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作品 エウロギアの瓶

古代エジプト美術部門 : キリスト教時代のエジプト(紀元4-紀元12世紀)

エウロギアの瓶

© Musée du Louvre/G. Poncet

古代エジプト美術
キリスト教時代のエジプト(紀元4-紀元12世紀)

執筆:
Lyon-Caen Christiane

エウロギアの瓶とは金属、ガラスあるいはこの瓶のようにテラコッタで作られた小瓶をさし、古代や中世初期の巡礼者が巡礼の際、聖地の聖水、ランプ用の油あるいは殉教者の聖遺物に触れた聖油、また時には崇拝する人物の墓の周囲で集めた大切な聖なる土などをこのような瓶に入れて持ち帰った。

小瓶

水筒を平たくしたような形をなし、側面に小さな取っ手と小さな頸が備え付けられたこの小瓶は、その大きさや技術において一般的な小瓶と一線を画している。一方テーマは、ギリシア語で名が記されている聖メナスと聖テクラを扱っており、これは繰り返しよく用いられていたテーマである。この二人の人物は同時代に生きた人物ではなく、テクラは聖パウロによって改宗し、メナスはディオクレティアヌス(3世紀)の時代に殉教した人物である。各聖人が祀られていたエジプトの聖堂が、互いにさほど離れていない場所にあったことから、聖なる小さな土産品に二人を組み合わせて描いていたのだろう。メナスはアレクサンドリアの南西に位置するアブ・ミナのバシリカ式教会堂に祀られており、テクラはアブ・ミナに至る道筋の中継地、アレクサンドリアの郊外にあるデケラで崇拝されていた。
メナスは長袖の短いチュニックを着用し、ウエストで軍隊用のベルトを締め、肩には短い軍服のケープをかけ、足には編み上げ長靴を履いて立ち、常に同じ姿で表されている。鑑賞者に向って両手を挙げて祈りの姿勢をとり、その両側には、ラクダが跪いている姿が一頭ずつ厳密な左右対称で描かれている。一方テクラは、アンティオキアのうるさい法務官を頑なに拒絶したために、円形闘技場に連行されて「獣の刑」を宣告された。4回にわたって牡牛、ライオン、クマ、アザラシなどの哀れな猛獣たちがけしかけられたものの、神の威力を前にしておとなしく引き下がり、女性傍聴者たちは、「妹」のように思っているテクラが不正に刑を宣告されたことに大いに同情して観客席から物を投げつけた。テクラの姿もメナスと同様に型にはまったもので、腰の片側に体重をかけ、両手を後ろで縛られて立っている。円形闘技場で2頭の牡牛、クマ、雌ライオンにとり囲まれている。

二人の殉教者

この二人の殉教者は、エジプトの聖人伝を代表する人物である。メナスはフリギアで殉教したエジプト軍人で、彼の遺体をラクダの上に乗せてエジプトに持ち帰った際、ラクダが突然砂漠で歩くのを止めてしまったので、お供をしていた忠実な信者たちはこの場所にメナスを埋葬することにした。するとそこから奇跡的に泉が湧き出し、以後その場所は巡礼地として発展していった。聖メナスの瓶はほとんど「工業的に」生産され、4、5世紀までよく流行した。帝国のあらゆる所から巡礼に来る人々が購入し、至るところに持ち帰って普及させた。テクラは小アジア(現在のトルコ)のセレウキアに埋葬された。テクラ信仰は実在したが、エジプトにおけるこの信仰の起源については、まだよく解明されていない。

巡礼

宗教的な巡礼の習慣は、異教徒である古代エジプト人の精神構造の中に既によく根付いていた。信心深い信者は、巡礼の旅の想い出として、崇拝する神のテラコッタ製の小像や護符を持ち帰ったとされている。キリスト教徒は、この習慣を継承して聖人や殉教者の墓を巡礼するようになった。4世紀に、エジプトからキリストの足跡を残す聖地への旅を記した『エテリア旅行記』などの旅行の記録が今日なお残っている。エテリアは巡礼者を歓迎する修道士の手から「祝別された聖なるパン」を受け取ったとされている。

出典

- METZGER C., Les ampoules à eulogies du musée du Louvre, Paris, 1981, n°76, p. 35/36, p.94, fig 94.

- METZGER C., Egyptes… l’Egyptien et le copte, catalogue d'exposition, Lattes, 1999,  n°114.

- METZGER C., L’art copte en Egypte, 2000 ans de christianisme, catalogue d'exposition, Institut du Monde arabe, Paris, 2000,, n°6, p.40.

- CANNUYER C., L’Egypte copte, les chrétiens du Nil, Paris, 2000, p. 27.

作品データ

  • エウロギアの瓶

    ビザンティン時代、後395-643年

    エジプト

  • テラコッタ、型使用

    高さ12.50cm、幅10.20cm

  • 1950年、ヴェイル、遺贈

    E 24445, AF 7035

  • 古代エジプト美術

    ドゥノン翼
    地上階
    コプト美術のギャラリー
    展示室B

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
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開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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