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作品 ハドリアヌス帝

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術部門 : ローマ美術

ハドリアヌス帝

© 1989 RMN / Patrick Leroy

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術
ローマ美術

執筆:
Lepetoukha C.

現在に残る多くのハドリアヌス皇帝の肖像のなかでも、この彫刻はその素材からして際立っており、またルーヴル美術館の肖像の中でも一番目を引くもののひとつである。この皇帝像は、制作年代を特定しづらい、あまり知られていない形式で表現されている。この肖像は、その堂々とし、厳粛な様子から彼の後継者アントニヌス・ピウス帝に似せた死後の肖像と取るべきか、それとも彼自身の統治期間初期の様相を表したものと取るべきなのだろうか?

ハドリアヌス帝(紀元117–138年)

後頭部よりウエーヴがかかっている髪は、額の上に形成されたヴォリュームのある巻き毛をつくっており、それからこの肖像が、誰を表わしたものであるかがすぐに判断できる。というのもハドリアヌス帝はこの髪形をした、唯一の皇帝であったからだ。
この頭部は約2m60cmあった巨像の唯一の残存品である。頭部が切断されたことから英雄的な裸体という仮定は放棄され、他の像の例にならうと、皇帝は銅鎧をまとった戦争の指揮官の姿で、理想的な体格で表現されていたと想像すべきだ。

大量生産された革新的な図像

古代ローマ時代では、肖像は好都合な政治的表現手段であった。劇場やフォルム(公共広場)などの全ての公的な場所に設置され、皇帝の肖像は帝国の住民に対し日々、ローマの権力と支配を誇示するものであった。
ハドリアヌス帝は、今日保存されている約150点もの肖像が示すように、自分のイメージに対して特に気を配っていた。アウグストゥス帝を除いて、これほど多くの肖像を現代に残した皇帝は彼の他にいない。
ハドリアヌス帝の肖像はそれに加え、ローマにおける肖像の歴史のなかで特別な興味深い点を持っている。というのもハドリアヌス帝の統治以降、彫刻家はもはや絵の具で虹彩や瞳孔を描くのではなく、それらの細部を大理石の彫刻に刻む、より造形的な方法を身につけるようになる。
ギリシアびいきのハドリアヌス帝は、ギリシア哲学者のような顎髭を生やす習慣を始める。これの習慣は彼の前任者にはなかったものだが、その後、4世紀までの殆ど全てのローマ皇帝たちが倣ったものであった。


死後の肖像か統治初期の肖像か?

この頭部はその素材からしてそして表現方法からしても特別なものである。というのも古代のブロンズ作品は溶かされ、消滅してしまったものが多いからである。皇帝の肖像はその類型により分類されるが、この作品はその他に確認されたハドリアヌス帝の肖像のどれとも一致しない。
そして普通のものより面長な顔、より間隔の開いた眼、鷲鼻で筋がそれた鼻は珍しい、または、この皇帝の他の肖像には見られない特徴である。この肖像は長い間、死後の肖像の特徴を表わしたものと信じ込まれていた。というのも、権力の相続を強調するために、彼の後継者アントニヌス・ピウス帝(紀元138 - 161年)との意図的な身体の類似点を、神格化したハドリアヌス帝の肖像に盛り込んだと思われていたからだ。しかしこの仮説は最近の研究により疑問視され、この頭部は紀元118 - 121年頃、ハドリアヌス帝の統治初期に制作された型の彫刻の一種という見方が有力視されている。この新しい仮定は、ローマ皇帝肖像の完全網羅した確固たる分類を確立する難しさを示している。

出典

- KERSAUSON K. (de), "Un Portrait d'Hadrien en bronze", in La Revue du Louvre, n 35, 1985, pp. 117-122.

- KERSAUSON K. (de), Catalogue des portraits romains, II, Paris, 1996, n 53, pp. 130-13.

- LAHUSEN G., "Dreimal Hadrian",in  Acta of the 12th International Congress on Ancient Bronzes, Nijmegen 1992, Nimègue, 1995, pp. 283-289.

- LAHUSEN G., Formigli E., Römische Bildnisse aus Bronze, Munich, 2001, n 115, pp. 192-194.

作品データ

  • ハドリアヌス帝

    紀元118 - 121年、又は紀元2世紀第2四半期

    近東(?)

  • ブロンズ、蝋型空洞鋳造、彫刻、鋳造後冷却

    高さ43 cm

  • 1984年購入収蔵番号MNE 793 ( 常用番号Br 4547)

    N° d'entrée MNE 793 (n° usuel Br 4547)

  • 古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術

    ドゥノン翼
    1階

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
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開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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