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作品 ディオニュソスとアリアドネの神話を描いた石棺

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術部門 : ローマ美術

ディオニュソスとアリアドネの神話を描いた石棺

© Photo RMN / Hervé Lewandowski

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術
ローマ美術

執筆:
Astier Marie-Bénédicte

1805年にサン・メダール・デイランにて発見されたこの古代ローマの石棺は紀元3世紀初期の葬祭装飾の主題の変貌を表している。この箱に装飾してあるメナドとサテュロスの行列を従えたディオニュソスは、ネクソス島にてテセウスに置き去りにされたアリアドネが寝ているところを発見する。彼はこの若い女性に惚れ込み、神にだけ与えられる不死を彼女に与えた。その頃ローマ社会は重大な宗教的信仰の危機に遭遇し、この神話は死後の安堵という意味合いにおいて、死者の祈願を代弁している。

ガリアに輸出されたローマ産石棺

この石棺はボルドー付近のサン・メダール・デイランのある墓にて発見された。この石棺は、睡眠中の羊飼いエンドュミオンを発見した月の女神セレネの伝説を描いたMa1335の石棺と対になっている。紀元235年頃に同じ工房で制作されたこの二つの石棺はその中に発見された骸骨にあたる夫妻のものであった。ふたの中央の、死者の名前を刻む空間(ラテン語でテュブラ・インスクリプテオニス)は空白のままである。これらの石棺はローマの工房で生産され、そして海や河川を通して西の大陸へ輸出された。石棺の装飾が未完成の状態であるのは、一度買い手の元に作品が届いてから、その主の要望に沿い完成させるためであったのであろう。

神話の二重使用

この時代のローマ社会は重大な宗教的信仰の危機にあたり、埋葬用浮彫の主題は死者の個人的な懸念との密接な結びつきを重視しながら、ギリシャ神話の中から用いられた。この場合、箱の浮彫は、ネクソス島にてテセウスに置き去りにされたアリアドネがサテュロスとメナドの行列を従えたディオニュソスにより寝ているところを発見されるという場面である。この神はこの若い女性に惚れ込み彼女に至福とそれが死後まで続くことを約束した。この神はローマの職人のレパートリーのなかで大成功を収めた。ワインから持たされる酔は死後に得る幸福を反映している。死後の安堵の祈願もまた、亡き夫妻と悲劇的運命の被害者である英雄または死者と救済神の愛により不死を約束された人間に同化されることにより明らかになっている。この同化を満たすため、蓋に装飾されたアリアドネの顔と男性胸像は、恐らく後に亡き夫妻の肖像をそこに彫るために荒削りのまま残された。の時代に先立つユリウス・クラウディウス時代下においては、皇室のものだけが神と同一視して表現されることが許され、それらは頻繁に彼らの死後に作られた作品に見受けられた。しかし3世紀に入ってからのセルウィルス朝ではこの傾向は全ての社会階級に広がった。

造形効果の豊さ

この石棺は高度な技術により製作された。念入りに磨かれた大理石は、所々に半透明なまでの妙技を見せながら加工されている。人物は高彫により彫刻され、素材の効果と穿孔機の使用による光と影の対比の作用を及ぼす。この高度な造形効果は、この群がりとディオニュソスの行列の活気を連想させる。人物の群れはディオニュソスの周りを扇状に配置する構成の明白さを阻止するものではない。この浮彫の様式は紀元2世紀末から3世紀初期のこの危機的時期にローマ美術に及んだバロック的美意識の跡が見受けられる。

出典

- TURCAN R., Messages d'outre-tombe. L'iconographie des sarcophages romains, Paris, 1999, p. 98 et suivantes, fig. 107.

- BARATTE F., L'Art romain, Manuels de l'Ecole du Louvre, Paris, 1996, p. 189, fig.<

- BARATTE F., METZGER C., Musée du Louvre. Catalogue de sarcophages en pierre d'époques romaine et paléochrétienne, Paris, 1985, p. 138-142, n 67.

- ETIENNE R., "Les sarcophages romains de Saint-Médard-d'Eyrans", in Revue des Etudes Anciennes, 54, 1953, II, p. 365-368.

作品データ

  • ディオニュソスとアリアドネの神話を描いた石棺

    紀元230年から235年

    1805年サン・メダール・デイランにて発見(ジロンド県、フランス)

    ローマ

  • 高浮彫と低浮彫、大理石

    高さ0.98m、幅2.08m、奥行き0.62m

  • 1817年フォルバン伯爵よりルイ13世が購入

    N° d'entrée LL 49 (n° usuel Ma 1346)

  • 古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術

    ドゥノン翼
    1階
    ローマ美術:紀元3世紀のローマと属州
    展示室26

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
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開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

この石棺はMa1335のセレネとエンデュミオンの伝説を描いた石棺と対になっている