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作品 フィレンツェの紋章入り大皿

工芸品部門 : ルネサンス

フィレンツェの紋章入り大皿

工芸品
ルネサンス

執筆:
Brigitte Ducrot

この力強い輪郭の大皿は、1400年から1435年頃にかけてのフィレンツェの町の、陶器製作のもっとも堂々たる作品の一例である。フィレンツェの百合の紋章入りの旗を持つライオンが、一面に散りばめられた百合の花の上に浮き立つかたちで施されている。スペインや東洋のファイアンス陶器からの明らかな借用に、初期の「マヨリカ」焼やイタリアのファイアンス陶器の新しい要素が加わっている。このトスカーナ地方の陶器製作から生まれた作品は、当地独自の様式の発展のさなかに位置づけられる。

権力の象徴としての陶器

この作品の内側の表面は、「マルゾッコ」という威厳あるライオンの紋章に占められている。ライオンは、フィレンツェの町の百合の花が入った旗を右前脚に持ち、左の方へ歩いている。この象徴的なライオンの頭は白の無着色の部分により、開花した百合の花がついた枝々と、小さな線影と渦巻き模様の散らし模様に覆われた背景から、巧みに引き立っている。へりには、交互に配置された花形装飾が、鋸歯(きよし)状のフリーズをなしており、皿を吊るすための穴が2つその模様を中断しているが、そのことからこの豪華な皿が、純粋に装飾用であったことが証明されるのであろう。この作品からは、困難の多い初期を経て、1494年までフェレンツェ共和国の体制が、商人であり銀行家の一族、メディチ家の手中にあった当時、芸術的革新に積極的であったルネサンス初期においてのフェレンツェが、他の都市国家にくらべて優位にあったことがうかがえる。

マヨリカ焼の初期

この皿は、マヨリカ焼の初期の最も興味深い作品のひとつに数えられる。「マヨリカ焼」という呼び名は、通常イタリアのファイアンス陶器を指すのに使われる。この呼び名はおそらく、中世を通して、スペインのバレンシアの工房のすばらしい陶製品が、イタリアに向かう途中マヨルカ島を経由していたことに由来する。13世紀以降は、この新しい製陶技術はイタリア半島に広まり、そのなかでもトスカーナは、初期の、錫を含むほうろうを施した陶器の様式を経て、15世紀においてはより個性的な作品により、もっとも製作が盛んな土地のひとつとして抜きん出ていた。しかしながら、ファイアンス陶器の重要な供給源であったスペインからの影響は、マニセス(スペイン、バレンシア)の作品に見られるような、平らな底、ほぼ直立した内側の縁、まっすぐなへりをもつ大きな深皿を想起させる、この大皿の形に表れている。マニセスの深皿自体は、通称「ダマスカス物」という、銅でできた大皿に着想を得ていた。

より多彩な色使いへ

この皿は、同じ展示棚に飾られている両手取っ手付きの壺と同じく、コッパー・グリーンが支配的な、抑えた色調に特徴付けられる。これと同じ、「緑系」という名で総称される陶器の作品群には、ニューヨークのメトロポリタン美術館に保存されている、騎士が施された大皿が加えられる。この一群の作品は、ルーヴルにも数点所蔵されている(展示室4)、厚い「浮き彫り」のコバルト・ブルーで制作され、樫の葉、動物、人物像が施された、平らな2つの取っ手を持つ薬壺という、より有名なトスカーナ陶器の作品とも一線を画している。15世紀後半になるとようやく、焼成の技術を習得したファイアンス陶器職人が、高温焼成の多彩色の作品をより幅広く制作できるようになる。

出典

- CORA G., Storia della maiolica di Firenze e del contado. Secoli XIV e XV, Sandoni, 1973, p.72, fig.49.

- ENNES P., Musée du Louvre. Département des Objets d'art. Céramique du Moyen-Age et de la Renaissance, Paris, Editions des musées nationaux, 1983 (Petit Guide des grands musées 91), p.10.

- Louvre. Guide du visiteur. Les Objets d'art. Moyen Age et Renaissance, Editions de la Réunion des musées nationaux, 1994, p.69.

- TABURET-DELAHAYE  E., L'art vers 1400 (II). Les Cours européennes au début du XVe siècle, Paris, Musée du Louvre, 1994 (Feuillets 6/29), ill.6.

- DURAND J., Le Louvre. Les Objets d'art, Paris, Editions Scala, 1995, p.46.

- Les Collections du Louvre, Editions de la Réunion des musées nationaux, 1999 (Anthologie des collections), p.229, ill. p.228.

作品データ

  • フィレンツェの紋章入り大皿

    1450年頃

    フィレンツェ(イタリア)

  • ファイアンス陶器、高温焼成による装飾

    高さ8cm、直径64cm

  • 1897年所得

    OA 3946

  • 工芸品

    リシュリュー翼
    2階
    シャルル5世の王笏
    展示室4

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
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開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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