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カバの牙に彫られた男性裸像

© 1997 Musée du Louvre / Christian Larrieu

古代エジプト美術
宗教と葬祭信仰

執筆:
David Élizabeth

エジプト先史時代末期には、人間像が比較的多く見られるものの、必ずしも緻密な細部表現はなされておらず、写実的な彫像ではない。こうした人間像が何に使われていたものかは、まだ解明されていない。出所が分かっているものは、墳墓で発見されたものに限られている。大きさや作りの繊細さにおいて卓越したこの男性小像の年代は、これによく似た別の彫像との比較から特定することができる。

人目を引く彫像

カバの牙でできたこの彫刻の背丈は約25cmある。性器が勃起した男性の裸体立像で、身体にそって伸ばしていたと思われる腕は今日では欠損している。元々、足は彫られておらず、そろえた脚は踝までしかない。剃髪の頭部は丸くて小さく、顔面はきわめて平たく作られ、長く尖った顎は、おそらく髭を表しているものと思われる。まん丸い目には、牙あるいは骨でできたボタンの象嵌細工が施されて、瞳孔が中央に開けられた穴で表現されている(左目の嵌めこみは消失)。耳の位置にはきわめて細い象牙質の合釘が打ち込まれていることから、耳は別に作られて付け加えられたことが分かる。身体はすらりと伸び、単純化された形で表現されている。

暗中模索段階の彫像

人物像は、エジプト先史時代末期からよく普及するようになった。石や粘土、とりわけ象牙質が頻繁に使われていた。確かに、牙に男性あるいは女性の図像が多少なりとも深く彫られた一連の作例はよく見うけられる。この彫像のように丸彫りにされた作例は比較的まれであるが、現在、6体ほどの男性小像が登録されている。ルーヴル美術館が所蔵している彫像と同様に、大部分は美術商から購入されたものなので、年代特定のための比較には用いることはできない。ただその中で、カイロ・エジプト博物館で収蔵されている一体だけは、年代が特定されている墳墓から発掘されたものである。

約6000歳の男性

カイロ・エジプト博物館が所蔵する彫像は、ルーヴル美術館のものと非常によく似ている。しかし、カイロの彫像の方がより大きく(35cm)、同じポーズをとっているが、紀元前4千年紀にエジプトと近東で広く普及していたペニスケースをつけている。ルーヴル美術館の彫像と同じく、目には象嵌細工が施され、頭頂部は丸く剃髪で、すらりと伸びた体つきをしている。髭の形は違うものの、体型が酷似しているため、2つの彫像はほぼ同時代の物と推測される。カイロの小像は、マハスナ墓地(アビドスから15km下流に位置する)の中で最も豪華な墓から、男女の骸骨とともに出土したものである。副葬品の陶磁器から、この小像の年代はナカダ時代初期、すなわち紀元前4000年から紀元前3700年の間のものと特定された。

出典

J.-L. de Cenival, "Une statuette d'homme en ivoire de la civilisation de Nagada, offerte par la Société des Amis du Louvre au département des Antiquités égyptiennes" , in la Revue du Louvre et des Musées de France, tome 1, 1992, p. 7-9, fig. 1-6

G. ANDREU, M. H. RUTSCHOWSCAYA, C. ZIEGLER, L'Egypte au Louvre, Hachette, Paris, 1997, p. 36-37, notice n 2.

作品データ

  • カバの牙に彫られた男性裸像

    ナカダⅠ期、前3800-前3500年

  • 彫刻(丸彫り)、カバの牙(門歯)

    高さ24cm、幅(最高)4.3cm

  • 1991年にルーヴル友の会から寄贈

    E 27457

  • 古代エジプト美術

    シュリー翼
    2階
    ナカーダ期 紀元前4000‐紀元前3100年頃 先王朝時代末期
    展示室20

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
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開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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