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デュ・バリー夫人の箪笥

© 1990 RMN / Daniel Arnaudet

工芸品
18世紀:新古典主義

執筆:
Muriel Barbier

1772年、小間物商ポワリエはデュ・バリー夫人(1743-1793年)に、セーヴルの磁器板の装飾の箪笥を、ルーヴシエンヌに納入した。絵画を複製した板は、箪笥よりも古いものである。この現在ルーヴル美術館に所蔵されている箪笥は、磁器を施した家具を多く制作した、家具職人のマルタン・カルラン(1730-1785年頃)の作であるとされる。この作品は王の愛妾の、この種の豪奢な家具の好みをよく表すものである。

移行様式の箪笥

この箪笥は直方体に、丸みを帯びた縦材で、3枚の開き戸が備わっている。中央の開き戸は少し前に突き出ており、下の部分は他よりも外に飛び出している。両側には、開き戸の上部に小さな引き出しが2段取り付けられている。この弓なりになった脚を持つ箪笥は、1760年頃の、より洗練された形状への回帰を象徴している。弓なりの脚や、中央のパネルが突き出しているところは、前時代の箪笥の表情を残しつつも、正面や側面の線は非常に直線的になっている。金箔を張ったブロンズ装飾は、いまだにいささかごてごてとしているが、家具の各部分の額縁的な役割をするように、より落ち着いた印象になっている。これらのブロンズ装飾は、梨材の化粧板や、磁器板のまちまちな長さを隠す役割をしている。この化粧板やブロンズ装飾は、5枚の磁器の板を引き立てる目的で作られている。

磁器の板

この磁器でできた板は、箪笥の制作以前に制作された絵画の複製で、版画か、あるいはオリジナル(の絵)に基づいて制作された。中央には、フィルールの版画によって知られていた、ジャン=パティスト・パテール(1695-1736年)の《L’Agréable société~楽しい仲間》が、(版画であったために)ここでは左右がオリジナルと反対に描かれている。この板は、8本のフリーズからなる、白色と金鍍金の磁器とでできた枠に補われている。正面の残り2枚の開き戸は、ニコラ・ランクレ(1690-1743年)の作品の複製である。左には、現在ケンブリッジのフィッツウィリアム美術館にあり、シャルル=ニコラコシャンが版画をおこした《Par une tendre chansonnette~優しい小唄》 が、右には、ランクレが1719年に絵画・彫刻アカデミーに合格した際の作品で、ジャック=フィリップ・ル・バの1743年の版画によって左右が逆になった《 Conversation galante~女性をくどく場面》がそれぞれ飾られている。これらの3枚の磁器板は、愛と音楽を謳っている。側面には《喜劇》 と《悲劇》 が見られ、これは、1752年カルル・ヴァンロー(1705-1765年)によって、ベルヴュ城のポンパドゥール夫人の社交サロンのために制作された、2枚の扉の上部装飾(モスクワ、プーシキン美術館)をもとにしたものである。これらの磁器の板は、セーヴル製作所のもっとも才能ある画家、シャルル=ニコラ・ドダンの作品である。

マルタン・カルランが作者なのか?

この箪笥は1772年に小間物商ポワリエによってデュ・バリー夫人に届けられた。証印は押されていないが、まちがいなくマルタン・カルランの作である。彼とポワリエの間に取引があったことは確認されており、カルランは彼に1775年に、こちらもルーヴル所蔵の、同じような箪笥を納入している。この2点の箪笥は、ともに中央部分は角が直角の突き出し部分をもつが、これはマルタン・カルランの作品に、頻繁に見受けられる要素である。デュ・バリー夫人はポワリエの重要な顧客で、彼からマルタン・カルランの家具をもう一点購入している(磁器上板の小型円卓)。ブロンズに関しては、その異例さから、女性の人面像やライオンの顔などの意匠は、カルランの作品にはめずらしいとされるが、しかし10年後に彼がベルヴュ城の王女たちのために制作したコーナー家具には見受けられるのである。わたしたちの知る限りでは、セーヴルの磁器をとりつけた箪笥は4つしかない。すなわち、ド・サンス嬢の箪笥(個人蔵)、旧R.ポロコレクションのもの(個人蔵)、そしてルーヴルのカルラン作の2点である。

出典

Nouvelles acquisitions du département des Objets d'art, 1990-1994,  catalogue d'exposition, Paris, 1995, p. 144-147.

- ALCOUFFE D., DION-TENENBAUM A , LEFEBURE A., Le Mobilier du musée du Louvre, tome 1, Paris, 1993, 218-223.

作品データ

  • マルタン・カルラン(推定)、シャルル=ニコラ・ドダン

    デュ・バリー夫人の箪笥

    1772年頃

    フランス、ルーヴシエンヌ城のデュ・バリー夫人の寝室

    フランス、パリ

  • 骨組み:オーク材、化粧板:梨材、ローズウッド、アマランサス材、セーヴルの軟磁器、金箔を貼ったブロンズ、白色大理石

    高さ87cm、幅1.190m、奥行き48cm

  • 1990年、遺産相続税の代物弁償

    OA 11293

  • 工芸品

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

証印:上板の前面の右角にJME(家具指し物職人組合)の検証刻印)の跡