ第1王朝と呼ぶことが認められている創始者とみなされていて、それより2世紀近く統治者9名が跡を継いでゆく。ウル・ナンシェによる王朝建立は、城壁または運河の世俗的と同様に宗教的にも数多くの建築工事の実行に特徴づけられる。したがって神殿は、国の各々の偉大な神に敬意を表わし建てられた。

建設王

統治者に与えられた建設者としてまた社会の基盤の保護者としての役割が、付随するシュメール語の碑文と同様に額に刻まれた装飾から連想させてくれる「ウル・ナンシェ、ラガシュ王、グニドゥの息子、ニンギルスの神殿を建設せり;彼はナンシェの神殿を建設せり;彼はアブスバンダの神殿を建設せり」。
上段の帯状区分では、頭上に煉瓦を盛った籠を載せるウル・ナンシェが描かれているが、煉瓦は新しい神殿建設の用途に充てられたもので、おそらくその神殿はラガシュ国の守護神ニンギルスである。通称カウナケスと呼ばれる羊毛のスカートをはいた統治者は、妻と息子たちおよび高官たちを連れ添い、各人物はスカートに刻み込まれた名前から身元が確認される。
下段では、新たにラガシュの統治者が子供たちと高官たちに囲まれ現れる。杯を手にして座るウル・ナンシェは、神殿建造を祝う饗宴儀式の主人役を務めている。碑文には「ディルナムの舟、(遠い)この国から、木材を(彼のために)運んだ」と記されている。これこそディルナム国(現在のバハレー島)に関して知られている最古の言及であり、そこからインド産またはオマーン産の硬質の石材や宝石また建設用木材が一時寄航していたのである。この時期から、シュメールの都市国家の王たちは非常に遠い地方との交易関係を保っていたのである。
ウル・ナンシェの浮彫装飾は、このように煉瓦の籠を運ぶ姿や饗宴図に象徴される、神殿の定礎儀礼と建立儀礼を要約している。なぜなら、彼らに授かる繁栄と交換に、神々の扶養と神々への奉仕を保証するのは人間の責任であるからだ。大神殿の建設と保全はまさに彼らのなかの第一人者、特に君主の天職であるからだ。

出典

- SARZEC Édouard (de), Découvertes en Chaldée, Leroux, Paris, 1884-1912, p. 168, pl. 2 bis, fig. 1.

- PARROT André, Tello, vingt campagnes de fouille (1877-1933), Albin Michel, Paris, 1948, p. 91.

- AMIET Pierre, L'Art antique du Proche-Orient, Mazenod, Paris, 1977, pl. 44, fig. 324, p. 368.

- HUOT Jean-Louis, Les Sumériens, entre le Tigre et l'Euphrate, Armand Colin, Paris, 1989.

作品データ

  • ウル・ナンシェ王の貫通孔のある浮彫

    前2600-2330年

    テロー、旧ギルス、テルK、イラク

  • 石灰岩

    高さ39cm、幅46.5cm、厚み6.5cm

  • AO 2344

  • 古代オリエント美術

    リシュリュー翼
    1階
    古代メソポタミア:起源から紀元前3千年紀まで
    展示室1a

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
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月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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