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作品 エジプト在住ギリシア人、ディオスコリデースの石棺

古代エジプト美術部門 : 宗教と葬祭信仰

エジプト在住ギリシア人、ディオスコリデースの石棺

© 2009 Musée du Louvre / Georges Poncet

古代エジプト美術
宗教と葬祭信仰

執筆:
Etienne Marc

当時のエジプトを統率したディオスコリデースは、ギリシア人のエリートであったにもかかわらず、エジプトで古くから伝わる地域的風習にのっとった埋葬をすることに決めていた。ディオスコリデースは、プトレマイオス6世治世下の将軍で 、ギリシア語で彼のことが記された数々のパピルスによってよく知られている。黒味がかった石棺を選び、古代エジプト人の書いた『死者の書』から抜粋した宗教的な銘文を、その内容に適した身体の各部分に巧妙に配置し、細かく彫らせている。

エジプト慣習にのっとって埋葬されたギリシア人

エジプトの儀式としきたりにのっとった埋葬を選択した、きわめて稀なギリシア人(石棺の持ち主)は、プトレマイオス6世・フィロメトルの宮中で高位にいたディオスコリデース将軍と特定され 、彼の名はギリシア語で書かれたパピルス公文書に何度も記されている。全体に彫りが入ったこの石棺の卓越した質は、注目に価する。鬘の両側の垂れ下がった部分、及び胸部には、自伝的な内容が刻まれ、エジプト語のヒエログリフで書かれた名は、かつて「タジィクラテース」と読まれていたことが、ここに刻まれた銘文からわかる。その他の文は、全て宗教的な内容で、埋葬の神々の讃歌と『死者の書』の章を組み合わせたものが刻まれている。銘文は、それぞれの内容に適した身体の各部分に配置されている。

『死者の書』の章に埋め尽くされた身体

頭部にある有翼スカラベの図の下、および額につけているバンドの上には、『死者の書』の第18と第19章、つまり、敵との勝利に関連した「無罪の冠」を獲得する序文が刻まれている。鬘には、第162章「死者の頭の下に炎を点ける」が書かれている。胸部には、人頭鳥体のディオスコリデースのバー(人間が構成される5要素のうちの一つ)が描かれている。バーは、他界した後に身体から解放される人の一部で、この世とあの世の間を往来できる能力を持っていると信じられていた。バーが自分の遺体に戻るためには、遺体を存続させることが必要な条件であった。下段には、「ホルス神の四人の息子」が、太陽の復活を象徴するスカラベの図の周囲に配置され、内臓を収納するカノポス壺の守護にあたっている。ここにある銘文は第89章「バーが自分の遺体に戻ることが出来る」からの抜粋である。
その下に、ディオスコリデースが埋葬の神々に向って座っている場面と、オシリス神と他のもう一柱の神を立って拝んでいる挿絵がある。ここには、永遠の生命を得るために、第72章「日中に出現して墓を開ける」が書かれている。これを主題とした内容が石棺の基部まで埋められ、そこにはアヌビス神が山犬の姿で表され、死者のバーが墓を飛び去っていく場面が描かれている。

不滅と復活の配置

蓋の内部には天空のヌウト女神が裸体で描かれ、蓋を閉めると死者の上に横たわるようになっている。ヌウト女神と対を成すように、桶の内部には西方の国、つまり冥界の女神が彫られている。死者はこのように二つの世界の間に安置されることになる。太陽は毎日空を渡り、西に沈んだ後に航行に出、夜間はヌウト女神の腹を通り、朝、東に生み出されると信じられていた。太陽の運行と同化することで、ディオスコリデースの永久的復活が保障されると考えられていた。

出典

J.-L. de Cenival - Le livre pour sortir le jour - Le Livre des Morts des anciens égyptiens, musée d'Aquitaine et éditions de la Réunion des Musées Nationaux, 1992, p. 4.

作品データ

  • エジプト在住ギリシア人、ディオスコリデースの石棺

    プトレマイオス朝時代、プトレマイオス6世フィロメトル(紀元前2世紀前半)治世下

  • 0.5トン以上のグレーワッケ

    高さ2.01m、幅0.68m、奥行き0.52m

  • 1852年にドクター・クロ・ベィ・コレクションから購入

    D 40

  • 古代エジプト美術

    シュリー翼
    1階

    展示室14

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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