Go to content Go to navigation Go to search Change language

ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>ベス神の彫像

作品 ベス神の彫像

古代エジプト美術部門 : 宗教と葬祭信仰

ベス神の彫像

© Musée du Louvre/G. Poncet

古代エジプト美術
宗教と葬祭信仰

執筆:
Bridonneau Catherine

長すぎる腕、湾曲した脚、人間とライオンの特徴を併せ持った顔をした、この不恰好な裸の小人の彫像はベス神を表している。とても魅力的とは言えない容姿をしているものの、人が弱っている時に悪霊から守ってくれる好意的な神、人間の友と見なされていた。特に妊婦を守ってくれると信じられていた。

描写

短い脚で立ちはだかるベス神は、両手を腿の上部に置き、舌を出しながら観閲者を見つめている。羽飾りのついた被り物を頭につけていたと思われるが、羽飾りを差し込むための穴が開いた被り物の基部しか残っていない。浮彫にされた威厳あふれる眉や獅子鼻で表された、人間とライオンの特徴が混在する顔は、ふさふさした髭で覆われているたるんだ頬と相まって、平たい顔面をなしている。髭は口の両脇に広がって、先端では渦を巻いている。かなり深く彫られた両目の跡から、目には舌と同様に象嵌細工が施されていたと思われる。丸い小さな耳には、毛の房が見えており、ライオンの耳であることが分かる。背中には、肩から丸く膨らんだ臀部までライオンの毛皮を身にまとい、浅い浮彫で表された毛皮の尾の輪郭がよく見える。またベス神の上半身には、小さいライオンの頭、肩の上にはそのライオンの前足、腿の上部には後ろ足が見える。背中には、猛獣のたてがみが鬘のように先端が尖って描かれ、臍(へそ)の下には蛇を縛ってベルトの代わりにしている。

人は見かけによらぬもの

人を寄せ付けない恐ろしい容姿をしたベス神は、どんな不吉な力をも潰走させてしまうため、大変人気があり、頻繁に描かれている神である。ベスの図像は、寝室など家の部屋の壁によく飾られた。眠っている人を守ると信じられていたので、寝台や頭支え(枕)の上によく飾って置かれていた。また鏡、美顔料や香油を入れる壺などの身繕い用品の装飾としても使われ、守護の力はさらに強化された。ベス神は、幼い太陽神の誕生を見守る神であることから、特に妊娠から出産までの期間は常に妊婦の傍に置かれている。踊りながらベス神が奏でる立琴、タンブラン、二管フルートなどの音に、悪霊は耐えられなくなり、またベスのしかめ面にも恐れをなして立ち去っていくと考えられていた。末期王朝時代になると、ベス神は様々な神が融合した強力な神(万神)に変貌してゆく。神殿に相談にやってくる信者の質問に、夢を介して答えてくれると信じられていた。また万能な力を持つといわれ、病を治す神でもあった。

マリエットと出会い、パリに来たベス神

この偶像は、エジプト学者であるオーギュスト・マリエットが、1851年にサッカラで行ったセラペウム発掘調査で発見した約5000点の品々のうちの一つで、エジプト政府からフランスに寄贈され、ルーヴル美術館のコレクションに加えられた。セラペウムの南の、ネクタネボ2世によって造営されたアピス神を祀る神殿の中庭で、彫像が乗せられていた台座のそばに落ちた状態で発見された。マリエットはベス神を元に戻し、アブ・シールやサッカラ近辺の村から彫像を見に来た労働者や住民の行列に立ち会うことになるが、ベス神を見た彼らの様々な反応を次のように報告している。「正午だったので、ただでさえ表情豊かなベス神の表情が太陽によってさらに強調されていました。エジプト人は間違えて悪魔だと思い込み、女性たちは罵り、男性たちは唾を吐きかけました。また数人の黒人労働者たちはどっと笑いだして逃げ去っていきました。」

作品データ

  • ベス神の彫像

    第30王朝、ネクタネボ2世治世下(前358-前341年)

    サッカラ、セラペウム、ネクタネボ2世神殿中庭から出土

  • 彫刻、石灰岩

    高さ92cm、幅62cm、奥行き28.50cm

  • 1852年に発掘の分配分としてエジプト政府から寄贈

    N 437

  • 古代エジプト美術

    シュリー翼
    1階
    神々と魔術
    展示室18

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

チケットを購入する