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作品 コール入れの壺を担ぐヌビアの小人

古代エジプト美術部門 : 新王国時代(前1550-前1069年頃)

コール入れの壺を担ぐヌビアの小人

© Musée du Louvre/C. Décamps

古代エジプト美術
新王国時代(前1550-前1069年頃)

執筆:
Geneviève Pierrat-Bonnefois

この召使いの形をしたコール入れの小壺は、新王国時代の社会における繊細な嗜好を物語る絶好の作品である。裕福な階級の人々は、身繕いに極めてよく気を使い、日常生活において優雅な芸術品を愛好し、彼らの特権を反映する装飾品に囲まれて生活することを好んだ。

壺と小像

この小像は、実用品として作られている。小人は、体より並外れて大きい壺を担いでいるが、この化粧用の小壺を使用する人にとっては理想的な大きさである。このような形の壺は、方解石やテラコッタで出来た大型の壺によく見かけられ、また石やガラス製の小型の壺も存在している。エジプト人は様々な素材の組み合わせを大変好んだが、この傾向はこの作品にも現れており、小人は一塊の石灰岩に、彫像がのっている台座は方解石に彫られている。腿の間で腰衣が結ばれており、かつては象嵌細工が施された布が垂れ下がっていたが、今日では、耳飾と同様に消失してしまっている。

主人と召使いの社会

第18王朝では、快適な生活と高級品を追求する嗜好がますます強まった。上流社会では、実用的であると同時に優雅で美的価値が高い日常品を飾った。エジプトでは化粧用の壺は昔からずっと重宝され、この小人が担いでいるミニチュアの壺の中にも当時よく使用されていたコールの黒い粉末が残っている。
新王国時代の裕福なエジプト人たちは、当時完全に植民地化されていたヌビア出身の召使いを他の使用人と共に雇っていた。ヌビア人であることは、その独特な髪型や顔の輪郭から識別できる。その他に、小人のような短い脚を持ち、背が湾曲した奇形を持った、このような奇怪な体の人物が使用人の像によく用いられていた。小人は迷信的な理由から家庭で重宝された可能性もある。

動きを表現するエジプト芸術

体の縦軸は、両足の間から臍(へそ)を通って左耳に達している。上半身は壺の重みと釣合うように右側に曲がっており、壺は左肩の上にしっかり担がれている。顔面はわずかに左側に向けられており、側面から見ると、身体は、肩の後ろで担がれている荷と釣合うように前方に傾いている。小人は、担いでいる荷に押しつぶされるかのように、歩き辛そうな印象を与えている。
エジプト美術では、概して人物を正面から捉えるものだが、ここではこの手法は無視され、複雑な動きのある作品に作り上げられている。伝統的な視点、すなわち四方(前後左右)から見られるために 作られたわけではなく、全角度から鑑賞できるように作製されている。正方形の台座のみが、方向を定めている。
慣習的な芸術的規範に対して自由な表現がなされている理由は、この小像がある特定な個人を表しているのではなく、単に主題として「仕事をしている召使い」を表現しているからだ。名士、神々、王の肖像で追及される永遠に存続する安定の表現はここでは放棄されている。エジプト人は体の動きを表す手法も熟知していたことがこの作品から見て取れる。

出典

- PIERRAT-BONNEFOIS G., ZIEGLER Ch., L’Art en Egypte au temps des Pharaons, les collections du Louvre, catalogue d’exposition bilingue franco-portugais, FAAP, Sao Paulo, 2001, p. 196-198, notice n° 21.

- VANDIER D’ABBADIE J., Musée du Louvre Département des Antiquités Egyptiennes - Catalogue des objets de toilette égyptiens, Editions de la Réunion des musées nationaux, Paris, 1972, p. 102-103, notice n° 393.

- DAVID, Amenophis III, Connaissance des arts, 1993, T. hors série, n° 36, p. 10.

作品データ

  • コール入れの壺を担ぐヌビアの小人

    新王国時代、前1550-前1069年

  • 石灰岩、方解石(エジプトアラバスター)

    高さ15cm

  • 1852年に目録と照合点検の際に登録

    N 1344

  • 古代エジプト美術

    シュリー翼
    1階
    装い:装身具、衣服、体の手入れ
    展示室9

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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