Go to content Go to navigation Go to search Change language

ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>トラキア剣闘士の冑

作品 トラキア剣闘士の冑

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術部門 : ローマ美術

トラキア剣闘士の冑

© 1998 RMN / Hervé Lewandowski

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術
ローマ美術

執筆:
Astier Marie-Bénédicte

グリフォンの頭とゴルゴンの豪華な装飾がされた、このブロンズ製の冑は、おそらく紀元79年のヴェズヴィオ火山の噴火直前に、ポンペイの円形格闘場での試合前のパレードにてトラキア剣闘士が使用していたものだった。紀元1世紀の間変遷をしていった眉庇(まびさし)の形状は、この時代に特徴的なものである。のぞき穴は顔面上部を覆う鉄格子に取って代わり、兜の両側に配置された円錐型の飾りの上には冠羽が固定されている。

ポンペイでの武具の発見

このブロンズの冑は、1802年にナポリ王フェルディナンド4世からボナパルト第一総領に贈られた、武具のうちのひとつである。79年8月24日にナポリ地方を荒廃させたヴェズヴィオ火山の噴火の際、埋没したこれらの品々は、ポンペイの剣闘士の兵舎にて1766年から1767年にかけて行われた発掘の際に発見された。これらの品々は皇后ジョセフィーヌが亡くなるまでマルメゾンに保管され、それから相次いでデュラン・コレクション(1814年)そしてプルタレス伯爵コレクション(1825年)に加わり、そして1865年に帝国下の美術館に収蔵された。そして最終的にこれらの品々は、1892年、サン・ジェルマン・アン・レイ国立考古学博物館よりルーヴル美術館に譲渡された。打出し浮彫で豪華に装飾されたこれらの武具は、おそらく格闘場での試合の前にあったパレードの際に使用されていたのであろう。

トラキア剣闘士とムルミロ剣闘士の武具の一部

ポンペイにて多数発見された、この頭全体を覆い隠す形の冑は、ギリシア北東出身のトラキア剣闘士とガリア出身ののムルミロ剣闘士などの最も厳重武装をした剣闘士の装備具に値するものであった。大きく張り出した兜は、幅広の縁で囲まれ、グリフォンの頭が先端に付き、重なり合った羽で飾られた湾曲した飾冠によりまとめられている。この想像上の動物は、剣闘士によって崇拝されていた運命の女神ネメシスに付き添っていた動物である。円形格闘場内には、しばしばこの女神が祭られた礼拝所が存在した。前頭部は、銀張りのメドゥーサの頭が浮かび上がっている。兜の両側に配置されている2つの円錐型の飾りには、羽飾りの冠羽を固定することができた。剣闘士の顔と首は、2つの完全に塞がった面と、もう2つの鉄格子の面の計4面を鋲打ちにより組み合わせた、開封自在な眉庇によって保護されている。

剣闘士の冑の形状の変遷

特にこの眉庇の型より、この冑は79年の災害より前の、紀元50年から75年の間に、作られたものと思われる。トラキア剣闘士とムルミロ剣闘士の冑は紀元1世紀の間大きく変遷を遂げる。アウグストゥス帝(前27-紀元14年)の統治期間の末期には、頬当ては、のぞき穴が付いた眉庇に取って代わった。この眉庇の鍔は狭く、両側に緩やかな曲線を描いているに過ぎない。1世紀後半に入る頃、この鍔は広がり曲線は強調される。のぞき穴は顔の上半分を覆う鉄格子に変化した。1世紀末、この鉄格子は眉庇全面にまで広がり眉庇に取って代わった。兜を取り巻く細い喉当てはより狭くなり、顔面の両側で直角を形成する眉庇の輪郭に密着している。

出典

- Schutz und Zier. Helme aus dem Antikenmuseum Berlin und Waffen anderer Sammlungen, Antikenmuseum Basel und Sammlung Ludwig, Bâle, 1989, p. 96, n 89.

- Les Gladiateurs, Musée archéologique, éditions Lattes, 1987, p. 122-123, n 20.

- WAHL J., "Gladiatorenhelm-Beschläge vom Limes", in Germania, 55, 1977, p. 116, n 2, pl. 20, 2 et pl. 23.

作品データ

  • トラキア剣闘士の冑

    紀元1世紀第3四半世紀

    ポンペイの剣闘士の兵舎にて発見、カンパニア州、イタリア南部

    カンパニア州、イタリア南部

  • 打出し浮彫、銀張りのゴルゴンの頭鋳造されたブロンズ

    高さ38cm

  • 1892年サン・ジェルマン・アン・レイ国立考古学博物館より譲渡

    Br 1108

  • 古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術

    シュリー翼
    2階
    ブロンズの間
    展示室32

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

チケットを購入する