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作品 トードの宝物 3種類の杯

古代エジプト美術部門 : 宗教と葬祭信仰

トードの宝物

© 2008 Musée du Louvre / Christian Décamps

古代エジプト美術
宗教と葬祭信仰

執筆:
Pierrat-Bonnefois Geneviève

上エジプトのトードの神殿の土台で発見された宝物には、ラピスラズリと153個の器が入っていた。器はほとんどが銀製で、銅製の二つの小箱に納まるように平たく押しつぶされ、何回にも折りたたまれていた。復元したところ、考古学者たちは、これがエジプト製ではないとわかったが、現在のところどこで製造されたかは謎である。

形と装飾

トードの宝物はカイロ・エジプト博物館とルーヴル美術館の間で分配され、銀製の器56個がルーヴル美術館にもたらされた。そのほとんどは多少凸面をした杯である。鋲打ちで形を付け、打ち出しで装飾が施されている。装飾の大部分は丸ひだ装飾で、縦にまっすぐなもの、傾斜したもの、螺旋状のものなど様々な形が見られる。中には、種子形装飾が一列に施されて縁を強調したものもある。底は、平らなものや、同心円や丸い花形模様で装飾されている。
宝物を箱にしまう前に全ての銀杯は折りたたまれ、ほとんどは封筒のように四つ折りにされている。研究および展示のため、復元後もまだ折り目の跡が残って見える。修復専門家によれば、復元によって銀杯の元の形が著しく変形したということはありえないという。

多様な様式

作品番号E15160の椀には深い丸ひだ装飾が施され、それぞれの丸ひだは太目の稜線で区切られている。このようなタイプのものは、クレタ島のクノッソスで発掘され出土した陶磁器(宮殿時代、前1900年-前1700年頃)と非常によい比較の対象となっている。というのも形においても装飾においても類似しているからだ。
作品番号E15148の円筒形の取っ手付きカップは、卵形で、表面がわずかに内側に入り込み、底は平たい。取っ手の部分は、金属の薄板を巻いて作られ、中が空洞で円筒形をしており、カップの上にリベット締めされた2枚の金属の小片に単に溶接したものである。この形の取っ手は、紀元前2千年紀初期以降からアナトリア(アッシリアのカネシュ商館)の陶磁器に見られた。より後期のものとしては、紀元前18世紀のミュケナイの墳墓から見つかった凹面のカップにも見られる。内側に入り込むような形のカップに関しては、レバノンのテル・アルカ(前2400年-前2000年頃)の発掘から出土したカップと一致する。
作品番号E15149のテープ状取っ手付きカップは、その頑丈さ、灰色の無光沢な様相、その出来ばえという点から実用品であったと考えられる。宝物の中でもこのような厚みのある物はきわめて稀で、他の器と違って実際に使用されていたのだろう。あたかも、金銀細工伝統が未発達で、鉱山が多い地方を起源とする物のように見える。テープタイプの取っ手は、紀元前2200年から紀元前2000年のアナトリアのアラジャ・ホユックの王墓や、紀元前1900年から紀元前1700年頃のクレタ島宮殿時代の銀の器にも確認されている。

飲むための杯か交換手段として杯

大部分の銀杯は、内壁面が薄いのが特徴である。このような容器はあまりにも壊れやすく、変形しやすいので実際に使用されていたのかは疑わしい。さらに、不正確でぞんざいに仕上げられているので職人技術的価値は無い。このようなことを考慮に入れ、おそらく厚み1mm以下の内壁面を持つ銀杯は、最初から支払手段や贈り物として作られたのではないかと推測されている。粗末な出来のこの代用品のおかげで、金銀細工師があまり時間を費すことなく、銀の重量が主に考慮に入れられていた外交上の贈物の伝統を維持することができたわけだ。要するに、内壁面の薄いトードの銀杯は、製造時からすでに未加工の銀鎮壇具(定礎式に土台に埋める奉献の品)に終わる運命を約束されていたのだろう。

出典

- MENU Michel, « Analyse du trésor de Tôd », in Bulletin de la Société Française d’Egyptologie, 130, Paris, 1994.

- PIERRAT Geneviève, « A propos de la date et de l’origine du trésor de Tôd », in Bulletin de la Société Française d’Egyptologie, 130, Paris, 1994.

- Gold der Pharaonen, catalogue de l’exposition, Vienne, 2001, p. 65-67, notice n° 61.

Gobelet à anse cylindrique E 15148 :

- Pharaonen und Fremde Dynastien im Dunkel, catalogue de l’exposition, Vienne, 1994, p. 210-211,  notice n° 237.

Un siècle de fouilles françaises en Egypte, catalogue de l’exposition, Paris, 1981, n° 175, p. 150.

G. ANDREU, M. H. RUTSCHOWSCAYA, C. ZIEGLER, L’Egypte au Louvre, Hachette, Paris, 1997, p. 91-92,  notice n° 35.

Tasse à anse en ruban E 15149 :

- DESROCHES-NOBLECOURT Ch. et al., Un siècle de fouilles françaises en Egypte, Paris, 1981, n° 173, p. 149.

Coupe E 15160 :

Gold der Pharaonen, catalogue de l’exposition, Vienne, 2001, p. 68, notice n° 62.


作品データ

  • トードの宝物 3種類の杯

    紀元前2千年紀初期、遅くともアメンエムハト2世治世下( 前1898-前1866年)

    上エジプト、トード出土

  • 銀、鋲打ち、打ち出しによる装飾

    まっすぐな丸ひだで装飾されたわずかに凸面の杯:直径11.6-12cm、高さ5-5.2cm、直径(底)4.4cm円筒形取っ手付きゴブレット:直径(口)6.3-6.6cm、取っ手無しの高さ7.2-7.5cm、取っ手の高さ5.1cm、円筒形取っ手の高さ2.5cm、直径(底)3.1cmテープ状取っ手付きカップ:直径8.3cm、取っ手無しの高さ5-5.3cm、直径(底)3.1-3.3cm、取っ手の高さ6cm

  • 1936年に発掘の分配分としてエジプト政府から寄贈

    E 15128 à E 15318

  • 古代エジプト美術

    シュリー翼
    1階
    神殿
    展示室12

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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