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作品 セレネとエンデュミオンの伝説を描いた石棺

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術部門 : ローマ美術

セレネとエンデュミオンの伝説を描いた石棺

© 2007 RMN / Hervé Lewandowski

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術
ローマ美術

執筆:
Marie-Bénédicte Astier

この石棺は1805年ジロンド県のサン・メダール・デイランにて、Ma1346の石棺と共に発見された。この箱の羊飼いエンデュイオンの伝説は、紀元3世紀初期の埋葬装飾の主題の進化を表している。深い眠りに付いたこの若者は、その姿を月の女神セレネに発見され、彼女はこの羊飼の不死を得た。重大な宗教的信仰の危機にあたる古代ローマの世界にて、この神話は死後の魂の存在と死者の魂の安泰の祈願を表している。

ローマから流入した石棺

この石棺はボルドー付近のサン・メダール・デイランのある墓にて発見された。この石棺は、ネクソス島にてテセウスに置き去りにされたアリアドネと、ディオニュソスの到来により救われるアリアドネの神話を描いたMa1346の石棺と対になっている。紀元235年に同じ工房で制作されたこの二つの石棺はその中に発見された骸骨にあたる夫妻のものであった。ふたの中央の、死者の名前を刻む空間(ラテン語でテュブラ・インスクリプテオニス)は空白のままである。これらの石棺はローマの工房で生産され、そして海や河川を通して輸出された。石棺の装飾が未完成の状態であるのは、一度買い手の元に作品が届いてから、その主の要望に沿い完成させるためであったのであろう。

神話の二重使用

蓋はパリスの審判と農民が花輪を作成している田園風景の装飾がなされている。箱の装飾はむしろ死者の個人的な懸念を映し出している。月の女神セレネは眠りに付いた若い羊飼いエンデュミオンに恋に落ちた。眠りの神ヒュプノスは永遠の眠りに付かせることにより彼に不死を与えた。この時代のローマ社会は重大な宗教的信仰の危機にあたり、埋葬用浮彫の主題はギリシャ神話の中から用いられた。この伝説は、同じような信仰心が反映されている、ルーヴル美術館保管のMa1443のイウリア・ヴィクトリナの祭壇の装飾のように、昔の信仰にて月が死者の魂の行き場を意味することから、魂の不死を反映している。死後の安泰の祈願は装飾の個性化により反映されている。死者は、救済神の愛により不死を約束された人間に同一化している。セレネとエンデュミオンの頭の部分は亡き夫妻の輪郭を後に模るため荒削りがされていたがその肖像は未完成の状態である。この時代に先立つユリウス・クラウディウス時代下においては、皇室のものだけが神と同一視して表現されることが許され、それらは頻繁に彼らの死後に作られた作品に見受けられた。しかし3世紀に入ってからのセルウィルス朝ではこの傾向は全ての社会階級に広がった。

造形効果の豊富さ

この石棺は高度な技術により製作された。念入りに磨かれた大理石は、所々に半透明なまでの妙技を見せながら加工されている。人物は高彫により彫刻され、素材の効果と穿孔機の使用による光と影の対比の作用を及ぼす。人物の犇き、扇状に広がる力強い構成と浮彫の様式は紀元2世紀末から3世紀初頭の古代ローマのこの危機的時期にあたるバロック的感性が見受けられる

出典

- SICHTERMANN H., Apollon, Ares, Bellerophon, Daidalos, Endymion, Ganymed, Gigantem, Grazien, Die Mythologischen Sarkophage, II, Berlin, 1992, p. 125-127, n 72, pl. 86, 1 ; 88, 1, 2 ; 89, 1-3 ; 94, 1-4 ; 113, 2, 3.

- AMEDICK R., Vita privata, Die Sarkophage mit Darstel lungen aus dem Menschenleben, I, Berlin, 1991, p. 139, n 111, fig. 106, 2.

- BARATTE F., METZGER C., Musée du Louvre. Catalogue de sarcophages en pierre des époques romaine et paléochrétiene, Paris, 1985, p. 71-75, n 25.

- Bordeaux. 2000 ans d'histoire, Bordeaux, 1973, p. 108-109, n 96.

- ETIENNE R., "Les sarcophages romains de Saint-Médard-d'Eyrans", in Revue des Etudes Anciennes, 54, 1953, II, p. 361-376.

作品データ

  • セレネとエンデュミオンの伝説を描いた石棺

    紀元230年から235年

    1805年サン・メダール・デイランにて発見(ジロンド県、フランス)

    ローマ

  • 高浮彫と低浮彫、大理石

    高さ0.95m、幅2.09m、奥行き0.6m

  • 1817年フォルバン伯爵よりルイ13世が購入

    N° d'entrée LL 50 (n° usuel Ma 1335)

  • 古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術

    ドゥノン翼
    1階
    ローマ美術:紀元3世紀のローマと属州
    展示室26

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

この石棺はMa1346のアリアドネとデュオニュソスの石棺と対になっている