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セリム2世の霊廟の彩釉タイル板

© 2004 RMN / Jean-Gilles Berizzi

イスラム美術
近代イスラム帝国

執筆:
Gayraud Christine

この大きいパネルは、オスマン帝国の偉大な建築家シナンによる、スルタン・セリム2世の霊廟の正面を装飾していた。この霊廟は、ハギア=ソフィア大聖堂の敷地内にあり、スルタンとその妃、ヌルハン・スルタンと彼らの子供達の記念墓碑が納められている。花の装飾は、庭園を想起するもので、より神秘的な意味では、天国を表わしている。

霊廟の花畑

「中国の雲」と呼ばれるモチーフは、文様を白く残して周りを塗りつぶす、白抜き文様で表わされている。このモチーフが、このパネルの縁取りと、アーチの外側の角に入っていて、異国情緒を醸し出している。壁龕をかたどったアーチの枠内は、オスマン帝国で、1540年代に現れた、柔らかな色調のサズ装飾が、1555年から1557年頃に現れた新しい色、かの有名なイズニークの赤を加えて、ダイナミックな色調となったもので装飾されている。青とトルコ・ブルーを中心とした前期の色調は、珊瑚色の赤に、エメラルド・グリーンを加えることによって、力強いものとなっている。
壁龕の地は、ちょっと見には、実際にある花を写したとみえるが、これは、空想の産物である。芥子の花から出た茎は、急旋回して、曲線を描いている。
細長い葉の半分である葉のモチーフが、中央の尖頭アーチの楕円枠を形成しており、その内部は、梅の花の花束が表わされている。この花束の静止したモチーフによって、周りの動きが緩和されて、全体に理想的な均衡が生まれている。

カラ・メミの成熟した様式

シャー・クーリーの後継者として、王宮の工房の監督となったカラ・メミも、イランから来ている。細密画の画家として、彼は、1554年に、スレイマン大帝が著わした詩集、ディヴァン=イ・ムヒッビの挿絵を担当している。ムヒッビとは、愛する人という意味で、この帝王の筆名である。
梅の花は、元の磁器の装飾にあり、 「三人の友」と呼ばれた松竹梅の装飾にある花で、15世紀よりペルシアの細密画に現れて、カラ・メミによって、オスマン帝国にも、入った装飾である。カラ・メミは、ここでは、側面からみた花束として描いている。イタリアとこのオスマン帝国政府との繋がりを考慮すれば、カラ・メミが、この梅の枝の配置の仕方において、ヴェネツィアから来る書物の植物学の図版に影響を受けなかったとはいえない。精緻にして力強い様式化と、技法上では、「中国の雲」の白抜き文様が、焼成時に滲みやすい色の赤の地にくっきり抜き出ている手練からも、この彩釉タイル板は、オスマン帝国の最盛期に制作された、頂点に到達した芸術の代表的なものである。

庭園と墓碑芸術

セリム2世の霊廟の外壁は、ハギア・ソフィアの敷地内にあり、同じような二枚のパネルで装飾されていた。二枚のパネルは門の両側にあり、このパネルはその一部であった。スレイマン大帝の妃で、西洋では、ロクスランヌの名で知られた、微笑妃ハッセキ・フレムの墓建築の門の両側にも、これと似た装飾の二枚の彩釉タイル板があった。
霊廟は、遺骸の安置された地下の墓所と、その上の階の祈祷所からなる。庭園を表わした絵画での装飾は、13世紀のこれらの墓建築の内部の壁画としてまず確認されているが、14世紀のイランで、明確化する。この壁画を我々は天国を想起する亡くなった人の庭園と解釈しなければならない。オスマン帝国下のトルコでは、このパネルが示すように、この象徴が墓建築の外壁に出ているわけである。

出典

- Arts de l'Islam des origines à 1700 dans les collections publiques françaises, Paris, Orangerie des Tuileries, 1971, n° 120.

- ATASOY Nurhan, RABY Julien, Iznik, Paris, Éditions du Chêne, 1990, pp. 222-223.

- Soliman le Magnifique, Paris, Exposition, Galeries nationales du Grand Palais, 15 février-14 mai 1990, Paris, Association française d'action artistique, 1990, n 145.

作品データ

  • セリム2世の霊廟の彩釉タイル板

    1577年頃

    トルコ、イズニーク

  • 珪石質陶器、透明釉下、珪石質化粧土上、絵付

    縦2.15m、横0.73m

  • 1895年取得、旧アルベール・ソルラン=ドリニー・コレクション

    OA 3919/ 2-265

  • イスラム美術

    リシュリュー翼
    地上階
    オスマン帝国 14‐20世紀
    展示室12

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
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水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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