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カタツムリに乗る地の精

© 1985 RMN / Pierre et Maurice Chuzeville

工芸品
ルネサンス

執筆:
Muriel Barbier

裸の地の精が、カタツムリに乗っている。不具の人物像と、奇怪なカタツムリの組み合わせはかなり大胆である。これは16世紀における、奇妙でバランスの崩れた形状への嗜好をしめしている。地の精は、貴族のヴィラ(別荘)のために制作された、庭園の彫刻を思い起こさせるが、カラッジ荘には同じ主題の大理石の彫刻がある。この作品の作者として何人もの芸術家の名前が挙がったが、今日では、このブロンズ像の作風は、フィレンツェのマニエリスムの表われであるということで一致している。

地の精

裸の小人がカタツムリに馬乗りになり、殻の上でバランスを崩し、右手に鞭の柄をもっている。彼はその奇妙な動物を駆り立てたがっているように見える。この小像は、フィレンツェのカラッジ荘の庭園にある大理石の彫刻と同じ形をしている。そこにはまた、フクロウに馬乗りになる小人の像があるが、その複製のブロンズ像がロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート美術館に保存されている。カラッジ荘の2つの作品は、「モルガンテ」と「マルグッテ」と記述されている。モルガンテ(1535年頃‐1595年以降)は、コジモ・ディ・メディチ1世とその後継者たちの小人であり、彼は、1481年にフィレンツェで出版されたルイージ・プルチの叙事詩に登場する、伝説的な巨人「大モルガンテ」の名で呼ばれていた。1560年と1600年の間、フィレンツェの宮廷では、小人モルガンテが引き起こした人々の関心が引き金となり、小人を象った作品が数多く制作された。

作者の推定

1560年代以前にはすでに、小人やプット(子供の姿をしたアモル像)を表わした作品が存在し、フィレンツェの噴水の装飾や、貴族の邸宅フレスコ画の装飾において非常に流行し、その一例がマントヴァの公爵邸の夫婦の寝室に見受けられる。その後、何人かの彫刻家がモルガンテの像を制作した。このことから、ルーヴルのブロンズ像は順番に、トゥッリオ・ロンバルド、フランチェスコ・コッラ、パドヴァ派、そして最終的にヴァレーリオ・チョーリが作者であると推定されてきた。この最終的な作者の推定については、これがもっとも可能性が高いのであるが、それはチョーリがカレッジ荘の大理石の彫刻2体の作者だからである。彼が1599年にカッラーラへ赴いて、2体の小人像を含む4つの彫像のために、大理石を調達しに行ったことが分かっている。ところが彼は同じ年の末に亡くなったため、彫刻は彼の甥のシモーネ・チョーリが、彼の制作した型をもとに制作を続けた。ブロンズ小像の技法は、大理石のものよりもよっぽど優れている。そのことから、ブロンズ像の方が大理石のものよりも先に制作され、よってヴァレーリオ・チョーリ本人が制作したものだと考えることができる。

技法と様式

カタツムリに乗る地の精は、蝋型鋳造法の技術でブロンズを用いて制作された。髪と体は、鋳造後に、(彫刻用)ビュランを使って表現された。小像は黒の緑青に覆われ、現在ではそこにひびが入っている。これはおそらくヴァザーリがその著書で述べている「油性ワニス」のことであろう。暗い色を出すために、おそらく油は煙の黒で加工されたのであろう。ブロンズ職人の非常に繊細な技巧により、明暗の効果が生まれ、形状の丸みや、動きを強調している。バランスの悪い構図と、カタツムリと小人の造形から、この作品は、マニエリスム時代にブロンズ小像の分野において発達した、自然主義的な風潮に組み込まれる。この風潮は16世紀において、パドヴァ、ヴェネツィアと同じくフィレンツェでも顕著に表われた。

出典

Lefébure Amaury, "Le Gnome à l'escargot", l'oeuvre en direct, musée du Louvre, 12 février 1993

Pope Hennessy John, "A small bronze by Tripolo", Burlington Magazine, CI, 1959, pp. 85-89.

作品データ

  • ヴァレーリオ・チョーリ(推定)(型)

    カタツムリに乗る地の精

    16世紀半ば

    バジレウスキー・コレクション、エルミタージュ美術館(ロシア、サンクト・ペテルブルグ)

    イタリア、フィレンツェ

  • ひび焼きの黒色と茶色の緑青ブロンズ

    高さ37.50cm、幅19.50cm

  • 1933年取得

    OA 8252

  • 工芸品

    リシュリュー翼
    2階
    レオナール・リモザン
    展示室21

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
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開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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