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作品 キプロス島の王、ユーグ・ド・リュジニャンの銘のある盥

イスラム美術部門 : モンゴル支配時代のイラン・マムルーク朝・ティムール朝

キプロス島の王、ユーグ・ド・リュジニャンの銘のある盥

© 2006 Musée du Louvre / Claire Tabbagh

イスラム美術
モンゴル支配時代のイラン・マムルーク朝・ティムール朝

執筆:
Makariou Sophie

この工芸品は、キリスト教の君主とイスラム教の君主の関係を物語る珍しい作品例である。この盥を注文したのは、リュジニャン家の最も秀でたユーグ4世(1324–1359年)であろう。パレスティナの奪回は、逸したものの、リュジニャン家は、エルサレムの王として、確固とした地位を保持し続けていたことが、この盥の外壁にある紋章と、フランス語で表わされた銘文によって、明確に伝えられている。

マムルーク朝の金工芸術の鍵となる工芸品

この大きな盥は、壁が、中程から大きく開いていて、口で縁が反返っている。1951年に、ルーヴル美術館に収蔵された、この盥は、キプロス島のリュジニャン家が維持していた最後の東洋のラテン王国と、エジプト、シリア、パレスティナに到る領土をもつ、この近隣国マムルーク朝との、密接であったり、時に攻撃的であった関係を伝えるものである。ユーグ・ド・リュシニャンの名の入った銘文がついているが、このユーグは、ユーグ4世と解釈しなければならない。よって、彼の治世の期間、1324年から1359年が、この作品の制作時期と推定できる。盥の底にかなり傷んでいるが、古典的作風で、黄道十二宮が表わされている。君主の図像でもある太陽の周りに、六つの惑星が表わされていて、一つの円を形成している。その外側に、十二の星座の図像が表わされている。

制作後に追加された銘文

ユーグ・ド・リュジニャンのために制作されたこの作品は、ダマスカスか、カイロの工房に注文されたものであるか、もしくは、外交的贈答品として、制作されたものである。これは、イスラム世界唯一の、外国の君主のために、特別に制作されたものの遺例である。この作品では、名前は、後から加えられたものではなく、アラビア語の銘文の中に入っていて、それを訳すと、「ヨーロッパ諸国の王たちに選ばれた、軍隊の先頭に立つ、愛に恵まれた至君、ユーグ・ド・リュジニャン閣下の命によって制作された品、閣下の栄光が永遠たることを」とある。この文句は、時には、緊張関係にあったマムルーク朝との戦いをも想起している。地模様のない部分に、エルサレム市の紋章が入っているが、こちらは、キプロス島で、彫込まれたものである。この紋章と、アラビア語の銘文とで、1187年に、リュジニャン家から奪われたエルサレムの奪回宣言をしているわけである。そして、この奪回宣言は、リュジニャン家以外の人の目に触れないよう、キプロス島でいれたのである。キプロス島での追加の彫込みには、フランス語の銘文もあり、彫込んだ上に、茶のエナメルで色づけされている。この技法は、マムルーク朝の銅細工ではみられないもので、ゴシック体の銘文が、縁の内側に走っていて、「強き至君、エルサレムとキプロスの王に、神の御加護を」とある。よって、この銘文は、この盥の注文主の栄光を讃える点をさらに強調している。

交易上でのリュジニャン家の役割

1291年、サン・ジャン・ダークルの陥落の後、リュジニャンの王国は、キプロス島において、東洋との交易の最先端の持場の利点の恩恵に浴していた。マムルーク朝との関係は、時には緊張したものであったものの、またさらに、ユーグ4世の歿後、ピエール1世の治世下では、この緊張がもっと高まるわけではあるが、そういっても、しばしば、緊張は緩和され、交易が増えていた。リュジニャンの王国の最大の都市のひとつ、ファマグストは、西洋ヨーロッパへの、食料の必需品や貴重品の主要な港である。この東洋のフランスの王国の陶器の製産は、シリアの沿岸地方のそれと密接な関係がある。シリアやエジプトから輸入された商品が、キプロス島での最近の発掘で見つかっている。その中には、マムルーク朝の大きい盥があり、島の北西部で見つかったものである。
マムルーク朝で制作された三つの工芸品にあるリュジニャン家の紋が、リュジニャン家とマムルーク朝との間の、この交易と外交的な関係の重要性を、はっきり証明する。

出典

- MAKARIOU Sophie, Deux objets du musée du Louvre faits pour les Lusignan de Chypre, Exposition Leventis, musée municipal de Nicosie, Paris - Nicosie, 1999.

Inscriptions
Inscription en arabe "fait sur l'ordre de Hugues le favorisé [de Dieu], celui qui est à l'avant-garde des troupes d'élite des rois francs, Hugues des (sic) Lusignan" suivie de l'inscription en français sur la lèvre : "Très haut et puissant roi Hugues de Jherusalem et de Chipre que Dieu manteigne."

作品データ

  • キプロス島の王、ユーグ・ド・リュジニャンの銘のある盥

    14世紀

    エジプト、あるいは、シリア

  • 銅合金、鎚起、銀象嵌、線彫、有機物質

    高さ27.7cm、直径(口)57cm、直径(底)43cm

  • 1951年、アンリ・ルネ・ダルマーニュの遺産相続者達より寄贈

    MAO 101

  • イスラム美術

    リシュリュー翼
    地上階
    マムルーク朝 1250‐1517年
    展示室9

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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