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作品 タペストリー:紋章の入った盾をもつ熊

工芸品部門 : 中世

タペストリー:紋章の入った盾をもつ熊

工芸品
中世

執筆:
Marie-Hélène de Ribou

元来このタペストリーは、ルーヴル美術館に所蔵される他の断片とともに、より大きな壁掛けの一部をなしていたに違いない。本作品にはシャンパーニュ地方出身の行政官の家系、ジュヴェナル・デ・ズュルサン家の紋章がほどこしてあり、おそらくこの一家のために織られたと思われる。この一家を代表する最も名高い人物ギョーム・ジュヴェナル・デ・ズュルサン(1401-1472年)は、国王シャルル7世とルイ11世の大法官だった。装飾に見られる特徴を通して、タペストリーが担っていた並々ならぬ権力誇示の役割を認めることができる。

装飾性豊かな紋章入りのタペストリー

タペストリーの地は赤と白の縦縞で、摘まれた花と、地と逆の色をした「J 」と思しき頭文字で飾られる。この地から土地の塊2つが浮び出て、花と木が植えられた2つの小島を形作っている。それぞれの小島上には、木にしっかりとつかまった1頭の熊が立ちはだかる。2頭の動物は首に長い鎖をつけ、肩には小さなケープを羽織っている。タピスリーの中央には2つの盾を支える大きな枝が立てられ、盾の一方にはジュヴェナル家の紋章が、他方にはサイデンハル家のものらしき紋章が描かれている。

タペストリーに見られる権力誇示

このタペストリーは、何よりも権力誇示の目的で制作されたようである。盾の一方、ジュヴェナル家の紋章が入ったものと、装飾モチーフとして使われている一家の頭文字らしき文字は、おそらくこの壁掛けの注文主である一家が、有力な家系であったことを物語る。その上タペストリーには、イタリアの名家オルシーニ家と縁続きだと言われる、ジュヴェナル・デ・ズュルサン家の2つのシンボルも認められる。作品中央の熊と、地に散らばっている一家の花ハアザミである。この植物の俗名は、かつてユルシヌ(ursine、一家の名Juvenal des Ursinsの一部とほぼ同じ綴り)であり、今日では「熊の足」と呼ばれる。一家を代表する最も名高い人物ギョームはまた、彫刻をほどこした板張りの装飾を背景として、ジャン・フーケに肖像画を描かせている。そこでは紋章の横に2頭の小熊がおり、紋章自体は図案化したハアザミの表現である葉先が三叉の葉の上に置かれている。
興味深いことに、タペストリーにまだ縁飾りが用いられなかった時代でありながら、このタペストリーには、一家の紋章とシンボルおよび布地いっぱいに散りばめられた頭文字が見られる。

壁掛けを制作した工房

花の咲く枝で飾った縞模様の装飾という点から、本作品はある一群のタペストリーに結び付けられる。そのうち最も名高いものは、ばら園にいる人々を描いた4枚のタペストリー『ばら園の貴人たち』で、ニューヨークのメトロポリタン美術館が所蔵する。この作品の制作地はフランドル地方南部の工房、制作年代は1450-1455年頃とされている。一方、「切り落とされた」枝、あるいはここでのように摘み取られた花を背景にした、花咲く小島というモチーフからは、このタペストリーは一群の百花繚乱のタペストリーに結びつけられる。これはまさにフランス的な、とりわけパリらしい様式の流れを汲むものである。この一群の中でおそらく最もよく知られた壁掛けは、国立中世美術館(クリュニー美術館)にある《貴婦人と一角獣》で、15世紀末の作とされる。
こうしたことすべてを考慮すると、この壁掛けは、フランドル地方南部またはフランスで15世紀後半に制作されたものと位置づけられる。

作品データ

  • フランドル地方南部あるいはフランス、工房不明

    タペストリー:紋章の入った盾をもつ熊

    15世紀後半

    アルチュール・サックス・コレクション旧在

    フランスあるいはフランドル地方南部

  • タペストリー、織機によるタペストリー、羊毛と絹、1cmあたり6、7本の経糸

    高さ2.54m、幅4.55m

  • 1969年アルチュール・サックスより寄贈

    OA 10372

  • 工芸品

    リシュリュー翼
    2階
    シャルル5世の王笏
    展示室4

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

ジュヴェナル・デ・ズュルサン家とサイデンハル家(?)の紋章入り